競争に勝てない営業と常に勝ち続ける営業の違い

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2012-02-11 08:30:00


「自社のMFP(多機能プリンター)と競合他社のものと、どう違うのでしょう。何処が他社に比べて優れているのでしょうか? 」


某オフィース機器メーカーの若手営業職を対象とした研修で、冒頭こんな質問をさせて頂きました。何人かの人に聞きましたが、この質問に納得できる説明ができた人は、ひとりもいませんでした。


技術の進化は、技術を見えなくする進化でもあります。iPadやiPhoneを使えばわかることですが、技術を知らなくても直感的に使いこなすことができます。まさに技術の進化のひとつの答えです。


技術者は、誰もが、簡単に、安価に使えるものを目指して、日夜苦労して開発をしています。そんな各社の取り組みは、お互いに切磋琢磨しながら進化を促し、いずれは各社横並びに高い完成度を達成します。そして、結果として製品では差別化できない状況を生み出してしまいます。MFPはまさにそんなケースの代表的なものです。


また、HPとIBMとDELLと富士通とNEC・・・のPCサーバーは何が違うのでしょうか。各社各様に様々な工夫もあります。しかし、突き詰めてゆけば、全てIntelのXeonであり、OSはWindowsかLinux、データベースはOracleです。もはや明確な差別化は困難です。


自社の独自のサービスであったとしても、類似のものは世の中にたくさんあります。ここは凄いと言えるところが仮にあったとしても、各社それぞれにこれは凄いを主張するでしょう。お客様から見れば、一長一短と言うことになるのではないでしょうか。


もはや、製品やサービスのアドバンテージだけで、差別化し、競争力を保つことは容易なことではありません。


ではどのようにして、営業は競争を制することができるのでしょう。


答えは、競合を作らないこと、だと思います。


自社製品の機能や性能について、詳しく知っていることは大切なことです。しかし、それしか説明できないとすれば、お客様もまた他社に同様の説明を求めて、それを比較し判断されるでしょう。


しかし、先ほども説明の通り、機能、性能から、絶対的な競争優位を見出すことは難しい時代になりました。結局は価格や納期などの競争に陥ってしまいます。


お客様は何を求めているのでしょうか。私達はこの最も基本的な疑問に立ち返る必要があります。


お客様は、決してあなたの会社の製品やサービスを購入したいわけではないのです。自分の抱えている課題を解決したいのです。また、世の中かどうなっているのか、自分たちは正しい方向に向かっているのかを知りたいのです。そんな世間の常識と比べて、自分たちの選択が妥当であることに確信を持ちたいのではないでしょうか。


営業は、お客様にとって、よき相談相手になるべきです。世間の常識を語り、世の中のこれからの方向を説明し、お客様はどのような選択をすべきなのかを説明する。自社製品のことではなく、世の中のことであり、お客様のことです。その中で、自社の製品の得意不得意を客観的に語ることができる存在になることが大切です。


世の中に完全無欠な製品やサービスなど存在しません。そんなことはお客様もご存知です。いいことばかりでなく、不十分なところも冷静に説明し、運用でカバーする、ほかと組み合わせるなどの方法もあわせて説明すべきでしょう。私達の仕事の目的は、お客様の課題を解決することです。自社製品はその手段であるとを自覚しなくてはなりません。


お客様の課題はITだけで解決できません。そこも含めて、お客様と一緒に解決策を考える。そんな相談相手になることができれば、もはや競合はありません。あとはあなたにお任せしますとなり、自社製品で対応できることを優先しつつも、他社も含めた最適な組み合わせを提供すればいいのです。


相談し御願いする営業から、相談され御願いされる営業になる


ITに関わることなら、まずはあなたに相談するという関係を築くことができれば、もはや競合はありません。


どんな職業にもプロフェッショナルとアマチュアがいます。営業の世界でのプロフェッショナルとは競合を作らない営業です。


そのために、あなたは何をしていますか。どんな勉強をしていますか。あなたが、もしプロフェッショナルを目指すならば、そんなことを自問してみることも大切かもしれませんね。



■ ご意見をお待ちしています 


Facebookページを公開しています。コメントはこちらへ御願いします。 

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

1件のコメント
  • FAE

    >ITに関わることなら、まずはあなたに相談するという関係を築くことができれば、もはや競合はありません。
    相談されて、具合的なシステム構成と見積もりを提出し、納期、ドキュメント、導入トレーニングなどを詰めていた所で失注。なんと、うちから提出したシステム構成図を元に他ベンダーに見積もりを依頼。口頭でうちの出した見積もり金額を「一つのたたき台」と云う言い回しで提示していた事が発覚。単なる便利屋に使われてしまったという落ちでした。

    2012年02月13日