住民票の写し、500円は、なぜ高いと感じるのか

呉井嬢次(Johji Kurei) 2007-10-15 16:47:00

 住民票の写しは普通300円だが、夕張市では500円。理由を探せば、財政破綻、システムの維持保守の高騰など、幾らでもある。言われた理由で納得する人は、年金問題を見つけ出すことが難しいように、値段はどこから算出されたか、検証した人はいるのだろうか、と思考回路を組み替えることが、スタート地点だ。セキュリティでビジネスして普及させる場合は、まさにコレが求められる。

住民票の写しの費用は、どこから

 皆さんの住んでいる所では、住民票の写しの費用は幾らだろうか。東京近郊で調べたところ、300円が最も多い。ついで350円となる。このような情報は各自治体のウェブで調べることができる。必要な書類や費用もわかるので、足りなくて、再訪問する失敗を防ぐことができる。時間を節約したい人なら、
記入する書式だってPDFまたはワード形式でウェブに置かれている。事前に記入して持参すれば、時間の節約になる(印刷費用は自分で持つことになるが)。まるで地方行政にITを売り込むメーカーのセールストークのようだ。

電子化に対応すれば、費用は3分の1に

 さて、問題は夕張市では500円というように、住民票の写しは自治体によって異なることは各自治体のウェブから確認できることにある。隣よりも何故高いのか、同じサービスを提供して、この差はどこから来るんだ?と疑問を持てば、最初の第一歩が大切だ。

 住民基本台帳ネットが自治体に浸透し、そのシステム保守管理費用が自治体に経済的な負担になっていることに気づいたのは地方議員だった。多くの自治体は、総務省に逆らうこともなく、予算に計上、承認された。

 さて、住民票の写しに話を戻そう。この値段は、紙で発行される場合の値段である。しかし、世の中は電子化の時代、発行は紙に限定するのは、時代遅れのように思えないだろうか。

 既に、運転免許証、パスポートにICチップが埋め込まれている。安全性の問題も懸念されているが、住民基本台帳カードだってある。これらを活用すれば、住民票の写し(電子署名版)だって十分に可能だ。電子版であれば、その費用は3分の1(たとえば、100円)に抑えることができる。

 つまり、ITを使えば、同じ効力を実現できるのに、費用は紙の時代の値段を引き継いでいる。これは、国民が国債を購入した時に支払う費用も同じだ(金融機関は、手数料で稼ぎたいので価格を見直すことはしないようだ)。当時の国際は紙で管理していたが、現在はコンピューターの中でデータ管理されている。それだけ経費削減が行われているのに紙の値段のまま運用されているのである。

電子署名の普及と、その費用の妥当性

 住民票の写しは、金融機関の口座開設にはじまり、必要とされる。それは本人である簡易的な証明である。これがインターネットになると、本人を証明する手段として、簡易的な方法は、電子署名となる。電子署名のある電子メールでは、事後否認の防止に役立てることができる。しかし、日本では電子署名が個人レベルで普及していない。その理由として、毎年6千円も費用がかかることにある。

 さて、6千円という費用は、どこからくるのだろうか。電子認証する組織の維持運営費用もあるだろう。しかし、登録時、有効期限切れる時以外にシステム上大きな作業的な負担はかからない。ここにカラクリがある。

 電子署名を発行する組織の価格の横並びが一因にあると思っている。2年で1万2千円としている企業もあるし、1年で約7千円に設定している企業もあるが、不思議なことに、およそ6000(円/年)なのである。

ウイルス対策ソフトの年間維持料と比較する

 電子署名を利用すると、およそ6000(円/年)だが、似たような契約ではウイルス対策ソフトのサポート費用がある。こちらも価格競争が激しいが、およそ2000円から数千円(1台あたり)である。そのサポート料は、以下の3業務実施していることを考えると、費用に見合ったサービスだろう。

 −新しいウイルスを素早く入手しする
 −ウイルス定義ファイル(更新データ)を作成する
 −契約利用者に、提供して、ウイルス感染を防止する

 これに対して、電子署名は、相応のサービスと言えるだろうか?色々調べてみたところ、どうも電子署名を提供する企業側の努力は足りないような気がする。
   電子署名の費用が高い -> 利用者が少ない ->
  -> システム維持費用がまかなえない ->  電子署名の値段はそのまま ->
   -> 電子署名が普及しない -> (繰り返し)

電子署名の費用を安くし、安全性を高めれば、、、

 結論から言えば、電子署名を安く提供し、普及させると多くの利点が
出てくる。

 −電子的な証明書の普及
 −SPAMメールの減少
 −違法サイトの明確化

 まずは、企業独自、大学独自のオレオレ電子署名でもいいから、組織内でのみ有効な電子署名を普及させることからスタートしてはどうだろうか。それから、企業同士、大学同士に普及させていけば電子署名の普及につながっていくと思う。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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