このたび、我々がシステム開発を担当させてもらったオリックス・ビジネスセンター沖縄(OBCO)様の「ECOまる」活動が、日経コンピュータ誌の「IT Japan Award2018」を受賞することになったので、授賞式に参加するために久しぶりに沖縄を訪問してきました。
一年間で日経コンピュータ誌に記事として取り上げられた事例は1,000件弱あるようですが、その中から厳正な審査の結果、今回の受賞となったようです。何はともあれ、自分たちが携わった仕事を第三者の方々に評価していただけたことは大変嬉しいことです。
今回受賞の対象となった「ECOまる」活動というのは、業務フローを体系的に細分化した上で、一つ一つの業務作業の実施時間とその結果をすべて計測し可視化することで、チームや役割を超えてみんなで助け合い、全体の生産性を大きく向上させた成功事例で、我々は、この「ECOまる」活動を支える「ECOまるアーツ」というシステムを開発しました。
ピーク・サイジングの例として、例えば5人家族が夏休みにキャンプに行ったり田舎に帰省したりするシーンを想像してワンボックスカーを買ったとしても、その車に家族全員が乗ることは一年で何日もなく、ほとんどの時間は一人か二人しか乗っていないというのが現実だったりしますが、所有から利用へ価値観が変化しつつある現代のサブスクリプション型モデルの考え方では、車をそれぞれの家族がピークに合わせて所有するのではなく、ITテクノロジーを利用して車をシェアすることでピークを平準化し、全体の無駄を減らすという方向になってきています。
会社の業務についてもこれと同じで、それぞれのチームが自分たちの担当する業務のピークに合わせてチーム構成を個別にサイジングするのと、ITを駆使して体系的に分解された業務を全体で共有し、実績に基づいて業務作業量の予測を行い、お互いに助け合ってチーム間の繁閑を平準化させるのとでは、全体の生産性に大きな差が生まれるというのは、理屈においては確かに納得できます。
しかし業務を体系的に細分化すると言うと、「自分のやっている仕事はそんなに単純化できないし誰でもできる仕事じゃないんだよ。」という声も聞こえてきそうです。確かに個人の能力に依存するクリエイティブな仕事があるのは当然ですが、そのように特別な属人性が必要とされる業務は、自分がやらなければならない1日の仕事の中でどのくらいの割合を占めるものでしょうか?また、会社全体の業務の中では果たしてどのくらいの割合になるでしょうか?
OBCOさんで日々行われている業務も、その時々で判断が必要となる相当に複雑な業務フローで、決して単純な業務ではありませんし、実際「ECOまるアーツ」の作業項目マスタに登録されたデータの量やその内容を見ると、この「ECOまる」活動を始めた当初、社内のネガティブな反応を含めて様々なドラマがあったであろうことは想像に難くありません。
しかし、現場の方々が本当に感心するくらい実直に、ちょっと呆れちゃうぐらい粘り強く業務の分析と計測を継続された結果、誰もが「なるほどね」と思える程に説得力のある定量的な指標が打ち出せるようになっていったのです。
数年間も粘り強く業務計測を継続された結果から導き出された各業務プロセスの基準値は相当確からしいものになっており、様々な変動要素を加味した上で、必要とされる業務時間や作業量を予測し、チーム間での繁閑調整を柔軟に行うことで、見事に全体の生産性が大きく向上する結果に結びついています。
さらに、最近では体系的に細分化された業務フローの中で自動化できるものについては、RPAを駆使して可能な限りロボット化することで、さらなる業務の効率化も実現されていますが、これら全てが現場主導の改善活動であり、現場のメンバーはこの活動を楽しんでいるということも特筆すべきことだと思います。
そんなことで、今回「IT Japan Award 2018」を受賞した「ECOまるアーツ」の事例は、定量的な数値で明確な効果を示すことのできる「働き方改革」の実例として、現場の方々の雰囲気と共にご紹介できる機会があれば嬉しいです。
「IT Japan Award2018」の受賞ということで、今回は僕もいささか力んで余計な力が入ってしまいました…(苦笑)
ともあれ、仕事を通じた人との出会い、その縁が繋がり広がっていくことの素晴らしさを実感すると共に、これまでご縁のあった方々への感謝の気持ちを思いっきり感じながら、久々の沖縄でOBCOの皆さんと美味しい泡盛を酌み交わし、楽しい時間を過ごさせてもらったのでした。
感謝。
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前川@ドリーム・アーツ
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