「情報」の意味を知らない非常識営業とならないために

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2012-06-09 09:00:00

「なるほど、そういう考え方がありましたね。これはいいですね。」


あなたは、お客様にそう言わせるだけの情報を提供しているでしょうか。私は、営業の存在価値は、そこにあると思っています。


お客様の知っていること、興味のない製品情報を届けたところで、お客様にとってはなんのメリットもありません。「ちょっと、ご紹介したい製品があるんですけど、お時間頂けないでしょうか。」とお願いしても、「ああ、それならホームページのURLをメールで送っといてくれればいいから・・・」と返されるだけです。


お客様に伺い、自社の商品やサービスの説明をすることはできても、お客様に「ハッと思わせる情報」を提供できないようであれば、あなたは「歩くカタログ・スタンド」程度の存在でしかないのです。それでは、営業であることの意味はありません。


そうならないために、どうすればいいのでしょうか。


お客様にとって、魅力的な情報をお届けすることです。では一体どういう情報が魅力的なのでしょうか。まずはこの点について考えて見ましょう。


かけひきの科学(唐津一著)」に次のような記述があります。

「情報とは、それが到着、あるいはそれを入手したとたん、環境を一変させる力を持つ。もちろん到着しないかぎり、なんの力ももないのである。」

Wikipediaには、こんな記述があります。

「情報量は、情報理論の概念で、あるできごと(事象)が起きた際、それがどれほど起こりにくいかを表す尺度である。頻繁に起こるできごと(たとえば「犬が人を噛む」)が起こったことを知ってもそれはたいした「情報」にはならないが、逆に滅多に起こらないできごと(たとえば「人が犬を噛む」)が起これば、それはより多くの「情報」を含んでいると考えられる。情報量はそのできごとがどれだけの情報をもっているかの尺度であるともみなすことができる。」

例えば、提案書や製品説明のための資料についてが考えてみると、それが分厚ければ分厚いほど、情報量が多いと思いがちです。しかし、その中にお客様が知っていることばかり書いてあったとすれば、お客様の意識に何の変化も起きません。逆に薄い提案書であっても、その中にたった一枚のハッと思わせる図表が入っていたとしたら、お客様の意識は大きな影響を受けることになり、きっと真剣にあなたの話を聞いてくれることになるでしょう。


情報理論では、前者のような状態を「情報量はゼロに等しい」といいます。つまり、情報量とは、相手の行動に影響を与える度合いであり、量の問題ではないのです。


「情報量とは相手の行動に与える影響度」であると考えると、もうひとつ注意しなければならないことがあります。それは、相手の期待に対する適合度です。例えば、お客様への提案書にたとえお客様の知らないことが書いてあったとしても、それがお客様にとって関心のない内容であったならば、相手に影響を与えることはあません。こういう情報を世間では、「余計なお世話」や「トンチンカン」といいます(笑)。


では、それが、お客様の期待している情報であり、「ハッと思わせる」ものであったとして、その影響度の大きさは、どのように考えれば良いのでしょうか。


これは、お客様の期待とのギャップの大きさです。例えば、お客様が「このシステムを導入すると毎月100万円のコスト削減が期待できそうだ」と考えているとき、あなたの提案が110万円であれば、10万円分の影響度です。もし、200万円であれば100万円分の影響を与えることになるでしょう。逆に、90万円であれば、10万円分のがっかりです。30万円なら70万円分の失望になります。つまり、「こりゃだめだ、二度とこの営業の提案は聞かないぞ」というネガティブな影響を与えることになります。


つまり、お客様の期待する内容を理解し、それについての提案であったとしても、求めるレベルがどの程度かを把握できていなければ、たいへんなことになるかもしれないのです。


例えば、「経費処理伝票の入力負担を軽減したい」という期待に答える内容であっても、「お客様は紙の伝票を一切廃し、しかもスマホからインターネットを介して入力でき、そのまま会計システムへもデータを受け渡すことができるシステム」を期待しているにもかかわらず、「入力はPCだけで会計システムへは個別に手入力」ならば、お客様はがっかりし、あなたの話など二度と聞きたくないと思うでしょう。


「お客様の期待に応える」とは、よく聞かれる言葉です。しかし、期待に応えるためには、その期待の内容とレベルを知ることからはじめなくてはなりません。そこをおろそかにして、自分のできること、話したいことだけを伝えて、「さあ、どうだ!」とお客様の反応を待つ。これでは、お客様の期待に応えることなどできません。


情報システムに携わるものとして、「情報」の意味をしらないでは、非常識かもしれませんね。そんな非常識な営業とならないためにも、ご参考にしていだければ幸いです。



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1件のコメント
  • FAE

    >例えば、提案書や製品説明のための資料についてが考えてみると、...情報量が多いと思いがちです。
    これって、どこかの英文の誤訳じゃあないですか?日本語的に考えると主語がどこだか判りません。英語的には時たま出て来る表記なのですが。機械翻訳って文章の先頭部分に出て来る名詞を見つけてそれを主語と仮定して文章組み立てを行って行きます。今回の元文章では主語がうまく見つからない様な表記、例えば、複数段に入れ込まれている関係代名詞とか、敢えて普通とは異なる表現にしたい為に大文字表記(TO THINK TO THE DOCUMENTS)をしていたとか...。
    また、文末の「思いがち」もaptを一般的な訳として置いてしまっている、いや置く事しかできない、機械翻訳の最大の弱点が典型的に出てしまっているものではないでしょうか?もしかして、元の英文の意味は、分厚い提案書や資料だから情報量も分厚いって思う傾向が一般の人々にはある。なんじゃぁないですか?もちろん、その前後の文章で実情の肯定にも否定にも持って行けるので、この一文からだけは判断出来ませんが、今回のブログの内容からすると、提案書の厚さ=情報量ではないということになる様ですので、前後の文章から論旨としては同じ方向の文だったのでしょう。
    >「情報」の意味をしらないでは、非常識かもしれませんね。
    いや、日本語というかこれまでの日本文化の限界でしょう。空気、水、サービス、情報はただという考えの文化の。
    今回の内容で「情報」を使うのは、敢えて情報と云う単語の用法の違和感を際立たせるだけの事ではないでしょうか?お客様のシステムのニーズも「情報」であり、そのニーズを満たす為のソリューションが存在する事も情報です。”情報システムに携わるもの”からしますと、なんとか意味を汲み取れるのですが、携わらない人からすれば、「ざぎんでしーす」のように”何、業界用語使って優越感出してんのよ!”ってところでしかないんですが...。

    2012年06月09日