アフターJ-SOX 〜内部統制構築技術〜(1)

経営企画室.com 2009-05-22 18:00:00

船井総合研究所の菊地と申します。

アフターJ-SOXとして、内部統制についてこれから数回に渡って考えてみたいと思います。

上場企業の皆様におかれましては、09年3月期決算の監査対応として、内部統制構築相当のプロジェクトを立ち上げ、ご尽力なされたことと推察いたします。

その関連でクライアントにお話を伺うと、当方としては疑問を持つご回答をいただくケースがいくつかあります。そのうちの一つは、今決算対応をもって内部統制は終わり、内部統制構築のために組成した組織やチームを解散させる、というものです。

 

まず、内部統制というのは、法施行に伴う時限的な今決算対応で終わりという性質のものではなく、事業の環境や内部構造等の変化に合わせて常に追随更新する必要がある仕組みです。
M&Aで傘下企業が増えたなどの大事は言うに及ばず、企業の事業構造や業務は刻々と変化しているはずです。あのシャープ社ですら、隆盛を誇った亀山ブランドへの注力の再考を検討しているようです。

現状の景況感のもとでは、事業構造の変革を迫られている企業も多く、それは結果として内部統制の再構築も必要となります。無論法的にも、内部統制が施行年のみの監査とは一言も言っていませんし、初年度はお試し期間とし、翌年度から厳格化する可能性もあると思います。

 

さらに、企業(グループ)の規模や事業数が大きい(多い)ほど、事業、そして事業遂行にかかる業務プロセスやリスクの全容を把握することは容易ではなく、J-SOXの喧騒に晒されなければ、業務プロセスの全体像の把握について、半ば諦めの境地に達していた企業も少なくないと思います。

それが、法施行の強制力に伴い、内部統制構築チーム等が立上げられ、見て見ぬフリをしてきた業務全容の把握が一定の成果として為されたはずです。つまり、内部統制構築チームには、今まで避けられてきた業務プロセスの全容に関する、知識やキーマンとの関係などが凝縮されているといえるのです。

それが、チーム解散とした刹那、雲散霧消してしまいます。
全社的な知識を持った人員というのは、現場に戻された時、そのままノウハウを現場に展開して成果が出るケースより、現場に埋没してしまうケースの方が多く見受けられます。なぜなら、現場には現場の業務があり、それが優先されて全社云々のノウハウ展開などはさほど評価されないことが多いからです。

 

以上2点から考えると、せっかく立ち上げた内部統制構築チームを今期限りで解散させてしまうという政策は、いかがなものでしょうか。

今まで聖域化されてきた領域に関して、某か蓄積されたノウハウを継続させ、法施行のためというだけの狭い意味ではなく、事業運営の精度を高める組織的機構として内部統制体制を継続させることが、短期的な人員効率よりも企業にとって効果的である可能性も十分に考慮した方がよいのではないでしょうか。

 

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菊地 広記菊地 広記
外資系ITベンダーなど10年間のIT技術者キャリアを経て現職に至る。現職では、チャネル戦略構築、持株会社設立、シェアードサービス会社設立、PMIなどの戦略系コンサルティングと、ITIL、情報セキュリティといったITコンサルティングを経験し、経営戦略とIT戦略の双方に造詣を持つ。コンサルティング活動としては、アウトプット主義を貫きつつディスカッションベースのファシリテーションによって現場をアクティベートする手法を得意とする。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

1件のコメント
  • monnki-

    組織を変えて行くのは難しいですね。
    次回も楽しみにしています

    2009年05月23日

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