オヤジの小言は伊達じゃない場合もある

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2011-06-11 09:00:00

 「お客さまの言われたことにすぐに反応すること。クイック・レスポンスを続けていれば、今度はお客さまから頼りにされるようになる。」

 IBMに入社して間もない頃ことだ。自分のやったことが全て裏目に出るような気がするし、仕事の要領も今ひとつつかめず、胃の痛い毎日を過ごしていた。何も楽しいことは無かった。朝は早いし、終電前に家に帰ることは無かった。

 そんなとき、当時の上司であった石川さんに、「このまま仕事を続けていけるでしょうか。私は、営業という仕事に向いていないんじゃないかと思うんです。」そんな弱音を吐いたときに、彼が言ってくれたひとことである。

 それが、切っ掛けとなったのか、そうではなかったのかは、正直言うと、今ではよく分からない。ただ、未だに、営業という仕事にこだわっていること、そして、30年近くも前の言葉を今でも覚えていることを思うと、自分の営業人生の地層になったことは、間違えないだろう。

 石川さんとは、以前、日本情報通信の副社長をされていた「石川忠久」さんだ。昨日、会食をさせていただいた折、そんな話題に及び、懐かしいやら照れくさいやらの楽しい時間を過ごさせていただいた。

 たとえどんなに核心を突いた内容であっても、それを伝える言葉や表現が、シンプルでなければ、人の心には、なかなか届かないものである。改めて、彼の言葉の価値をかみしめている。

 彼以外にも、私の仕事に大きな影響を与えた人物と言えば、我が先輩営業の小寺さんであろう。8年間同じお客さまを先輩後輩で一緒に担当させていただいた。

 彼もまた本質とシンプルにこだわった人物だ。

 彼の出社は、決まって昼前、帰りは終電後。彼の行動を今冷静に考えてみるとおかしな話である。

 しかし、新人、若造の私にはそんなことを考えている余裕などあるはずもない。帰りはどんなに遅くても、定時前に会社に出てくるのは当然と考えていた。自ずと寝不足の毎日。金曜日になるのが楽しみで、日曜日の夜は、「また、明日から仕事だぁ」と思うと、再び胃が痛くなる日々を送っていた。

 当時は、パワーポイントもなく、ワープロもまともな図形など描ける能力などない。そんな時代に、手書きで資料の構想をまとめ、ワープロで文字を清書し、それを切り貼りし、鉛筆で図を描き込む。コピーをすると貼り合わせたところが目立つので、その部分をメンディング・テープで覆う・・・もう、大変な作業だった。

 「これでいいでしょうか」と、彼にもって行くと、資料をさっさとめくり、おもむろに赤ペン取り出す。そして、苦労をして作り上げた資料に、その赤ペンで、どんどんと修正を入れてゆく。そして、「こんなんじゃあだめだぁ・・・」と言って、真っ赤に書き込まれた資料を、びりっと破いてしまう。鬼だと思った(笑)。
 
 わかりやすさは、本質とシンプルである。彼には、そんな一貫した基準があったようだ。おかげて、徹底的に鍛えられた。今では、私は、それを生業にしている(笑)。
 
 以前、ある人に言われたことがある。「資料の美しさにこだわっても、意味がない。問題は中身だよ。」。ほんとうにそうだろうか。たとえその中身が、どんなにすばらしいものであったとしても、それが相手に伝わらなければ、独りよがりだ。相手に伝わってこそ、中身は、価値を持つことになる。

 資料を美しくしようとしているわけではない。どう表現すれば、相手に伝わるだろうか。そう思えば思うほど、内容は核心に迫り、本質だけが残る。それが絵になって残る。すると結果は、美しくなっている。それだけのことだ。
 
 独りでできる仕事などない。常に相手がいる。お客さまがいる。仲間がいる。本質とシンプルは、そういう人とのコミュニケーションを円滑に進めてゆく手段である。仕事は、はかどり効率がいい。結果として、成果も上がる。
 
 先輩達からの教えを改めて思い返せば、そういうことだったのだろうと思う。
 
 胃の痛い毎日を送っていた私も、今では新入社員を相手に営業研修の講師をさせていだくようになった。そんな私が、よく言う言葉がある。

 「"伝えた"という自分の満足ではなく、"伝わった"という相手の真実を大切にしてください。」と。
 
 時代は変わるが、仕事の本質は、今も昔も変わらない。改めて、先輩達の教えてくれた本質をありがたく思っている。



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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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