配属されたら、知っておきたい情報セキュリティ(4)

呉井嬢次(Johji Kurei) 2007-06-12 15:42:00

 体と頭が新しい職場に馴染まないが故に、期待されることがある。今回は、発売前の製品評価を取り上げる。ここで説明する製品とは、ハードウエアに限定せず、ソフトウエア、サービスにも共通点は多い。製品評価を行った新入社員に聞くと、発売前の製品の内容を誰かに話したくなるという。でも、しゃべる前に、ちょっと待って欲しい。

製品の評価版が市場に出るとは限らない

 発売前の評価、テスト段階で、製品の仕様を変更することは珍しいことではない。自社製品の評価版の感想が正しくても、実際に発売された製品には、機能仕様が変更・削除されれば、感想も変わってくるだろう。メーカーの社員の者が製品に関する発言をすれば、顧客に誤解を与え、会社への信頼を失うことになりかねない。

 そんなリスクがあるなら、新入社員に製品の評価テストを依頼しなければ良さそうなものだ。でも、製品に対する知識がゼロに近い状態、つまり、顧客に近い立場で評価してもらうには新入社員は都合が良い。こればかりは、古参社員には無理だ。古参になれば、業界や製品に対する知識が豊富だから、顧客の立場で評価は難しいのだ。よって、身近な新入社員に評価を期待するテストが行われている。

色々な製品の評価テスト版

 製品として市場に出荷する前に、幾つかのテスト版が存在する。評価テスト段階では、シンプルで高速処理が心地良く、気に入っても、製品では、部品が変更され、処理速度を落していたり、サイズ変更がされていることがある。その逆に、軽量化が図られて、良くなっていることもある。一般には、良くなることが多い。メーカーやベンダーによって呼称は異なるが、評価テスト版の製品を、アルファ版、ベータ版と呼ぶ。

 アルファ版は、企画段階で、仕様を確定する為に作成されることが多く、試行錯誤して作成されたテスト版の呼称だ。アルファ版は、手作りで、1つであることが多い。これに対して、ベータ版は、試作量産型で、仕様を決定した後に、生産ラインで出荷される段階で評価テストする製品の呼称である。

 このような評価テスト版には、不具合が生じた時に備えて診断ポートが搭載されたり、組み込まれたソフトウエアにはリセット機能や、余分な検証用コードが含まれている。このような存在は、製品のセキュリティに左右する。このため、評価テスト版は、回収され、製品として出荷する段階では、セキュリティに影響を与える機能は取り外される。

市場動向を意識して公開されるベータ版

 アルファ版、ベータ版の製品は、厳密に市場に出回らない。しかし、最近のソフトウエアの場合は、ちょっと勝手が違う。利用者から広く声を取り入れる目的、セキュリティ確保とした脆弱性の発見を促す目的、安定性や性能をアピールするビジネス戦略などから、ベータ版を積極的に配布することがある。

 注意して欲しいのは、開発段階のベータ版と公開されるベータ版とは、意味合いが異なるということ。最近では、アップルがブラウザをウインドウズ版に移植したベータ版を公開した。早速インストールして試してみた人は、該当ブラウザの宣伝、ビジネス戦略の術中にはまった人だ(いい意味で)。製品になる前のベータ版には、新しい機能、スリル、驚きが隠されており、結構楽しいのがベータ版だ。

社内評価の結果は、ウェブ、ブログでも公開しない

 もし、配属先で製品の評価、テストを依頼されたら、許可されない限り、社外で発言は控えることだ。家族や知人はもちろん、最近ではプライベートのホームページ、ブログでも公表しないこと。誰も知らない新製品の存在をずっと黙っている必要はない。後日、製品が公式に発表されたら、その製品を思いっきり紹介すればいい。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

SpecialPR

  • ビジネスの継続的な成長を促す新たなITのビジョン

    多くの企業においてITに求められる役割が、「守り」のコスト削減から「攻め」のビジネス貢献へとシフトしつつある。その中でIBMが提唱する新たなビジョンEnterprise Hybrid ITとは?

  • デジタル変革か?ゲームセットか?

    デジタルを駆使する破壊的なプレーヤーの出現、既存のビジネスモデルで競争力を持つ
    プレイヤーはデジタル活用による変革が迫られている。これを読めばデジタル変革の全体像がわかる!