営業は棋士、社長は駒

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2011-10-01 08:00:00

 「“営業” を英語でどう書きますか?」



営業研修の冒頭、こんな質問をします。するとほとんどの方からは、“Sales”という答えが返ってきます。もちろんそれも間違えではありませんが、私は“Sales Representative”という言い方があるという話しをします。


英語での慣例を考えれば、単にお客様を担当する営業という意味で使われている場合もあります。ただ、Representative=代表者、代理人という意味からもわかるように、本来は、新規の顧客開拓や大切なお客様との取引を任される人という使われ方をしているようです。つまり、「会社の代表として取引に責任を持つ人」です。


ですから、“Representative”として働くためには、マーケットの分析に始まり、どの企業がお客様になりうるポテンシャルを持っているのか、そしてその会社といかにしてよい関係を作り、お客様との関係を発展させて行くのかを考える能力、つまり、情報収集能力、分析力、計画策定能力が求められます。また、何よりも新規顧客との関係を構築するための行動力と積極性、コミュニケーション能力が必要となります。


士農工商営業と言われるこの業界の中で、「会社の代表として取引に責任を持つ人」というのは、どうもぴんときませんよ・・・そんな声も聞こえてきそうですが、だからこそ、まずは自分自身が、その自覚を持つことが大切なのだろうと思います。


「自分は、会社の代表として取引に責任を持つ人としての能力を磨いているだろうか?そんな動きをしているだろうか?」と問い返してみてください。


「そんなことを言われますけど、うちの会社では、だれもそんな風には思っていませんよ。むしろ、余計なことをするなと言われてしまいます。」


残念ながら、そんな現実も少なくありません。だからこそ現場の自覚から、その風潮を変えてゆくべきなのだと私は信じています。


先日、あるSIerの社長から、「新規顧客開拓が今うちには是非とも必要なことなんです。でもうちの営業は新規開拓が全然できなくて・・・」という話を聞きました。


「じゃあ、新規開拓に邁進できる環境を彼らに与えていますか?」と質問すると、結局はその他多くの仕事の一部であり、営業本人の自助努力として「新規顧客開拓もおまえの仕事だからな」と言い含めているだけのようでした。この会社の営業は、“Representative”としての責任は与えられていないようでした。これではうまくゆくはずはありません。


新規開拓という仕事は、簡単なことではありません。選択肢が多様化している時代にあっては、なおさらです。「他社の1/3の金額でできます」なら、まだやりようはあります。しかし、それができないのであれば、「新規顧客を開拓する専門職」としての責任を明確にして、それを支援する仕組みと共に取り組むことが大切なのだろうと思います。


一方で、営業もその自覚が必要です。「会社の代表として取引に責任を持つ人」として自分を鍛え、追い込むしかありません。また、会社を代表し、お客様に、あるいはプロジェクトに責任を持つならば、会社同士の関係を築くという発想も必要でしょう。


お客様の担当者と担当営業だけではなく、お客様の管理者や経営者と会社の責任者である社長や役員との信頼関係を築くことはとても大切なことです。お客様は、大金を払って仕事を任せる以上、それはあなた個人ではなく、会社への責任を求めるわけです。その責任者である社長が信頼されているとなれば、あなたの仕事は、ほんとうにはかどります。


営業=Sales Representativeの仕事は、お客様との取引一切について全体を見渡し、その責任者として、全体の動きを指揮することです。つまり、あなたは将棋の棋士であり、社長はそのゲームをうまく進めてゆくための駒であるという自覚を持つべきなのです。適材を適所に最適な駒を配置する。少なくとも自分が担当するお客様との関係においては、自分が責任者であるという自覚を持つべきです。


新規開拓に限ったことではありませんが、今ITの国内マーケットは、かつてのように「しっかり仕事をしていれば必ずリピートがもらえる」時代ではなくなりました。他社との棲み分けなどと言う甘い期待ももはや夢の話しです。競合に打ち勝つための取り組みが必要なのです。


Sales Representative”の本来の意味に立ち返ってみてはどうでしょう。営業はその自覚を持ち、経営者は言葉だけで叱咤激励するのではなく制度や組織の仕組みとして、その役割を与えてみてはいかがでしょう。


そんなお互いの自覚と取り組みが、結果として組織としての営業力を底上げし、「新規顧客を開拓する力」を育ててゆくように思います。





自社製品の性能や機能については話せとも、世の中の常識と自社製品との関係は話せません。


そんな営業をお客様は、信頼するでしょうか?


では、どうすればいいのでしょうか。よろしければ、こちらをご覧ください。


場所:東京・市ヶ谷

期間:10月5日から12月7日 

毎週水曜日 18:30~20:00

全10回

費用:9万4千5百円/一括


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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

1件のコメント
  • FAE

    「まずは自分自身が、その自覚を持つことが大切なのだろうと思います。」
    自覚を持つのはいいんですけど、それに見合う対価の後ろ盾が無いのでは、会社への無償奉仕にしかならないのでは?経営層からの周りを見下した考え方ではないでしょうか?見下されたく無いなら自分で会社を作れ?なら、日本中が経営者になるはずですよね?

    2011年10月01日

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