ITILで使われる手法を理解する

itil 2007-01-24 19:06:49

〜 TOP ―

最近、世の中でいろいろと不祥事が続いていているなかで、外部の有識者による専門的な見地からアドバイスを行う委員会や組織が設置される事例が相次いでいます。なんとも、嘆かわしい状況ですが、専門家や第三者の客観的な立場からの意見、見方を反映することは、会社のカルチャーを変化させるには効果的であるといえます。外部からの刺激のほうがよく効くということですね。

さて、ITILのなかでも、同様の手法をとることを推奨しているところが2箇所あります。ひとつは変更管理の中で設けられる、変更諮問委員会(CAB: Change Advisory Board)です。CABのメンバーは変更管理マネージャが選任することになっています。メンバーを固定する必要はなく、審議される内容によっては、参考意見を専門的な立場から諮問する方を選任してもよいし、顧客やユーザの代表をメンバーとすることも推奨されています。

もうひとつは、可用性管理の中で出てくるテクニカル・オブザベーション・ポストというものです。これはTOP(Technical Observation Post)とも記述されます。組織の枠を超えて設置される専門家の集団のことです。ITILでは特にITサービスの可用性の特定の項目に的を絞って召集されます。TOPは、以下の目的を達成するために編成されます。

・継続的改善機会を特定すること

・可用性のボトルネックを特定すること

・技術的見地から事実を把握すること

・組織的な利害関係から干渉されないこと

このときの可用性管理の位置づけはスポンサーとなります。したがって、可用性管理は、TOPが編成されたときには、

・TOPが組織全体に認知されること

・TOPの要員が的を絞っている課題に集中できるようにすること

・外部干渉から守ること

・十分な情報を提供すること

・TOPの提言を活動計画の反映すること

を確実に実行できなければならないのです。

どこかの有力な組織や、権力のある人からの影響を排除し、可用性の面から専門的な提言を行うことが必要なのです。また、TOP自体も、単に過去の情報や履歴から判断するだけでなく、実際にモニタリングすることなどが求められています。イベントは、現場で発生しているのです。専門家でも気がつかないようなことや、見過ごしてしまいそうなことが原因のことがあるのです。

かつての経験では、隣の生産設備の特定の機器の電源が入ったときにだけ、誤動作するアプリケーションがあったのです。この原因を突き止めるのには、電源から入ってくるノイズであることを見つけるまでに1週間かかりました。さらに、ノイズの発生源を特定するには数日を要したこともあります。アプリケーションのバグを探しても解決できないし、発生の履歴情報の中にも、生産設備との関連情報など含まれていないのです。

継続的改善とTOPの関係はよく話題になるところでもありますが、TOPを召集できるような体制の組織はそれだけで成熟度が高いということもできるでしょう。ただし、気をつけなければならないのが、TOPが形骸化し、提言をまとめるだけで、その提言を活動に結びつけるということを怠るということなのです。IT組織の場合は可用性管理がスポンサーとして特定されていますから、可用性管理のマネージャが、この実施責任があるということになります。

IT関連ではありませんが、コンプライアンス委員会などという名称で、会社の内部統制に関連した独立の組織が設置されているのも、同様の効果を期待しているということができるでしょう。IT自体も内部統制の対象であると同時に、内部統制の環境を提供する側でもあります。今後は、TOPの登場する機会も増加することが考えられます。それは、TOPの利点として次のようなことが期待されているからです。

・スタッフの専門的な知識を活用できる

・関連するそれぞれの組織の専門知識を必要に応じて調達できる

・ビジネス側とIT側の相互理解を深めることができる

・通常の制約条件から解放された状態で、特定の目的に的が絞れる

品質のマネージメントは総合的に実行されるので、トップダウンで実施されます。ポリシーに即して実施されるわけです。しかし、一つ一つの製品の品質、提供するサービスの品質は、作られる場所や、提供されるその場で作りこまれるものです。品質のコントロールは、現場でなければできません。ボトムアップの活動を忘れてはいけないのです。トップからも、ボトムからも継続的改善が常に回っているカルチャーを築きましょう。

TOPからトップとボトムに繋がったところで今回は終わりとしましょう。

前田 隆

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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