「課題発掘」の本当の意味

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2012-04-14 09:00:00

「御社の販売システムの問題は、この点にあると思います。私達の製品を使えば、この問題を解決することができると思います。」


こんな説明をすると、「おいおい、うちのシステムの問題とはどういうことだ。ちゃんと使えているし、問題なんてあるようには思わないけどね・・・」などと、意地悪な突っ込みをされるかもしれませんね。


「問題」という言葉を、こんな風に使っていることはありませんか?


確かに間違えだともいえないのですが、適切な使い方ではありません。では、どのような表現なら適切だというのでしょうか。次のように「問題」を「課題」に置き換えてみてはいかがでしょうか。


「御社の販売システムの課題は、この点にあると思います。私達の製品を使えば、この課題を解決することができると思います。」


では、「問題」と「課題」、何が違うのでしょうか。今日はこの点について、考えてみようと思います。


例えば、「国際会計基準に対応した会計システムを導入する」という「あるべき姿」があったとしましょう。しかし、「現在の会計システムは国際会計基準に対応していない」とすると、この両者には「ギャップ」が存在します。このギャップが「問題」です。もし、両者にギャップがなければ問題にはなりません。


しかし、私達が「問題がある」と思っても、お客さまもまた同じように、その問題の存在を認知されているでしょうか? 


「それ問題なの?」となれば、解決する必要はありません。こちらがいくら「解決すべきです」と訴えてみても、お客さまはなんの行動も起こされることはないでしょう。


私達は、それが「問題である」ことを、まずはお客さまに認めてもらわなくてはなりません。国際会計基準とは何か、それがなぜ問題であるのかをお客さまに説明し、理解していだくことが大切です。


その上で、それを放置すればどのような不具合が起こるのかを明らかにします。そして、このままではまずい、なんとか解決しなくてはという意欲を引き出す必要があります。


その存在受け入れ、解決したいという意欲をもった「問題」、それが、解決すべき「課題」です。


お客さまが解決したいと思わないことに、いくら立派な提案をお持ちしたとしても、それを採用して頂けるチャンスはありません。「課題」とは、「解決したいという意欲を伴う問題」なのです。




「お客さまの課題を発掘する」とは、このプロセスをすすめる活動です。


「何か課題はありませんか?」とお客さまに尋ねることが、課題発掘ではありません。そんな質問をしたところで、「ありません」という反応が返ってくるだけです。


課題を発掘するためには、まず自分自身が、お客さまのあるべき姿と現状を正しく理解することから始めなくてはなりません。そこにギャップ、すなち、問題を見つけることにまず取り組む必要があります。


その問題をお客さまに伝え、存在を確認し、このままではまずいことになる、大変なことになるという危機感をいだいて頂く。そして、解決しなくてはという意欲を持って頂く。


「課題を発掘する」とは、このような取り組みを行うことです。これができて、私達は、始めて提案のチャンスを手に入れることができるのです。


課題が明らかになれば、それを解決すればいいわけです。その手段がソリューションです。


初めてのお客さまに「我が社のソリューションは・・・」と説明しても、課題が存在しなければ、解決する必要はなく、あなたの説明の声は、お客さまの背中をすり抜けてゆくだけでしょう。時間の無駄です。


ソリューションはお客さまの課題を解決することです。そして、この課題を発掘するためには、お客さまのあるべき姿と現状を理解することから始めなくてはなりません。


言葉にはひとつひとつに魂があるように思うことがあります。不用意な使い方は相手に思わぬ感情をいだかせてしまうことがあります。また、正しく使えば、相手の心を動かす力を与えてくれます。


問題と課題という言葉の意味や関係を理解することは、その言葉に込められた魂を理解することなのかもしれません。そして、課題発掘の本当の意味を理解することにもなるでしょう。

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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

1件のコメント
  • FAE

    表面化させないほうが良い課題もあるんではないでしょうか?
    あらゆるシステムは何らかの機能的欠陥を抱えている訳で、端的にはその中の一つを取り上げ、指摘する事が課題提起ということになるのでしょうが、好きで課題に手を付けずにいる訳ではないですよね?それぞれの会社には事情が有ります。資金面、人的リソース、特許/法律問題、はたまた昨今の「何でも自粛」ブームなどなど。下手に積極的な投資を行うとお役所方面や市民団体を装ったクレーマ集団などの目に付き、痛くもない腹を探られ兼ねません。
    善かれと思って行った提案がとんでもない結末を迎えるという事も十分考えるべきではないでしょうか?
    一歩間違えば訴えられて共倒れってことも。

    2012年04月20日

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