メール以外の社内コミュニケーションを考えてみる

前川賢治(Kenji Maekawa) 2010-09-16 10:00:00

前々回前回と会社で使用するメールについて書きましたが、会社ではメールが最もよく使われるコミュニケーション・ツールです。しかし、メールは特に発信者にとって大変便利なツールであるため、あらゆる業務連絡をメールで通知することで、気がつくと大量の同報メールが飛び交っているというような状況になりがちです。その結果、必要な情報が受信者の個人宛メールとして埋もれてしまったりすることはないでしょうか?

特に複数の部署や担当者に対する業務連絡などは、とにかく関係すると思われる担当者にメールを一括配信したり、Ccに沢山の人を指定するのではなく、もっと効率的に情報を流通させる工夫をしたいところです。前回も書きましたが、なにしろ会社における個人の役割は人事異動も含めて常に変化していくものなので、その情報の属性に関わらず、すべて個人のメールボックスに情報が蓄積されるような状況はなるべく避けたいからです。
そこで今回は、元々お客さんからのリクエストで作った、INSUITEの業務連絡(連絡・通知)機能を話題にしたいと思います。

  

INSUITEの業務連絡(連絡・通知)機能は、

情報を必要とする部署や担当者に、整理された情報を確実に届けることで、メールによる情報の洪水を治水し、より効率的で確実な業務連絡や連絡・通知を行うことを目的としています。
この機能を実装するにあたり、お客さんから頂いた代表的な機能要求は以下のようなものでした。それぞれの機能の見出しだけを見れば、どれも当然必要と思われる機能なのですが、実際には、当初僕たちが作ったものと現場で必要とされる機能のギャップがあり、現在に至るまで何度かの改築が必要でした。(改築は現在も継続していますが…)

■受信対象となる範囲をユーザ・グループの選択で定義できる機能:
宛先にユーザや組織を設定するだけでは不十分で、複数の条件の組み合わせで対象となる受信者を正確に定義できる必要があるとのこと。

宛先を複数のユーザ・グループの条件(AND/OR)を組み合わせて定義した上で、特別に追加するユーザや特別に除外するユーザを設定できる機能を用意しました。

■発信文書に対して上司に内容の確認と承認を受けてから発信する機能:
上司の承認を受ける必要がある場合と、承認を受けなくても発信できる場合があるとのこと。また、発信文書と発信文書に添付される回答フォームは別々に確認・承認する必要があるとのこと。

 発信文書・回答フォームそれぞれに承認機能を用意し、それぞれ承認なしでも発信可能とするオプションも追加しました。また承認者のポータル画面には確認待ち一覧が表示されるポートレットを用意しました。

■既読・未読の情報を発信者が確認・集計できる機能:
ユーザ単位の未読・既読だけでなく、部署単位での未読・既読(受信部署ごとに対象者何人中の何人が閲覧しているか)の確認が必要とのこと。

ユーザ単位での既読・未読集計と部署単位での既読・未読集計の一覧表示およびCSV出力できるようにしました。また、発信者側で発信文書を変更した場合に、既読情報をクリアできる機能も追加しました。

■発信文書に対して複数のカテゴリを設定できる機能:
普通は受信者に関係あるカテゴリに含まれる文書のみを表示させたい。ただし、関係ないカテゴリを含む文書も閲覧したい場合もあるとのこと。

受信者が自分に関係あると思われるカテゴリ(複数)を選択しておけば、選択したカテゴリを含む文書を優先的に表示させるようにしました。また、別のカテゴリを選択すれば、選択したカテゴリを含む文書が一覧表示されるようにしました。

■簡単に回答フォームを作成して集計できる機能:
実際に必要とされている回答フォームを見せて頂いたところ、当初考えていたフォームよりも相当複雑な回答フォームで、とても1ページには収まらないようなものでした。一方、ちょっとした簡単な回答フォームをササッと作りたい場合もあるとのこと。

簡易フォームと詳細フォームの2種類を用意することにしました。詳細フォームでは、複数ページに跨る複雑なフォームをブラウザ上で作成する機能を用意しました。また、回答期間の指定、回答対象者の指定、同一ユーザまたはグループで複数の回答を許可するかどうか、一度回答した内容の編集を許可するかどうか、匿名の回答を許可するかどうか、回答フォームから他のユーザの回答内容を参照できるかどうか、などなど様々な属性をフォーム毎に設定できるようにしました。

■事前に発信文書のテンプレートを作成できる機能:
定義されたテンプレートを選択して発信文書を作成すること以外に、作成中の文書に対してテンプレート定義を適用することができるようにしたいとのこと。

 テンプレート定義画面で作成中の文書に適用される項目を選択できるようにしました。

■ポータル画面上で強制的にポップアップさせる機能:
どうしても告知したいものについては、ログイン直後に強制的にポップアップさせたい。ただし、強制ポップアップさせる文書を発信できるユーザ・グループはシステム管理者側で限定したいとのこと。

 発信グループごとに、発信できる文書の種類(通常の連絡事項、ポップアップさせる連絡事項、回答フォーム付きの連絡事項)を設定できる「発信グループ設定」を追加しました。

■国際化対応:
アプリケーションが受信者ごとの言語で表示されるだけでなく、連絡期間や回答期間は、受信者の現地時間に合わせて設定されることが必要とのこと

連絡期間に指定された日時は、受信者のタイムゾーン設定に従って開示・終了されるようにしました。

■受信者が入力した回答フォームの内容を上司が確認した上で返信できる機能:
部門としての正式な回答をする場合には、回答内容を上司が承認した上で発信者に返信する機能が必要とのこと。

 発信側での発信文書や回答フォームの承認と同様に、回答内容の承認機能も追加しました。

■受信した文章にマークを付ける機能:
個人が受信文書に対してマーク付けをするだけではなく、部署でマーク付けを共有したい場合があるとのこと。

 受信文書に対するマーク付けをユーザ単位で保持するか、所属グループ単位で保持するかを設定するオプションを追加しました。

■受信した文書を転載・転送する機能:
部署の代表者が受信した文書を、ワンクリックで担当者に転送したり、部署内の連絡掲示板に転載したり、回覧として関係者に回したりする機能が必要とのこと。

 受信文書の内容を反映して、メールの作成画面、連絡掲示板の登録画面、回覧の登録画面を起動するボタンを追加しました。また、部署内の連絡掲示板や回覧に転載可能なユーザを限定できるように、受信部署のオーナーによる受信設定画面も追加しました。

■システム管理者による各種の権限設定、制限値の設定:

 システム管理者の設定画面で設定できる項目を追加していった結果、どうも設定項目が増えすぎた感があります。

 

その他にも細かい追加・修正項目は数知れず。一般的には「通知」、「通達」、「お知らせ」、「連絡」、「掲示板」など、機能の呼び名は違えども、誰もが想像できる単純なアプリケーションだと思いきや、敵もなかなか奥が深いのです。これを1からスクラッチで開発するというのはあまりに大変だと思われ、過去のノウハウが組み込まれているパッケージソフトを利用するという選択の方がリーズナブルだと思います。

 

この業務連絡(連絡・通知)機能を含め、INSUITEで提供している機能の中で、コミュニケーションをとる相手によって、それぞれに向いている方法を使い分けることで、何でもかんでもメールでやりとりするよりは随分と効率的だし、必要な情報が個人のメールボックスに埋もれてしまうことを防ぐことができるのではないかと思っています。

コミュニケーションをとりたい相手の人数と、自分側でコミュニケーションの内容を共有すべき人達の人数で、向いているコミュニケーションの方法を大雑把に整理してみました。

  • 自分側も相手側も1人(1:1)のコミュニケーションは普通にメールを利用
  • 自分側が複数人で相手側が1人(n:1)のコミュニケーションは、前回ご紹介した共有アカウントのメールを利用
  • 自分側が1人または複数人で相手側が複数人(1:n、n:n=部署間の業務連絡)のコミュニケーションは、今回ご紹介した業務連絡(連絡・通知)機能を利用

 

今回ご紹介した業務連絡(連絡・通知)機能は、これまでお客さんからの機能要求を元に機能を追加してきた訳ですが、現在に至っては少し反省点もあります。

機能としては、必要十分なものに近くなったと思うのですが、次々と機能を付け足したために、特に始めてご紹介するお客さんには、「機能がたくさんあるのは分かるけど、何か難しくてよく分からないよ」というようなご意見も頂戴しています。お客さんの細かい機能要求に答えようとした気持ちは良かったのですが、結果的にアプリケーションとして少しややこしくなりすぎた感があります。

そんな訳で、これまでの反省を生かして、メールと同じように普通に使えて、1:nやn:nのコミュニケーションにおいてはメールよりも断然便利で効率的なツールにすべく、現在、業務連絡(連絡・通知)の次期バージョンを作っているところです。

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前川@ドリーム・アーツ

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