Visio Services による新しい可視化のかたち (SharePoint 2010 がもたらす BI 革新 - 第 2 話)

米野宏明(Hiroaki Komeno) 2010-02-22 00:05:54

SharePoint 2010 に搭載される “Visio Services” は、BI のユーザビリティに革新をもたらす新機能です。利用者にとっての使いやすさだけでなく、作り手にとっても想像力を掻き立てる楽しいツールです。Visio Services は、Excel と Excel Services との関係と同様、デスクトップ アプリケーションである Visio で作成したコンテンツを、SharePoint 上で Web ページにレンダリングして表示します。描画には Silverlight を用いていますので、デスクトップ Visio と同等の表現力を再現しています。

Web 版 Visio で “BI ドローイング”

Visio そのものをご存じない方のために改めて説明しておきますと、Microsoft Visio は、ビジネス ドローイング、すなわちフローチャートやフロアレイアウトなど、部品化された絵をドラッグアンドドロップ操作で並べて図面を作るのが得意なデスクトップ ソフトウェアです。また単に絵を描くだけでなく、一つ一つの部品 (シェイプ) とデータを連携させ、背景色を変更したり数値やアイコンを表示したりすることもできます。さらに各シェイプは 「シェイプシート」 と呼ばれるプロパティデータベースを持っており、シェイプシートの各プロパティに関数を埋め込んでおいたり、外部プログラムから値を操作したりすることで、シェイプの位置や色などを動的に変更することもできるようになっています。豊富なテンプレートが用意されていますので、誰でも簡単にさまざまなビジネス図表を作成することができます。

Visio Services はこの Visio の動的な図面をブラウザ上に表示します。今まで Visio 図面を Web ページ形式で保存しようとすると、ベクターグラフィックス形式の静的な絵として出力されていましたが、Visio Services では、SharePoint 2010 上に保存された Visio ファイルを Silverlight コンポーネントが読み取り表示します。個々のシェイプも認識されているため、Visio 図面の特定のシェイプをクリックしたときに SharePoint 2010 上の他の Web パーツ、たとえば Excel Services にシェイプのタイトルやカスタムプロパティの値を渡すことなどができます。またデータベースと連携した Visio 図面であれば、データベースの値の変化に応じて Visio Viewer 上の図面の特定のシェイプの背景色を変更したりすることもできます。

エンドユーザーのためのマッシュアップおよび RIA 開発ツール

このような Visio Services により、データの可視化の幅が大きく広がります。たとえば製造プロセスをフローチャートで表現し、ボトルネックが発生しているタスクを赤信号で表示することができます。実は SharePoint 2010 にはワークフロー機能が標準搭載されていますが、Visio で作成したワークフロー図を SharePoint のワークフローに変換し、さらに進捗ステータスを Visio Services 上に表示されるワークフロー図で把握 (どこまで進んでいるのかが図の上にポイントされる) するようになっています。また日本地図や世界地図などを描いておき、売上分布と各地域のシェイプをひもづけて、業績俯瞰図を作ることもできます。図は数字とグラフだけでは読み取りづらい定性的な情報を含むことができますので、より多くの利用者がスムーズに利用できるようになるでしょう。しかもこうした図を作るのに専門的な知識は不要、ドラッグアンドドロップ操作を中心にお絵かき感覚で出来てしまうのです。

さらに、こうした Visio Services 図面をいわばナビゲーション メニューとして利用し、たとえば世界地図で特定の国のシェイプをクリックしたときに、SharePoint 2010 上の Excel Services がその国の売上実績推移表やグラフを描画、さらに担当者のコンタクト情報を表示したりするような、マッシュアップ的な一種の Web アプリケーションを構成することもできます。シェイプは標準で搭載されているもの以外にも、独自に作成して取り込むこともできますから、つまり Visio によるリッチな表現力を使って、まったくコーディングなしに、操作性が高く見栄えのする Web アプリケーションを自由に簡単に作ることができるようになるのです。いわゆる RIA をノンテクのビジネスユーザーにも開放したという意味においても、この Visio Services は革新的なツールと言えます。

Visio は今まで、フローチャートの描画など比較的限られた分野において使われてきた、どちらかというとニッチなアプリケーションでした。しかし、SharePoint 2010 の Visio Services と組み合わせることで、これからは、BI を含むビジネス アプリケーションのインターフェースとして利用の拡大も大いに期待できます。

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※ 本エントリーに記載する機能および画面デザインは、開発途中にあるベータ版製品に基づく内容です。今後断り無く、変更される可能がありますので、あらかじめご了承下さい。

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