あなたは、3年後に必要な存在ですか?

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2011-06-04 08:00:00

 最近、新入社員研修で、こんなことを話している。 
  • 法人ビジネスの営業は、英語でSalesとは、言いません。ただの販売員ではないんです。Sales Representativeといって、会社の代表として取引に責任を持つ人という意味があるんです。
  • 営業活動とはお客さまの困ったを解決するプロデューサー
  • どんな仕事にも、手順やプロセスがある。営業活動にも、営業活動プロセスがある。それは・・・
  • クラウドとは、歴史を振り返れば、きちっとした必然性がある。歴史や法則が分かれば、未来が予測できる
  • 暗記の勉強は卒業しなさい。言葉を知っていることと理解していることは違う。説明できなければ知っているとは言えない。これから必要なのは、わかりやすく説明できるという知識。
  • 伝えるべきは伝えたという傲慢は捨てなさい。相手に伝わったという真実を確認してこそ、コミュニケーションは成立する
  • 君たちは、今はタダメシを食らっている。いつまでもそれでいいのか。大人として恥ずかしいとは思わないのか。はやく、この屈辱から脱したいなら、寸暇を惜しんで勉強しなさい!
  •  ・・・ 
 などなど、小言オヤジの自覚を持ち、くどいと思われようが、ぐりぐりとやっている(笑)。たまには、眠り姫もいるが、まあ、総じて目を輝かしている。
 
 自分たちが何も知らない未熟者であるという自覚を持っている彼らにとっては、ひとつひとつが新鮮であり、どんどんと吸い込まれてゆく。まあ、中には吸い込みすぎて、確認テストの成績が、いまひとつというものもいるが、実践の現場で痛い目にあったときに、どこかで思い出してくれればいいと思っている。
 
 さて、翻って、私たち大人達はどうなのだろう。もちろん新人達と立ち位置や目線は違うものの、いったい何を知っているのだろうか。何ができるのだろうか。
 
 お客さまの経営や業務、社会やITのトレンドは、日々に移りゆく。今まで常識と思っていたことが、あっという間に非常識になっている。気がつけば知らないことだらけだ。そんな自分の無知を恥ずかしいと思う。こんなことを言うと、「勉強することが多すぎて・・・」という言訳をよく聞くが、だからこそ、勉強しなければと思うべきだろう。
 
 本や研修に出るばかりが勉強ではない。お客さまの「困った」を一覧表にまとめてみる。自分たちの強みを整理してみる。気付いたことや考えたことを書き留め、文章や絵にしてみる・・・さまざまな勉強の方法があるだろう。
 
 なぜそんなことが必要なのか。答えは明快だ。「タダメシを食う存在にならないため」である。言い換えれば、「お客さまにとって、会社にとって、いてもらわなくてはならない存在になるため」だ。
 
 先日、1000人規模のITベンダーで、経営幹部をされている方と会食を共にした。その会社で、リストラをしたそうである。我慢に我慢をしてきたのだが、このままでは、この先、厳しい状況に追い込まれる。余裕があるうちにということで、苦渋の決断をされたそうである。
 
 そのとき、だれを退職させるかを評価するに当たり、次のような3つのランクをもうけたそうだ。
 (1)3年後にこの会社にいてもらわないと困る人。
 (2)今いてもらわないと困る人。
 (3)今も代替がきき、3年後に期待できないひと。
 
 当然のことながら、(3)の方が対象になったそうだ。その数、2割ほどになったという。結局、1割ほどの方に退職をいただくことになったそうだ。
 
 IT業界は、もはやかつてのような成長産業ではない。成熟産業である。一見、新しい技術やビジネスが生まれてきているように見えるが、その一方で、もはやコモディティ化した技術やサービスは、その需要を減らし、オフショア化も進んでいる。先日、ITサービス産業に関する統計を見ていたのだが、明らかに国内市場は、供給過剰であり、限られた需要の奪い合いになっている。
 
 このような変化のただ中にあって、過去の常識など通用するはずはない。
 
 勢いや気合いだけでは、この変化に立ち向かうことはできないだろう。智恵が必要なのだ。それは、与えられるものではない。苦しんで、考えて、どうしようもなくなって、まいった・・・と思ったとき、きっと天が与えてくれるのであろう。
 
 現状の生産性やサービスの改善に取り組むことは、とても大切なことである。それなくして、今を生き延びることはできない。しかし、その現状が、大きく変わろうとしている。その変化を自分なりに読み解き、対処してゆく努力を併せて行なわなければ、3年後は、もはやその現状は、存在しないかもしれないのだ。
 
 先日、仙台に拠点を構えるトライポッドワークスの佐々木社長の話を聞く機会があった。彼は、震災後、甚大な被害を被った陸前高田で毎週のようにボランティア活動をされている。「ITで、日本を元気に」をテーマに、現地からの情報発信や住民サービスのためのIT環境整備のためにご尽力されている。
 
 彼が、こんなことを話されていた。「この震災で、変化のスピードが速まったようです。」
 
 まったく同感である。震災は、その直接的被害ばかりでなく、人々の心にも大きな変化を与えている。これまで、うやむやにせき止められていた変化の流れが、復興というより大きな流れの中で、一気に堰を切り、流れ出そうとしている。
 
 東北のIT産業の規模は、全国の1.8%だそうである。そういう流れだったのである。この震災は、ますます東北地域の需要を冷え込ませてしまうだろう。
 
 この変化は、日本全体の市場の縮図でもある。海外重視の動きは、業種を問わず大きな流れとなっている。今、この変化の意味と対策を考えなくて、どうするというのだろうか。
 
 「3年後に必要な存在」とは、そういうことに対応できる気力と知恵を持つ人たちなのだろうと思う。私も、是非そのひとりに加わっていたいと思う。

■ 緊急研修会:東北から全国へ
■ 実践!ITソリューション・ビジネス開発力・養成講座
■ ------------7月11日(月)@仙台

 「ITで日本を元気に!」 このメッセージを東北の地から発信してゆくためにできることは何か。それは、ITビジネスに関わる私たちの営業力やビジネス開発力を高めてゆくことに他なりません。東北地域だけではなく、日本全国に、この地の優れた技術や人材を売り込む力を持つことができれば、その力によって、日本の元気を取り戻し、震災の復興にも寄与するはずです。

 この「緊急研修会」は、そんな趣旨のもと、トライポッドワークスの佐々木社長のご協力をいただき、ITビジネスに関わる皆さんの営業力とビジネス開発力を強化しようと開催されるものです。
 

 参加費は無料です。改めて、facebook等でご案内させていただきます。 

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