痛恨の自爆事件

前川賢治(Kenji Maekawa) 2018-01-09 09:30:00

明けましておめでとうございます。

例年通り、いつの間にか年の瀬と新年を迎えることになったので、多少落ち着きを取り戻した今、僕にとって昨年末に起こった、一番の重大事件について振り返っておこうと思う。事前にお断りしておくが、これはかなり恥ずかしい話であり、事件の全貌を完全に明らかにすることはできない。

いつも話していることであるが、僕の最大の自慢は歯が良いことであり、歯だけには絶対的な自信を持っている。これは完全に親から引き継いだ遺伝的なもので、実際に僕の父親は80歳を超え後期高齢者になった現在でも、全部自分の歯を保持しており一本も失っていない。

これは世の中的にはかなり珍しいことのようで、実家にわざわざ東京からテレビの取材が来た程である。歯ブラシを販売する会社が提供する番組であったようだが、全国放送で僕の父親の日常の食事内容から趣味まで結構詳細に紹介されたのである。(ちなみにギャラを3万円もらったらしい。笑)

その遺伝子を受け継いだ僕も歯だけは圧倒的に強く、子供の頃から歯医者さんには行ったこともない。いつだったか歯医者さんに口の中の菌を顕微鏡で見てもらったところ、どうやら僕の口の中には虫歯菌が生息していないらしく、歯医者さんからも「一生虫歯になることはないです。」と太鼓判を押されたこともあるぐらいで、小学校のときから何度も健康な歯で表彰された実績を誇っている。

その自慢の歯を一本失ってしまった痛恨の自爆事故は、全く自分の不注意であり、自己認識を誤った結果であると言える。

僕は最近お酒を飲んでも二日酔いすることがなくなった。若い頃にはひどい二日酔いで苦しんだ経験が数多くあるのに対して、少なくともこの10年以上は二日酔いになった記憶がない。かなり飲んだつもりでも翌日は気持ちよく起きられることから、僕は自分が昔よりお酒が強くなったように思っていたし、いくら飲んでもひどく酔っ払ってしまうことはないだろうと考えていた。

その日も飲みに行くタクシーの中で、最近はいくら飲んでも二日酔いにならないということを自慢していたと思う。飲み会も普通に楽しい雰囲気で確かによく飲んだと思う。お店を出てみんなと別れたところまでは普通であったし、はっきり記憶も残っている。
問題はその後である。そのお店からどうやって家まで帰ったかさっぱり記憶がなく、次に記憶があるのは自分のマンションの12階のフロアに辿り着いたところであるが、恐らくそこで家に着いたと安心したのだろう。その次に気がついたのは数時間後で、僕は自分の家まで10メートル手前の廊下で寝ていたのである。

ありゃ寝ちゃったんだなと思って周りを見渡すと前歯が一本落ちているではないか。どうやら廊下に顔から倒れ込んで顔面を強打した結果、前歯が抜けてしまったらしい。

痛みは全く感じなかったので、とりあえず抜けてしまった歯を拾って家に帰ったのだが、玄関に出て来たカミさんの驚愕の顔を見てむしろこっちの方が驚いた。しかし後で鏡を見てみると、確かに顔は血だらけでボロボロの歯のない姿を見たカミさんがパニック状態になったのも頷ける。(このときの僕の姿がどれ程酷いものであったかについては、僕の人間としての尊厳に関わる問題であるため、これ以上の詳細について明らかにすることはできない。)

パニック状態に陥ったカミさんは、抜けた歯は牛乳に浸けておかないといけないなどと訳のわからないことを言って、まずは歯を牛乳の中に浸け込んだのである。(この奇怪な行動が後で功を奏することとなる)

次に、僕が暴漢に襲われたと早とちりしたカミさんは110番に通報をしたのであるが、このために、後日僕は渋谷警察署に出頭して事情聴取を受けた上、眼光鋭い刑事さんに半笑いで「事件性はありませんね〜」と軽くあしらわれて、大変恥ずかしい思いをすることになるのである。

病院が開く時間を待って、まずは歯医者に行く必要があるのだが、何しろ歯医者に行ったことがない僕としては何をどうして良いか分からないし、何だか怖いので、カミさんと娘に病院まで付いて来てもらった。

先生に診て貰った結果、歯が抜けてから12時間以上経過しているので普通に考えると抜けた歯が付くことは難しいだろうとのことであったが、カミさんが歯を牛乳に浸けておいたお陰で歯が乾燥しておらず、もしかしたら可能性はあるということで、とりあえずは抜けた前歯を元に戻してもらった。

結果としてはその後2週間ぐらいで歯が付いてくれたので、これはカミさんの牛乳作戦のお陰であるのだが、切れた神経は元に戻ることはないそうで、最終的には歯を削って上から差し歯にしなければならないとのこと。

自慢の完全な歯を失ってしまった痛恨の大失敗である。後悔先に立たず。

結局は、お酒に強くなったから二日酔いにならないのではなくて、二日酔いになるまでお酒を飲めなくなったというのが事実であったらしい。僕ももうすぐ53歳。ぼちぼち自分の体のことを真面目に考える年齢になったことに気がつく必要があるということであろう。全く自分の認識を改める必要がある。

いわゆるバブル世代である同世代のみなさん、我々はまだまだ元気に働かなければなりません。体に気をつけて今年もしっかり頑張りましょう。
しかし、今回の自爆事件はカミさんに一生言われ続けるんだろうな〜。

---------------------------------------------
前川@ドリーム・アーツ

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]