あなたはお客様を愛していますか?

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2011-09-10 05:30:00

 「私達は、お客様にご満足いただける仕事をしっかりこなしています。だから、ビジネス領域の拡大だとか、案件拡大だとかは当面必要ありませんよ。」 

 いくつかのSI事業者でアカウント・プラン作りのコーチングをしています。個別の打ち合わせでは、「このままじゃじり貧です。何とかしなければならないと思っています。」と大人の発言するチーム・リーダーも、本音のところでは冒頭のように考えている人もいるのではないでしょうか。 

 相手があなたを必要としている時、その必要にしっかりと応えていれば、仕事の心配をする必要はないでしょう。しかし、相手がいつまでも、あなたを必要としているでしょうか。事実、このSI事業者で、こんなことがありました。

  「RFPが出たので、いつものように、いつもの単金で、お客様が信頼しているエンジニアをつけることで提案したのですが、失注してしまいました。」 

 その原因を担当の営業さんに尋ねてみると、「どうもうちより相当安い単金を出した会社があったらしく、そちらがとっていったようです。」とのこと。この話を聞いて、なんとのんきな営業だろうかとあきれてしまいました。 

 この営業さんは、RFPが出て初めて案件の存在を知ったのです。決して最近つきあい始めたばかりのお客様ではありません。担当者や責任者とは懇意だと自慢もしていました。しかし、あらたな仕事についての検討が行なわれていることすら気づいていなかったのです。

  RFPが出ると言うことは、もはや仕事の内容が決まっています。当然、お客様は競合を前提に、声を掛けてくるはずです。この会社を本当に必要としているのなら、RFPなんか作らずに、その営業さんにまずは相談したはずです。それがないと言うことは、この会社はお客様から見れば、単なるone of themだと言うことを自覚するべきです。 

 one of themの会社となった以上、もはや競合が前提です。当然競合他社も必死のはず。そんな状況の中で、今までうまくいっていたから今度も同じようにゆくはずだと思っていたとしたら、それはもうなんと非常識な・・・と言わざるを得ません。 

 相手があなたを必要としている時は、それにしっかりと応えてさえいれば、仕事は確実に回ってきます。しかし、変化が常の世の中です。お客様の事業環境が変わり、ビジネス戦略が変わるのは必然です。当然、お客様の発注や意思決定の基準も変わるはずです。それに気づかなかったとすれば、それは「お客様を愛していなかった」ことの証明だと自覚すべきです。 

 お客様の「困った」をなんとかしたい、お客様の「して欲しい」をかなえてあげたい。お客様の成功をなんとしてでも支えたい。そういうお客様への愛情があれば、お客様のことを徹底的に理解しようと思うのではないでしょうか。お客様のやっている仕事、お客様の競合の動き、お客様の置かれている経営環境、お客様の担当者や経営者の悩み、彼らの事業戦略・・・などを知りたいと思いませんか。 

 大好きな彼女のことを何でも知っておきたい。そう思うのと一緒です。彼女が幸せになり、喜ぶところをみたいと思いませんが。そのためには、何でもしたいと思いますよね。少々押しつけがましくても、それが愛していると言うことなのでしょう。 

 件の営業氏は、私に言わせれば、お客様を愛していたのではなく、案件を愛していたのでしょう。だから案件をなんとしてでも取ろうと必死になっていたのだと思います。それが間違えだと言うつもりはありません。しかし、お客様にはきっと、その「程度の愛情」が見えていたのかもしれません。 

 お客様を愛していれば、お客様もその営業さんに早い段階から相談し、案件を作ることからお手伝いできていたかもしれません。RFPを作ることを任されたかもしれません。だからといって100%確実にとれるという保証はないにしても確度は確実に高まったでしょう。なによりも常に相談される相手になってさえいれば、仕事の領域は確実に拡大してゆくはずです。

  あなたは本当にお客様を愛していますか?それとも案件を愛していますか?

  もし、いつも案件が決定してから相談されるような状況であるとすれば、あなたの愛情は、きっと案件への愛情止まりです。お客様もその程度しか、あなたを必要としていないはずですよ。 

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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

3件のコメント
  • 斎藤昌義

    FAEさん コメントありがとうございます。ご指摘興味深く読ませていただきました。ただ、コメントを拝見し少し残念に思ったのは、「人と人のつながりを大切にして、結果としてお金を頂くのでしょうか?」という部分です。これは多分に私の表現力の問題ですが、仕事は人と人のつながりだけでは成立しないと思っています。お客様の経営や業務上の課題を解決できなならば、お客様は対価を支払ってはくれないでしょう。人間関係を否定するつもりはありません。しかし、それだけでビジネスガ成り立つとは思いません。

    もうひとつ「お金をくれるから愛せる」ということですが、私もその通りだと思います。しかし、まず愛することができなければ、換言すれば、お客様の成功を願わなければ、お客様のあるべき姿も見えず、私は魅力的な提案を描けません。まあ、意欲もわかないと言うべきでしょう。それがうまくゆけば、お金をもらえます。よぉーし次はもっといい提案をするぞと思う。言うなれば、相思相愛の関係になれれば、ますます仕事は楽しくなります。
    この考えを押しつけるつもりはありませんが、私はそんな仕事のやり方が好きなんです。
    よろしければ、是非Facebookで議論しませんか?いろいろなご意見をお持ちの方がいらっしゃいます。様々な立場からのご意見の広がりこそ、SNSの魅力だと思っています。

    2011年09月17日

  • 古屋 悟

     個人的には、資料を拝見して嬉しくなりました。愛情の問題として位置づけることにも納得です。
     しかし、根源的な考察(と少なくとも私には捉えられること)ですから、資料に出会った方々の受け止め方が色々あり、1つにまとめるのは、とてもとても難しい問題なのだろうと思います。資料に出会ったその方の立場・経験・(あるいは)躾によって、色々な意見があることでしょう。
     でも、それでこそ正常な状態だと考えます。皆さんはどうお考えなのでしょう。

    2011年09月13日

  • FAE

    会社対会社の付き合いをしている限り、口ではお客様と言ってはいますが、所詮「金づる」なんじゃぁないですか?
    いや、そんな次元じゃぁなく、人と人のつながりを大切にして、結果としてお金を頂くのでしょうか?
    それなら、受託なり派遣なりでそのお客様の会社に所属してそのお客様の利益になる事(ノウハウを基にした役務)を提供すべきではないでしょうか?
    これでは、こちらが会社として成り立たない?そうです。会社という組織にしている以上、お金をくれるから愛せるんですよね?

    2011年09月12日

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