真のブランド確立に向けた戦略的アプローチとは?

経営企画室.com 2009-02-09 15:00:00

■ ブランド確立のジレンマ

特にコンシューマー向けビジネスを展開している企業では、「自社のブランド力を確固たるものにすること」が課題となっているケースが多々あります。 とは言いながらも、具体的な打ち手として効果のある方策を実施できている企業は多くないというのが私の実感です。

「消費者調査を実施してみたところ、ブランド名の浸透度合いが弱いのでプロモーションを強化することが課題です。」 「ブランドイメージを高めることが必要なので、アンテナショップを作りたいと思いますが、立地はどこが良いでしょうか?」 実行段階で何とか効果を出したいと考えている現場の方々からは、様々な意見や質問が出てきます。やはり課題は都度出てくるものなので、それを都度解決していくことも重要だということは理解できるのですが、いつも気になるのは「真の意味で求める効果を得るために、より包括的に課題を捉えなおすことも大切なのではないか?」ということです。

ブランド確立に向けた第一ステップとして、以下の質問に答えられるか否かは非常に重要です。 「自社のお客さまは誰ですか?」 →【コアターゲット】 「そのお客さまに対して約束すべきことは何ですか?」 →【バリュープロポジション】 ただ、お客さまと接するような現場に近づいていけばいくほど、「うちの商品は全ての方に使っていただけるモノですから、ターゲットを絞るといった考え方は向いてないと思うんですが……」と答える方々が多くなるのが実態です。

 

■ 目指すべきブランド像

それでは、好事例に出てくる企業を参考にしてみましょう。

皆さんよくご存知のナイキは、コアターゲットを“トップアスリート”と定義し、そのトップアスリートに対して、“彼らが持つ力を最大限発揮できる製品を提供すること”を約束しているのだと思われます。 そのブランド戦略を確立してからは、あらゆるスポーツのトッププロと専属契約し、共同で商品開発を進めるといった手法を展開するとともにそれをプロモーション告知するというアクションを徹底しています。 しかしながらナイキを購入するユーザーは、例えばゴルフであれば私のような100を切れるかどうかというアマチュアゴルファーまで、裾野は広がっています。 つまり、トッププロが使用しているブランドの商品を使ってみたいと思う一般ユーザーをも結果として取り込めている事実がここにはあります。

もうひとつの事例であるサウスウエスト航空は、コアターゲットを“ビジネスマン”と定義し、“ビジネスマンに対して、(発着)時間を守ることおよび低価格”を約束している航空会社です。 サウスウエスト航空は、その約束を果たすために「10ミニッツターン」と呼ばれる施策(着陸してから離陸するまでの時間を10分と定義し、その為のパイロットやキャビンアテンダントの業務内容を設計)、機内サービス排除、座席指定無し、といった様々な方策を展開しており、結果、多くのお客様を取り込むことに成功しました。

 

■ 戦略とアクションの一貫性

強固なブランドを構築している企業は、その原点に明確な企業戦略(どの市場でいかに戦うのか)とそれに基づく“ブレ”のないアクションが徹底されていると言えるのではないでしょうか。つまり、「ブランドを確立する」といった課題は、短期的施策のアプローチで解決できるものではなく、長期的視野に立ってじっくり取り組むべきものだと思います。 ブランドを担当する部署に所属しているのであれば、自社のアクションや管理指標を戦略と照らし合わせて、一貫性を語ることが出来るものかどうかを、まずはチェックしていただければと思います。

 

川原 慎也川原 慎也
外資系メーカーにおいて、営業、マーケティング、HRD、ブランドの職種を経て船井総研入社。高い問題解決スキルに基づいた「現状分析」フェーズにおける課題抽出は秀逸で、現場まで落とし込まれる戦略立案の重要なポイントとなっている。新規事業戦略、中長期経営戦略、マーケティング戦略等、多数の大型プロジェクトの指揮経験があり、厳しい状況におかれている企業や事業部からの期待に対して、確実に応える業務内容への評価は非常に高い。

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