使えるIT営業を見分ける3つのポイント

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2009-10-08 09:38:36

 先日、ZDNet Japanの編集長から、「ユーザーの目線で、SIerやソリューション・ベンダーとの付き合い方、それとIT活用の戦略や施策について、ブログをかいてみませんか?」とお誘いをいただいた。 

 ちょっと待ってくださいよ。私は、いままで、売る側の立場から、ソリューション営業のあるべき姿やお客様の満足度を高めるためにどうすべきか、などの話しをしてきた人間だ。これでは、立場が、あべこべでじゃありませんか・・・ 

 でも、まてよ。考えてみれば、これはモノの見方の裏と表みたいなものかも。 

 偉そうに、お客様の視点に立つことの大切さを説いている自分にとって、真剣にお客様の視点でモノを考えていただろうか。そう考えれば、これは、自分が今までやってきたことを振り返る、またとない機会かもしれない。 

 それに、手品師が、自分の手品のタネ明かしをするような、ちょっとした背徳の甘美も。まあ、正直なところ、多少の後ろめたさはあるけど、おもしろそう・・・ 

ということで、この話しをお引き受けすることにした。 

 そこで、「背徳の甘美」のてはじめとして、「使えるIT営業を見分ける3つのポイント」と題して、話をすることにしよう。 

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 マメに顔を出し、話してゆく営業。頼んだ仕事をすぐにしてくれる営業。確かにこういう営業も悪いわけではない。 

 しかし、システムを預かるものにとって、経営者や業務部門からの要求は厳しく、常にコスト削減や新たな価値の向上を求められる。そして必ず、直ぐにやってくれというおまけがつく。そんな状況で、いい奴、よくやってくれている程度の営業では、使える営業とはいえない。 

 では、どんな営業が、使えるのか。これを見極める3つのポイントを紹介しよう。 

ポイント1:資料は美しいか? 

 資料が汚い、わかりにくい営業は、こちらへの気遣いが足りない証拠。また、一緒に仕事をするにも、コミュニケーションが円滑に進まない。こういう営業には、大きな仕事を任せないほうがいい。 

 美しい資料は、わかりやすい。こちらの状況を斟酌し、要点は何か、何を知ってもらいたいか、どう行動してもらいたいかを考え抜けば、結果として、資料は美しいものになる。つまり、私たちへの関心と思いやりの深さの裏返しが、資料の美しさとなる。 

 ここで言う「美しさ」とは、配色やイラストなどの芸術的な美しさではない。機能美というべきか、完結明瞭、整理整頓、ルールの統一だ。 

 例えば、ぐだぐだと物語を語るような説明調は、読むのもつらく、どこに要点があるかわからない。 

 箇条書き、体言止め、図表などを使って要点が切り出されている資料。この程度のことは、お願いだからやってくれ。それもできないということは、本人も要点が整理できていないということ。

  こちらの整理できていないことを、われわれに代わって整理してほしい。図表などを使えば、どこに課題があり、何に取り組むべきか、一目でわかる。 

 フォントや文字の大きさをそろえてほしい。システム構成図の縦横の配置がそろっている。タイトルのつけ方がわかり易い。番号の振り方や箇条書きの階層構造が一定のルールに従っている・・・などなど、表現方法にも気遣いがほしい。

 資料が美しい営業は、コミュニケシーョンが円滑で、話が早い。要点が明確だから、無駄な時間を使わずに検討もはかどる。また、こちらの気持ちを理解し、整理しようという気持ちもあるから、お互いの合意点も探りやすい。

  このように仕事を楽にしてくれる営業は、使える。

 

ポイント2:話しをさせてくれるか? 

 自分の言いたいことだけを話し、こちらの状況を聞こうとしない営業には、早々にお引取り願おう。 

 こういう営業は、自分のノルマを達成したいだけ。こちらの悩みや課題を解決しようという気持ちがない。 

 「何か、お困りのことはありませんか?」と質問してくる営業も困ったものだ。これは、なんの準備もしていない証拠。ただ、時間をつぶすために訪問しているだけ。こういう営業と付き合うのは、時間の無駄。「ありません!」ときっぱりとお断りしよう。 

 こちらの仕事や業界の事情など、調べる手段はいくらでもあるはず。事前の準備や検討をしてくれば、「いま、この業界では、XXXという取り組みをされているようですが、御社ではいかがですか?」程度のことは、言ってもらいたいものだ。話しのきっかけを与えてくれれば、こちらとしても、話しのしようがある。 

 こちらに関心がありそうな話題を予め用意し、それをきっかけに、話しを聞きだそうとする営業。お客様の状況や課題を理解しようとする気持ちがある証拠。

  また、いろいろと質問され、こちらがこれに応えているうちに、こちらも自分の課題が整理できるし、新たな気づきが得られることもある。

  製品のこと、技術のことなら、ホームページを見ればいい。わざわざ営業にきてもらうまでもない。性能や金額だけで商品を決めるなら、ECサイトで購入すればこと足りる。

  「話しをさせてくれる」とは、こちらの立場を理解しようという意欲の表れ。私たちの課題を整理するために、話しのきっかけを提供し、こちらの話しを引き出してくれる営業。ITのカウンセラーだ。これができる営業は、使える。

 ポイント3:コーディネーターとして動いてくれるか? 

 今の時代、一社にすべてを任せることは、無理。それは、営業も理解している。だからと言って、自分達にできることだけを話し、「できないことは、どうぞそちらでやってください」では、こちらの仕事がはかどらない。

  こういう営業は、自分達の商品さえ売れればいいと考えている輩だ。お客様の課題を解決し、私たちに楽をしてもらおう、成功してもらおうという気持ちに欠けている。

  こういう営業と仕事をしても、手間がかかるばかりだ。こちらが、全体を取り仕切らなければならない。 

 もちろんプロジェクトを取りまとめる責任は、ユーザーであるわれわれにある。しかし、そんなわれわれの立場を理解し、対応してもらえると、本当に助かる。 

 たとえ、この会社の製品が、他者と比べて機能や性能で、多少見劣りがしても、全体をコーティネイトしてくれたり、全体解決の筋道を示してくれる営業とお付き合いすべきだろう。 

 こちらの課題解決のためには、何が必要でどうしなければならないかの全体像を示してくれる。その中で、自分がてぎること、できないことを示してくれる。 

 できない事については、自分の配下で動かすのか、それができなければ、紹介やコンタクト・ポイントを探してくれると大いに助かる。 

 こういう営業は、私たちの立場や何を解決したいかを理解している。つまり、私たちがやるべきことを肩代わりし、仕事の効率を高める助けをしてくれる存在だ。自分が、コーディネーターとしての役割を理解し、私たちに成り代わって動いてくれる営業は、使える。

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 ここに上げた3つのポイントは、使えるIT営業を見極める指標となるだろう。

  ただ、100点満点なんてありえない。この3点が完全にできないからといって、「あなたとはお付き合いしませんよ」では、仕事が進まない。

 むしろ、私たちが、こういう視点を持ち、それを彼らに要求すること。そうすれば、彼らも成長する。結局は、こちらの仕事も楽になる。自ら営業を育てるという気持ちも、もってもらい。 

 ただ、そんなこちらの思いにも気づかず、なんら改善の兆しが見えない営業は、早々にお引取り願おう。私たちが、その切り札を握っているというこ。この自覚も、彼らとうまく付き合う前提となるだろう。 

 さて、皆さんがお付き合いしている営業さんは、どうですか・・・?

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よろしければ、こちらもご覧ください。

「ソリューション営業プロフェッショナル」

http://pro-eigyo.blogspot.com/ 

ITソリューション営業のためのお役立ちブログ 

 

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

1件のコメント
  • タビ

    斎藤さん始まりましたね。特にポイント1の資料は美しいか?
    ぐさっときますね。響く言葉もっともっと・・。

    2009年10月09日

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