経営幹部として真実を知る為のスキルとは

経営企画室.com 2009-02-25 14:44:44

08年9月のリーマンショック以降、世界的な不況が本格化し、当初「蜂に刺されたようなもの」と「対岸の火事」を決め込んでいた我国も、09年に入り、実体経済に大きな影響が出始めてきました。最近、クライアント企業の経営者や経営幹部との会話の中で、それらに関する話題に触れない日はないほど、市場はネガティブな情報で溢れかえっています。

このような時期は、経営者や経営幹部として今の市場の状況を正確に把握し、それをできればポジティブに自社の次の戦略構築に活用する事が、重要な課題となっています。

このことは、何もマクロ環境や市場環境の把握に限らず、自社の営業実績や組織の現状把握など、ミクロレベルでも同じ事が言えます。つまり市場が今のような深刻な不況期にある時は、往々にしてネガティブな情報が溢れかえり、マイナス面ばかりが見えてしまいます。

同様に一企業で見た場合も、業績が低迷している時には、自社のマイナス面(改善すべき面)ばかりが自然とクローズアップされてしまい、「短所是正型」のマネジメントに走らざるを得ないという現象が見受けられます。

自社にとってポジティブな情報を得る為にはどうすればよいのか?答えはシンプルで1. 正確な真実を知る事(知ろうと思うこと) 2. 日頃からポジティブな情報を得ようと心がける事 です。

例えば、先週発表された日本の08年10-12月の実質GDP速報値。年率換算でマイナス12.7%という驚異的な数字で、驚かされたわけですが、報道を見ていると、決まったように「外需依存度が高い日本経済は足元の世界的な景気悪化で大きな打撃」と、その原因について論じられています。

ここで考えてみます。日本経済はこれまでも当たり前のように「外需依存度が高い」といわれていますが、いったいどれくらい高いのかと。答えを先にお話すると、諸外国に比べて決して「外需依存度」は高くありません。「外需依存度」を数値化するとそれは「輸出対GDP比率」という指標になります。これを見ると実は日本は15〜16%程度。最近上昇してきたとはいっても、1〜2%程度の上昇です。諸外国と比べても決して高くはない数字。輸出の少ないアメリカの8%と比較すれば高いと感じるのですが、イギリスの18%、30%を超えるドイツ、中国、韓国に比べれば低いほう。数字でだけを見ればむしろ「内需依存型」といえるほどなのです。

ちなみ今週の月曜日に発表された同時期のタイのGDPは、年率換算でマイナス22.2%。タイの輸出対GDP比率は約70%に達します。タイこそまさに「外需依存度が高いため世界的な景気悪化で大きな打撃」と、その理由を語ることができます。

「外需依存度が高くはない」とすれば、円高でネガティブになるのではなく、むしろ円高によって輸入価格が減少し、相対的な消費の購買力が上昇する為、大歓迎という声がもっとあがってもいいはずなのです。一部のマスコミの偏った報道や、それにより生成された固定概念がこのような誤った認識を一般化させてしまう事がしばしばあります。

一企業においても同じ事がいえるのではないでしょうか。業界通例やこれまでの固定概念、数字的根拠のない「神話」や、偏ったデータに基づいた現状把握をなされているケースは少なくありません。実際に我々が客観的に現状分析をさせて頂いて、初めて知る事実や、クライアントが認識していた事実の真逆の結論に行き着くことは往々にあることです。

更にその中でも、現場で実際にコンサルティングをさせて頂いていて、今最も重要だと感じる事は、「いかに良い点、伸びている点を把握するか」ということです。悪い点、ネガティブな側面は、実は今のような不況の時代には、探そうとせずとも自ら浮き上がってくるものです。だからこそ、なおさら、意識して自社や社員の良い点、伸びている点を必至に見つけようと努力する必要があると考えるのです。

市況が低迷している時、業績が伸び悩んでいる時は、「短所是正」のマネジメントでの解決は非常に困難です。何故なら、どんな業種であれ、お客様の限られた消費マインドはより高度なものを選択していくからです。−100がゼロに改善されとしても+100の企業に消費が集中してしまうということです。だからこそ、自社の強み、長所、伸びている点を更に伸ばす戦略が、今の時代では限られた消費を囲い込む可能性が高いといえるのです。

既成概念を疑い、事実を正確に把握する事、中でもポジティブな面を捉えようとすること。今の企業経営者、経営幹部の皆様にとっては必要不可欠なスキルの1つといえるのではないでしょうか。

 

久木田 光明久木田 光明
大手・中堅不動産関連企業を中心に、戦略立案から戦術展開まで幅広いコンサルティングフィールドを持つ。正確なマクロ市場環境の分析から今後の市場展開を予測し各企業の潜在的なパフォーマンスを最大限に活用できる戦略の構築を得意とする。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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