抵抗勢力との正しいつきあい方

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2011-08-20 08:00:00

 「おっしゃることはわかりますよ。でも、それはうちには無理ですね。」
 
 なにか新しいことを始めようとすると、こういうことを言う人が必ずでてきます。「抵抗勢力」と言われる人たちです。「いっていることばは理解できるが、自分は受け入れたくありません」と言うことなのでしょう。
 これまで自分なりのやり方で実績を積み重ね築いてきた自分の評価。正しいと信じ貫いてきた信念や価値観。言うなれば積み上げてきた過去の栄光という土台の上にある自分存在意義を失うかもしれないという恐怖。たぶんそんな思いが彼を抵抗勢力にするのでしょう。
 
 「ああ・・・なるほど、それとてもよくわかります。私もね・・・」とこちらの話題を横取りし、自分の成功体験の自慢話を始める人もいます。
 
 「あなたの言うことはわかってますよ。余計なこと言わなくても、こちらでできますから・・・」と言うことなのでしょうか。こんな抵抗勢力にお会いすることもあります。
 

 「確かに取り組まなければならないことですね。でも、現状をなんとかすることを優先しなければなりません。新しいことを始める余裕はないんです。」という方もいます。
 
 現状が何ともならないので、新しいことでチャンスを作ろうと申し上げているのに・・・という思いがこみ上げてきます。今までのやり方の延長線上ではもはやどうしようもないことは本人も気づいているのです。しかし、それ以外の方法となると経験もなければ勘も働かない。つまり、自分の出番がなくなってしまう。そんな寂しさと不安から、こんな発言をされているのかもしれません。
 
 そんな抵抗勢力に「あのひとのやりかたはもう古いんですよ。もはや通用しませんよ。」と愚痴をこぼす若手。これもまた、いかがなものかと思います。抵抗勢力とは、過去の成功者であり功労者も少なくありません。彼が今この地位にあるのは、その功績があったればこそであり、それをも無視するなど失礼な話です。ましてや人格にまで踏み込んで批判するというのは、どうも大人げないように思います。
 
 すばらし過去の栄光に心からの敬意を表すべきは、人の道理ではないかと私は思っています。しかし、どんなにすばらしく輝いていた巨大な恒星も、時間という流れの中で遠い彼方での輝きになれば、その恒星自体が何も変わらなくても、夜空の小さな一点になってしまう。これもまた事実です。
 
 「どうやるかではなく、どうあるべきか」
 
 そんなときは、こんな議論を徹底的に行なうしかないかもしれません。「あるべき姿」について合意すること。つまり最終的にどうなっていたいかを具体的なイメージで共有する、つまりまずゴールを決めるということです。その上で、このゴールに行き着くための方法を合理的に考えることを促してみてはいかがでしょう。
 
 注意すべきは、自分たちにできることを前提にしないことです。できるできないにかかわらず理想的な方法論を議論することから始めるべきです。「できること」という思考の枠を外してみる。そうやって、自分という枠組みにこだわらない発想の場を作ってみてはいかがでしよう。その次に、ならば自分たちはどうすればいいかを議論するという順番です。
 
 俺の気持、あいつの面子などの情が出てくることにも注意が必要です。そんなときは、「あるべき姿」を再び確認します。「あるべき姿」に立ち帰り、これを実現する上でもっとも合理的な選択肢を考える。そんな冷静な議論の積み重ねが大切かもしれません。
 
 「言っても無駄」と思われがちな対抗勢力も、本心は何とかしなければと思っているものです。そんな人と議論するためには、「どうやるか」という方法論ではなく、「あるべき姿」の確認と共有を起点に議論をは初めてはいかがでしょう。
 
 この合意がないままに「方法論」に終始して、結局は「あいつは何もわかっていない」、「考えが古い」といらいらしてみても、血圧が上がるだけで、業績は上がりません。
 
 残念ながら、こういう議論さえも拒絶する抵抗勢力は存在します。そういうときは、仕方がありません。自分が同じ立場に立ったら絶対にこんなことはしないと決心し、その思いを神棚に上げて毎日拝み、忘れないようにすることです。そんなことに腐ってみても、不健康になるだけですから。そういう割り切りもまた抵抗勢力との健全なつきあい方かもしれません。

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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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