営業力の正体

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2011-08-27 06:30:00

 「営業力を強化したい。相談に乗ってもらえないでしょうか。」
 
 このようなご相談を頂く機会が最近増えてきたような気がします。しかし、そのご相談のほとんどが営業職の能力についてのご相談なのです。
  • 営業にもっと危機感を持たせたい
  • 新規顧客を獲得できる営業を育てたい
  • 戦略的な思考でお客様にもっと食い込める人材を育てたい
  • ・・・
 だから、是非そんな研修をお願いできないだろうかという相談がほとんどです。
 
 僭越ながら、営業プロセスやスキルについての研修については、それなりに準備はしています。仕事ですから喜んでお引き受けいたします・・・と申し上げたいところなのですが、「本当にそれでいいのでしょうか?」とついつい本音を申し上げてしまい、ご期待に反することもしばしばです(笑)
 
 研修にご参加頂ければ、なるほどこうすればいいんだと多いにモチベーションも上がります。そして、よーし明日からがんばって実践しようとなるのですが、上司や経営者が、同じ思いを共有できていないわけですから、思い通りに進みません。
 また何かを売ろうにも、あるいはサービスを提案するにも魅力的なものが提案できない、あるいはエンジニアが動いてくれないなど、こちらの思うようにならないこともあります。

 真実の眼が開かれてしまった以上、今まで通りでは納得できません。満足できません。そうなると、「だからうちはだめなんだ」とストレスを募らせ、「仕方がない、郷に入れば郷に従へ」となって意気消沈。効果どころか逆効果になりかねません。
 
 営業力とは、決して営業職の能力ではありません。営業力とは、会社の能力であり組織の能力ではないでしょうか。営業という仕事は、営業職だけではなく、経営者もエンジニアも一緒になって行なうべき仕事です。当たり前のようですが、意外とこの当たり前に気づいていないひともいらっしゃいます。
 
 経営者や管理者にしてみれば、業績が上がらないことを営業の能力の問題にした方が、自分の気持ちも楽になるでしょう。責任も転嫁でき言訳もできるでしょう。しかし、それでは本当の営業力強化にはなりません。
 
 営業の仕事の目的は、「お客様の価値を高め、お客様の感謝を手に入れること」です。モノやサービスはその手段であり、突き詰めればお金を頂く手段と考えることもできます。これを実現するための経営者の役割とはなんでしょうか。管理者にもエンジニアにも、そして営業にも当然に役割があります。それを議論しないままに営業の役割だけが先行し、プレゼンテーションやコミュニケーション、交渉術などのうわべのスキルを身につけてもいったい何を売ればいいのでしょうか。
 
 ITが今よりもっとシンプルで、景気に支えられた需要が供給を大きく上回っていた時代であれば、お客様も営業も必要としているものがすぐにわかりました。あとは、それを確実にそして適正な金額で提供できればお客様も満足してくださいました。営業も自分のやることを理解していました。忙しくもありましたが、営業の個人力が業績に直結していた時代です。

 しかし、ITビジネスが複雑になり解決策の選択肢が多様化しています。また成長を支えるシステムから低コストで変更や変化に柔軟なシステムへとお客様の期待の重み付けが変わりつつある中、お客様も営業もこれだといえる正解を見いだせません。もはや営業職個人の能力に頼っていては、お客様に満足頂ける解決策を提供できないのです。
 
 会社としての営業力、組織としての営業力。真剣に考えて見るべきかもしれません。自分たちに何ができるか?という先入観を捨て、お客様は何を必要としているのか?そんな視点で議論してみてはいかがでしょうか。その上で、できることを考えてみる。それで足りないものがあれば、どうやってこれを埋めればいいのか。もはや、自分たちだけですべてをまかなうことなどできない時代です。そんな柔軟性もまた、答えを導く助けになるはずです。
 
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なお、今回も会場の都合で定員20名とさせていだきます。もし、「参加したいがすぐには決められない」というかたがいらっしゃいましたら、まずはお知らせいだけないでしょうか。いつもすぐにいっぱいになってしまい、ご迷惑をおかけすることになってしまいます。なにとぞご協力頂ければと存じます。

場所:東京・市ヶ谷
期間:10月5日から12月7日 
   毎週水曜日 18:30~20:00
   全10回
費用:9万4千5百円/一括

内容はこちらをご覧ください。

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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

3件のコメント
  • Hoge

    >商品を武器としてお客様を攻略し、お金という対価をはがして来る役割ではないですか?

    「お客様の価値を高めて、お客様の感謝を得ること」
    とはまさにWin-Winの関係を築くことだと思う。
    単に購入金額の損益だけでその商品の購入が成功だった、失敗だったということはないと思う。
    なぜなら、その商品の購入の成功・失敗は、その商品を購入し、どのように運用するかによってお客様の会社が得られる利益はもとより、お客様担当者自身の社内での評価の向上や利用者の利便性の向上など様々な面で利益を享受することができるかどうかにかかってくると考えます。また、そういった様々な角度から社会的な貢献を果たすことにやり社会に対してWin-Winの関係を構築していく。社会的な貢献のない単なるビジネスは反社会的なビジネスを行っていくこととなんら変わらないのだと思う。
    また、前回の実績を考慮するのは、たとえばその企業グループにおける文化等の背景を考慮して受け入れやすいものであると考えられるからです。
    ただお金をはがしてくるという思想でものを売ることはWin-Winの関係を構築することは難しいと考えます。
    この金銭を剥がしてくるという観点でのみビジネスを遂行しようとする場合にはお客さんは一時的に利益を得ても、今後商品を継続的に購入しようとは思わないと思います。

    2011年09月17日

  • 斎藤昌義

    FAEさん コメントありがとうございます。
    冷静なご批評に感謝します。ただ、結論から申し上げれば、私はこんな仕事のやり方が好きではない・・・それだけのことです。まったくもっとご指摘はその通りです。何も間違えではないと思います。また、そういう目線をお持ちの方が世の中にいるからこそ、ビジネスの規律は保たれているのだと思います。
    是非今後とも、よろしくお願いします。よろしければ、Facebookでもご意見ください。もっと議論が広がると思います。

    2011年09月17日

  • FAE

    >営業の仕事の目的は、「お客様の価値を高め、お客様の感謝を手に入れること」
    商品を武器としてお客様を攻略し、お金という対価をはがして来る役割ではないですか?
    立場を逆にしてみた場合、購入した商品(含サービス)を基にして、その購入金額を上回る利益が得られなければその商品の購入は失敗だったと評価しなければなりません。その製品の購入に対しての感謝とは、その商品を購入する際に期待した利益を得られた事になりませんか?
    「期待”以上”の利益が得られた」は上ぶれしたということで結果としてはオーライでしょうが、経営という観点で見た場合、期待に対してぶれがあるという事は大きな問題を孕んでいることになりますね?
    その利益が得られた→購入元に感謝はするでしょうが、購入後に得られた利益から感謝のしるしとして購入元に何らかのお金の支払いをするでしょうか?
    次の製品を購入する時に前回の実績を加味するという担当者がいますが、経営層からしたらこのような行為こそが潜在的な危険性なのでは無いでしょうか?
    「肉を切らせて骨を切る」これは企業の取引ではあっては行けない事ではないでしょうか?

    2011年09月13日

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