展示会でのお馬鹿な思い出

前川賢治(Kenji Maekawa) 2016-03-17 16:00:00

先週、東京ビックサイトで開催されたリテールテックJAPAN 2016に、僕たちの会社で提供する多店舗運営のベストプラクティス・サービスである「Shopらん」が出展されたので、展示ブースの様子を見るために久しぶりに大規模な展示会というものに行ってきました。
僕が行った水曜日は雨が降っていたので来場者もそれ程多くないだろうと踏んでいたのですが、実際には受付の行列にちょっとイラっとするぐらい来場者も多く、会場は大変な活況を呈していました。
「Shopらん」は日経BP社が選出するクラウドランキングで、SaaS部門のベストサービス賞を4回連連続で受賞しており、現在では20,000店舗を超える店舗運営をサポートする我々の会社を代表するサービスに成長しました。その勢いもあって、今回のリテールテックの出展ブースでも、我々が自信を持って提供する「Shopらん」を、より多くのお客さんにご紹介しようと、スタッフがあの手この手で工夫を凝らしていたようです。 

僕も大規模な展示会には久しぶりに足を運んだのですが、思っていた以上の会場の熱気に、かつて情報・通信系の展示会が花盛りであった1990年代のことを思い出してしまいました。
なにしろコンピュータが物凄い勢いで世の中に広まっていったあの頃、まだインターネットというものも存在しておらず、次々に生み出されてくる新しい製品の情報を得るのは展示会が主流であった時代に、企業側が展示会に投入するパワーも凄いものがあり、会場は本当に熱気に満ち溢れていました。
そんな、僕がまだ20代前半だった頃のお馬鹿な思い出を一節。

Jリーグが開幕した1993年、当時僕が所属していた事業部が鹿島アントラーズのスポンサーになることになった。

今となっては考えられないが、当時の日本ではサッカー人気は低迷しており、新しく開幕するというプロリーグに対しても、世の中の関心はそれ程集まっていない状況であった。当然、チームのスポンサーになる企業も少なく、ましてや誰も知らない鹿島アントラーズなどというチームのスポンサーを引き受ける企業は全く集まっておらず、広告代理店の担当者から、何とかお願いできませんかね〜的な打診があって、あくまで事業部の予算でスポンサーを引き受けたような経緯だったと思う。
 
「鹿島アントラーズ?何それ?」 
「なんかジーコとかいう有名な選手がいるらしいよ。」 
「へ〜、知らないな…どこの人?」 

というような会話が社内でされていた程度の知名度であったので、当初のスポンサー料金は今では考えられない程安く、部門の予算でも引き受けられる程度であったのだ。
 
何と、その年に、あの誰も知らなかった鹿島アントラーズというチームがジーコやアルシンドの活躍でJリーグの初代チャンピオンになり、その名を誰もが知るところとなることなど誰も予想もしていなかったのだ。 鹿島スタジアムでの試合では、毎試合「アシスト賞」というのを提供していたので、もしかしたら覚えている古いアントラーズ・ファンもいらっしゃるかも知れない。

そんなことで、折角スポンサーとして鹿島アントラーズのキャラクタやグッズを使用する権利があったので、展示会では自分たちの展示ブースを目立たせるために、アントラーズのマスコットである鹿のぬいぐるみに社員が入ってお客さんを展示ブースに引き込むことになった。 
しかし、当時は出展企業があの手この手でド派手な演出を競った時代である。知名度の低いアントラーズのマスコットでは引きが弱い。何とかもっと他の企業より目立つことをしなければならない。(なにしろ当時の展示会は本当に派手で、コンパニオンのお姉さま方もすごく綺麗で魅力的で、若い馬鹿者な僕たちは、何かのきっかけでお姉さま方とお近づきになりたいと、極めてけしからん「むふふ」な気持ちを含めて一生懸命だったのだ。)

そんな馬鹿者たちが考え出すことはやはり碌なことではないのである。
結局、マスコットのぬいぐるみではインパクトに欠けるので、本物の鹿を展示ブースに連れてこようというアホなアイディアを実行することにしたのである。 
どういう結果になるかは少し考えれば分かりそうなものだが、本当に動物を手配する業者に頼んで展示ブースに生きた鹿を連れてきたのであるから、行動力だけがある馬鹿者というのは恐ろしい。 
なにしろ相手は生きている動物である。ウンチもすればオシッコもするのである。
一応、展示ブースの一角を柵で囲って藁を敷き詰めてはいたのだが、あの密閉された会場内に充満する臭いはどうしようもない訳で、当たり前の結果として、他の参加企業からの苦情で鹿はすぐに撤去せざるを得ない状況になり、柵と藁だけが虚しく残る展示ブースとなってしまったのである。 当日、意味不明に藁が敷き詰められた柵だけが残る展示ブースを見て「あれ?鹿は?」と聞いた僕に、「いや〜、臭いが凄くってさ〜」と答えた広報担当で同期入社の○○○○くんの顔を思い出すと、いまだに思わず吹き出してしまう。


○○○○くん、覚えているでしょうか?
お互い、あの頃、僕らはアホでした。
僕らのお馬鹿さ加減は主催者側の想定を超えていたのだろうが、その後、展示会場への生き物の連れ込みが禁止されたであろうことは想像に難くない。

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前川@ドリーム・アーツ

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