ITIL V3 ライフサイクル

itil 2007-08-31 10:30:47

ITIL V3 ではライフサイクルの視点が強調されています。ライフサイクルの視点が必要なのは、ビジネス戦略とITサービス戦略の整合性をとらなければならないことが重要視されてきていることを物語っています。ITサービスは、ハードウェアとソフトウェアとドキュメントから構成されていますので、所有した時点から、コストが発生し、陳腐化が始まり、変更が待ち受けるという状態になります。この状況への、効果的かつ効率的な対応としては、継続的な改善が必要です。ビジネスとの最適化が図れるようなプロセスの成熟度に到達することを求められています。

V3で新たに導入された概念として、ポートフォリオマネージメントがあります。サービスそのものを全ライフサイクルにわたってマネジメントしていこうという概念です。これは、サービスパイプライン、サービスカタログそして撤去されるという3つのフェーズで考えられています。


サービスのコンセプトは、ビジネス戦略からの要件とITサービス戦略に適合するように構成を考えられなければなりません。技術の動向、市場の傾向、顧客の要件などを考慮して、投資の規模、採用技術、人員の割り当てなど投資計画、リソース計画を実行していきます。そういった面では、ITサービス財務管理のプロセスはこの領域に入ります。

図1は、ライフサイクルの理解をイメージするのに非常に有効だと考えています。ITILコアでは、概念的に5冊の書籍の関連領域を説明しています。それと比較すると、時系列的な配置が取り入れられています。また、それぞれのインタフェースがどのプロセスと関係するかもわかりやすくなっています。

サービスデザインでは、サービスの開発や設計の段階です。したがって次のように、顧客との交渉や契約サービスの維持といった、サービスレベル管理が関連します。可用性管理、キャパシティ管理は従来どおりサービスの提供する機能とパフォーマンスの面から、サービス全体と将来を考慮して対応します。企業の社会的責任として求められるようになったビジネス継続性管理と密接に関連するITサービス継続性管理も、リスクマネジメントの一環として、準備されなければなりません。

サービストランジションは、新しいサービスや変更を実施するといったときに、サービス導入が適切に行われ、確実に維持管理できるようにしていかなければなりません。サービスの導入をきちんと計画し、リソースの配分やテスト計画を考慮し導入を支援します。サービスそのものと、サービスを実装する場合のインパクトについても評価する変更管理が調整し監視します。サービスを構成する資産を管理し、サービスの構成とモデルに関する最新の情報を提供するサービス資産・構成管理が活躍します。ビルドとテストを行い、リリース・展開管理によって稼働環境への実装が行われます。これらの活動がうまく進められるように、蓄積したデータから有効な情報を活用できるようにナレッジマネジメントが支援していきます。

サービスオペレーションでは、稼働環境を維持し運用するために、システムからあがるアラートやワーニングを面倒見るイベント管理、サービスを素早く復旧させるインシデント管理、根本原因を追究する問題管理、認証を管理するアクセスマネジメントが日々の運用にかかわる処理を行っています。

ITサービスのコンセプトの段階から実運用に移行するまでの面倒を見るのがサービスパイプラインです。一方、サービスの構成が決まった段階から、評価、計画、構築、テストそして実装をへて、サービスが使われなくなってしまい旧サービスとなってしまうステージまで管理するのが、サービスカタログです。

サービスカタログは、どんな機能やコンポーネントで構成されているかを表現する、技術的な側面と、どのサービスがどの顧客ユーザに提供されているかを明確にするビジネスの側面があります。

サービスパイプラインとサービスカタログの重複するところが、サービストランジションで扱っている範囲です。このトランジションの領域を通らずに実施された変更が、如何に混乱を招いたかことがあったことか、心当たりのある方もいらっしゃることと思います。

ライフサイクルに絡んで、サービスポートフォリオ、サービスパイプラインおよびサービスカタログを概観しました。

翻訳用語は、私的な見解での訳語です。ご使用いただく場合は、各自の責任においてお使いください。

前田 隆

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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