動き続ける BI 市場

米野宏明(Hiroaki Komeno) 2008-01-22 23:32:43

皆様もご存じのとおり、この 1、2 年の間に、BI 市場におけるプレーヤーの顔ぶれがずいぶんと変わりました。私の耳にもいろいろな情報が入ってきてはいますが、プレーヤーの 1 人でもある私が他社の動向に茶々を入れてもまともには受け入れられないでしょうから、各社の状況や事情には触れず、あくまで客観的に今後の全体の流れを考えてみたいと思います。

大手プラットフォームベンダーによる大手 BI ツール専業ベンダーの買収が、Oracle による Hyperion、SAP によるBusinessObjects、IBM による Cognos と、このわずかの期間で進んでいます。ちなみに我がマイクロソフトは事業ではなく人を手に入れる目的で買収を進めることが多いので、ProClarity など中堅どころの買収にとどまっており、基本的には内製です。個人的にはちょっとつまらないですね、そんなドラスティックな買収劇も経験してみたいものです。それはさておき、これら大手 BI 専業ベンダーが相次いで身売りをした背景には、もはや BI 「ツール」 がコモディティ化している状況にあるのではないかと思っています。BI は経営者だけのためのものではないんだ、全社員が使うものなんだ、などと、どのベンダーも言ってはみたものの、これらの大手 BI ツール専業ベンダーが提供してきた、いわゆる分析ツール群は、所詮は個人利用のアプリケーションでしかなく、使いこなせる人は限られます。SAS や SPSS のようにニッチな分野で、特定の人のかゆいところにはすべて手が届くような分析機能を提供するのでなければ、ボリュームゾーンのユーザーからすれば、ちょっとした見栄え以外にどのツールも大差はないと感じてしまうわけです。売る側からすれば、出口で差別化できないなら入口を変えるしかないのが道理、それで ERP のデータを有効活用しましょうとか、いや BAM (Business Activity Monitoring) でリアルタイム エンタープライズを実現しましょう、はたまた CPM (Corporate Performance Management) で企業改革しましょう、という方向に振れてきています。

つまり、売り方からみても、もはや BI はアプリケーションではなくシステム インフラなのです。だから引き続きアプリケーションとして差別化できるニッチな領域を持つベンダー以外は、単独では生きづらくなってきた。だから展開のアーキテクチャが重要、そこで CPM のような方法論がセットでついてくるようになっている。

さてそのコモディティ化した市場における勝者は誰なのか?あくまでツールとしてなら、価格競争により市場を独占するベンダー、またはニッチに絞り込んで高い参入障壁と収益率を維持するベンダー。そしてシステム インフラとしてみるのならば、強力なバイイングパワーを持つインテグレーター (いわゆる SIer に限定した話ではありません) でしょうね。さて、誰がどれになっていくのかはわかりませんが、いずれにせよこのまま終わるとは思えません。既に第 2 幕、3 幕が用意されていることでしょう、ちょっと楽しみです。

米野宏明@マイクロソフト

※ 本エントリーの内容は筆者個人の見解に基づいており、マイクロソフトの見解を示すものではありません。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

SpecialPR