僕らの成人式

前川賢治(Kenji Maekawa) 2016-01-15 11:00:00

今週は成人式の晴れ着姿の人達を見物しに明治神宮に散歩に出かけてきました。
僕は華やかな晴れ着姿とその後ろをカメラを持って歩く親の姿を見るのが好きです。

子供が成人を迎えた親の気持ちが分かる年齢になった今、まだ何になりたいのかも分からず自分には何も取柄がないように思えた二十歳の頃の自分を思い返して、少し胸がキュンとするのです。

今年で僕は51歳になりますが、今年は子供が成人を迎えた同期の友達が多く、Facebookでも次々と子供の成人式の写真がアップされていました。写真を見て思わず笑ってしまう程、みんな見た目は両親にそっくりです。それぞれに色んなことがあるのだろうけど、とにかく成人式を迎えられたことにおめでとうと言いたいし、これからの未来に幸あれと心から願います。

そしてドリーム・アーツも今年で会社設立20周年を迎えます!

つまり、今年成人式を迎えたのは、僕らが会社を設立した年に生まれた子供達だということで、ちょっと感慨深いものがあります。

ところで、最近少し世代の違いを意識することがあります。

僕は趣味でバンドをやっているのですが、演奏する曲は「次のライブでこの曲をやるのでよろしく」みたいな感じで送られてきます。

ひと昔前なら、まず譜面を買って、耳から血が出る程何度も曲を聞き返して耳コピをしたものですが、今ではまずYoutubeを検索することから始めます。

ある程度知られている曲なら、腕に自信のある人(場合によってはアーティスト本人)によって「〇〇を弾いてみた」とか「〇〇を叩いてみた」というような動画をYoutubeで簡単に見つけることができます。僕らのようなヘボなレベルでは耳で何度聞いても絶対に解析できないような演奏でも、動画を見れば「なるほど、そんな風にやるのか〜」ということが明確にイメージできて、それを再現できるように時間をかけて個人練習すれば何とかなる場合が多く、譜面を頼りに耳コピするより圧倒的に効率が良いし、演奏のレベルも格段に向上するのです。

80年代前半、広島の田舎で本物の演奏シーンを見られる機会は、ベストヒットUSAでたまに流されるライブ映像だけであった世代としては、今更ながら「それを早く教えてよ〜」という思いです。

実際、Youtubeが当たり前である若い人がレベルの高い演奏を動画で見て真似をすることで、さらにレベルが上がるというような相乗効果もあってか、いわゆる「バカうま」といわれる演奏レベルの人が昔と比べてすごく多くなったように思います。僕らでは一生練習しても絶対にできないような超技巧と思える演奏を、高校生ぐらいの人(女の子も)が涼しい顔で完コピしてたりして、全くもって太刀打ちできません。恐ろしいことに、彼らはまるでゲームのステージをクリアするか如く、わずか数年でそれをマスターしているのです。

もっとも、音楽のプロとして食っていくには演奏技術だけではない「アーティストの世界」が必要なのだろうと思いますが、単純に演奏技術という点では、本当に「お前ら、一体どうするつもりじゃ!」という笑えるレベルにすごい奴には結構出会います。

ITの技術についても、楽器の演奏技術と同様のことがあるのではないかと思っています。とにかく情報に飢えていた僕らの世代の感覚を、あらゆる情報が溢れていて誰もが容易に入手できる現在に当てはめるのは少し違うのではないかと…

例えば、今なら技術的スキルを取得するために僕らが費やした時間と同じ時間は必要ないはずだし、同じ時間内でも取得できるスキルのレベルは僕らより格段に高いはずです。しかも、情報だけでなく必要なツールなども圧倒的に入手しやすい状況にあり、クラウド環境で実際に試してみることも、AppleStoreなどで自分の作品を世に出すことまでも普通にできます。
このような環境の変化から考えれば、僕のようなヘボなエンジニアには太刀打ちできない知識やスキル、アイディアや経験を持った若い人達に圧倒されてくるのは必然に思えます。今はまだまだと思っていること自体が、実は無意識に時代の本当の変化から目を背けていることなのかも知れないし、むしろ自分の過去の栄光が、逆に若い人たちの障害になっている可能性もあります。

もちろん、音楽の世界で演奏の技術だけではやっていけないのと同じで、ITの世界においても技術的な要素はほんの一部でしかないし、ことさら自分の経験値を自虐的に落とす必要もないとは思いますが、今とは時代の異なる自分の経験値をすべての物差しにするのもいかがなものかと思うのです。

そんなこんなで、昨年のCTO交代に続いて、今年から僕たちの会社の開発体制も大きく変わりますが、そうは言っても毎年利益が出なければ会社の存在が許されない厳しい現実の中で、我々が有機的かつ自律的に同一目的に向かって移動する集団になるために、果たして自分はどういう役割を果たすべきか、会社設立20年目にして少しばかり迷い悩んでいる今日この頃なのです。

僕らの会社の1st Decadeは自分たちの未熟さと創業期の混乱の中で過ぎていき、2nd Decadeは生き残るために一生懸命働いた結果、ある程度の顧客基盤を築くことができたと思う。

しかし、果たして設立20周年を迎える僕らの会社は、責任ある大人の会社であると胸を張って言えるだろうか?

実情は、我々のお客さんの”親心”によって成り立っている部分が大きく、成人式を祝って浮かれる状況にはまるでない。

本当の意味で大人の会社として成人を迎えるのはまだまだ先のようで、会社としても僕個人としても、今後も不断の努力が必要であることは明らかであるし、3rdDecadeを迎えた我々は、これまでの延長線上ではない挑戦に挑まなければ生き残っていくことはできない。

何しろ、僕の娘はまだ一歳で、彼女が成人式を迎えるまで次の20年も僕は元気に働かなければならないのである。

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前川@ドリーム・アーツ

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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