フレックスタイム制度は好きじゃない

前川賢治(Kenji Maekawa) 2010-02-24 15:00:00

1月は行き、2月は逃げて、3月は去る…
僕らの会社も世の中の多くの会社と同じように3月が決算月なので、年が明けてからの3ヶ月間は何かとドタバタするのだ。何しろ、3月末にはお客様から検収を頂かないと売り上げを計上できないので、いろんな仕事の締め切りが次々と押し寄せてくる感じがする。
この時期は生活のリズムを崩さないように気を付けねばならない。どんなにお酒を飲もうが、徹夜で作業をしようが次の日の仕事には影響がなかった若い頃とは違って、最近は生活のリズムが狂うとすぐにヘロヘロになってしまうのだ。

僕らの業界(特に技術職)では、フレックスタイム制度を導入している会社も多いと思います。最近はフレックスタイム制度を廃止する企業も多いらしいけど、みなさんの会社ではどうでしょう?

僕はフレックスタイム制度がどうも好きじゃない。

元々、フレックスタイム制度というのは、個人のライフスタイルや仕事の進め方に合わせた時間を設定することで創造性や生産性を高めるための制度で、厚生労働省のホームページにも、「我が国の経済社会は、サービス化や情報化の進展、為替相場の変動に伴う国際競争の激化等大きな変化に直面しており、今後我が国経済が高い生産性と創造性を追求していくためには、労働者が個性と能力を十分発揮できる働き方が必要となっています。一方、労働者の価値観やライフスタイルの多様化に対応して働き方に関するニーズが多様化し、より柔軟で自律的な働き方への志向が強まっています。このような状況の下で、一律的な時間管理がなじまない状況が徐々に拡大しつつあると考えられ、特にホワイトカラー層を中心として、より自律的かつ効率的な働き方に応じた労働時間管理を進めていく必要があります。」と書いてある。

また、通勤ラッシュも分散されて緩和するし、オフィスのIT化が進めば、社員同士が顔を合わせなくても、メールやイントラネットを使用することでスムーズに情報が伝達できるようになるので、フレックスタイム制度はネットの時代に合っているという理屈だ。またアンケートによると、いまだに技術職の約8割の人が「フレックスタイムはあった方がいい」と回答しているようでもある。

実は僕も若い頃、技術職はフレックスタイム制度にした方が絶対に仕事の効率は上がると思っていた。勤めていた会社はフレックスタイム制度ではなかったにも関わらず、会社のルールなどは無視して自分のチームだけ勝手にフレックスタイム制にしてしまった。その当時の僕の言い分としては、以下のようなことだったと思う。

  • 開発するにはじっくり考える時間が必要だし、邪魔が入らない時間や家で仕事をする方が圧倒的に効率的である。時間通りに会社にいるだけで大した仕事もできない人より、何倍も成果を出す自信がある。むしろ会社にいるだけで役に立たない人を淘汰すべきだ。
  • 情報やノウハウの共有はメールで十分だし、わざわざメールで説明しても分からない人にフェイス・トゥ・フェイスで説明しても分かるはずがない。むしろITをまともに使えない人の方に問題がある。みんなで無駄な会議をして時間を潰すくらいなら、もっと生産的なことに時間を使うべきだ。
  • 仕事ができない人を基準にした会社のルールを適用されたくない。実際、我々のチームは社内でも社外でも高く評価されているし、自分たちは技術者として食っていけるだけの能力があるのだから、別に会社の枠に収まる必要はない。

しかし改めて思い返してみると、若気の至りとは言え、どうしてそこまで思い上がれたのか自分でも不思議なくらいで、今となっては冷汗三斗の思いである。当時の上司や業務管理部には大変ご迷惑をお掛けしました。反省しております。汗;

今の僕は昔の自分に次のように反論する。

  • 自分の仕事の効率だけを上げても、全体の生産性を上げることにはならない。仕事に関係する人全員が常に素晴らしく優秀なオールスターメンバーであれば理想的だが、現実にはそんなことはあり得ない。いろんな制約条件がある中で、それぞれがそれぞれの能力を発揮して、より大きいチームとしての成果を上げるにはどうすべきかを考える必要があるだろ。
  • みんながパラパラと出勤して自分の仕事だけをこなすチームが本当に効率的な仕事ができるだろうか?そのチームで継続的に本当に良いものを生み出せるであろうか?新しいアイディアが浮かぶのは、いつも自分が予期しないところやタイミングで、自分が予期しないインプットがあったことがきっかけだったではないか。自分の想定範囲内での作業効率を上げることだけでは発想の広がりは生まれないよ。
  • 以前「オフィスでのひとり言」にも書いたが、コミュニケーションに本当に必要なのはアナログの時間を共有することだと思う。ITはコミュニケーションの補助はできたとしても、アナログの対話を代替できるものではない。むしろ、アナログの対話の効果を上げたり、対話の時間や機会を増やすためにITを活用するべきである。情熱やら愛着やら友情やら理屈では説明しにくい感情で人は行動する。実際、自分だってそうだろうよ。
  • 個人差はあるにしても、規則正しいリズムで仕事をした方が最終的には効率的である確率が高いと考える方が科学的である。睡眠によって記憶が整理されるので起きた直後は脳が整理された状態になっていて、朝一番は脳のゴールデンタイムで特にクリエイティブな仕事に向いているらしい。(脳科学者の茂木健一郎さんがテレビで言っていた) また、人間の体内時計は季節の移り変わりに対応するための遊びがあって、本当の時間とは少しだけずれているということを聞いたことがある。だから、時間を強制されることなく自分の体内時計だけで生活すると、知らず知らずのうちに昼と夜が逆転してしまうらしいのだ。確かに、フレックスで仕事をしているときはそんな感じだった。仕事の始まりが強制されないこともあるが、仕事の終わりも強制されないので際限なく続けてしまうのだ。これはどう考えても健康的ではないよ。

今更だけど、やっぱりフレックスタイム制度は好きじゃない。

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前川@ドリーム・アーツ

 

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