「営業らしさ」とは何か

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2012-09-15 10:30:00

部長「営業なら、営業らしくしなさい (`Д´)

部下「・・・ (ノдヽ)


よほど腹の据えかねることでもあったのでしょう。部下である若手の営業も、怒られても仕方がない、という顔をしていました。


しかし、よく考えてみると、「営業らしい」とはどういうことなのでしょうか。分からないわけでもありませんが、ちゃんと考えてみたことがありません・・・ということで、今日はそのあたりを考えて見ようと思います。


私にとっての「営業らしさ」とは、次の3つの条件を備えていることだろうと思います。

  1. お客様の価値を最優先できること
  2. 数字に対する強い執着を持てること
  3. 好奇心が強く勉強することを怠らないこと

1.お客様の価値を最優先できること

営業は、お客様の代弁者として、社内外の調整役になるべきです。お客様の課題を解決する担当プロデューサーといったところでしょうか。


営業の仕事は、お客様に満足を提供し、その対価を得ることです。サービスやモノは、そんなお客様の満足を引き出す手段の一部であり、お金を頂くための方便に過ぎません。


お客様が、自分の課題が解決されることに対して満足を感じ、そのことに感謝し、その感謝の対価を私達はいだくわけです。そう考えれば、お客様が何に困り、何を必要としているかを、お客様の立場で想像できなくてはなりません。


そして、そのことをとことんお客様と話し合い、どうなれば満足できるのかをお客様と合意する。そして、そのために全力を尽くすことができるかどうかが、営業の力量です。


最善尽くしても、全てがうまく行くとは限りません。しかし、「お客様に対して、最善を尽くしているか」をいつも自問してみるべきです。そして、それがイエスであれば、その姿はお客様にも伝わり、貴方への信頼は確かなものになるはずです。


売る側の利益を優先し、伝えるべきことを伝えず、お客様に「しかたがない」と思わせ、なんとか合意を取り付ける・・・いずれは分かる話です。それが分かったときには、お客様からの信頼は喪失し、「次のタイミングで、他社に換えてやる!」という決心を持たせてしまうことになるでしょう。


営業という仕事は、ここが一番難しいところです。しかし、それができれば、もうお客様は貴方でなければ話しを聞いてくれなくなるでしょう。つまり、これは、結果として、お客様の囲い込みであり、競合の排除です。営業冥利に尽きるとは、こういうことではないかとも思います。


2.数字に対する強い執着を持てること

営業目標の達成に絶対的な執念を持ち、その達成に向けて知恵を絞り、行動することです。


これは、前段の話しと矛盾することではありません。お客様の「困った」は、たくさんあります。それをできるだけたくさん掘り起こし、お客様が満足を得られるネタをたくさん持つことができれば、目標の達成に近づくことができます。こちらの利益を優先し、お客様をだましてまで数字を達成すべし、ということではありません。


これはいけると提案してもうまく行かないことはよくあります。そうすると、「タイミングじゃなかった」、「お客様の業績が厳しくて」、「景気がよくないから」・・・様々な言い訳を口にする人がいます。だから、何だというのでしょうか。「タイミングがいいものは何か」、「厳しい業績を改善できる手段は何か」、「景気に左右されないニーズとは何か」・・・を考えればいいのです。そして、なんとしてでも数字のつじつまを合わせる。その執念を持つことができなければ、営業とは言えないでしょう。


現役の頃、「営業の人格は数字だ」と上司から何度も聞かされました。まったく、その通りだと思います。どんなに人間的に良い人であり、知識もあって話がうまくても、数字を上げられなければ、営業ではありません。その自覚こそが、営業であることの存在意義だといっても過言ではないと思っています。


3.好奇心が強く勉強することを怠らないこと

お客様に「なるほど」と思わせる知恵や知識を持ち、お客様をリードできることです。


全ての分野にわたり、お客様をリードすべきだと言っているのではありません。せめて、担当するお客様の会社のこと、業界や業務のこと、自分たちの仕事に関わる技術や動向などは、お客様と対等に会話し、アドバイスできなくてはなりません。それができないようであれば、貴方は、見積書や注文書を運び、モノの調達に奔走する労働力の単なる代替としての存在でしかないのです。それを営業というのなら、なんと寂しいことでしょうか。


お客様の価値を高め、お客様の感謝を引き出すとは、お客様の3年後、5年後に責任を持った提案ができなくてはなりません。そのためには、技術のトレンドを理解し、社会や経済、お客様の業界や業務の課題や動向を理解することが、必要です。


もちろん、絶対の正解はありません。だからこそ、貪欲に勉強し、何が正解を追い続ける態度が必要なのです。そうすれば、自ずとその時々の最適解を見つけることができるはずです。


勉強することに興味が持てないのであれば、営業は務まりません。はやく別の仕事を探すべきです。


かつては、お客様と呑んで、ゴルフして、「よろしく」と頭を下げることが、大切だった時代があります。しかし、景気の低迷と価値観の変化は、そのようなスタイルでは仕事を取ることができなくなりました。


「オフィスで椅子を暖めている暇があったら、靴の底減らしてお客さん回って、しごとのひとつでも拾ってこい・・・」などと、未だに豪語するマネージャーがいたら、時代遅れも甚だしい。


確かに、お客様に足繁く通うことは、大切なことかもしれません。しかし、それだけで仕事がとれる時代ではないのです。また、案件単価も小さくなり、営業には高い生産性が求められます。そのためには、戦略が必要であり、行動計画を組み立てなくてはなりません。時には、オフィスでじっくりと作戦を練ることも必要なのです。


勉強とは、本や新聞を読むこと、研修を受けることだけではありません。日々、耳にする言葉の意味に興味を持ち検索してみることも勉強です。お客様にいろいろ質問して、業務のこと、業界のことについて、教えていだくことも勉強です。お客様の工場の現場に一日張り付いて、仕事を見せていだくことも勉強です。


「なんだろう?」、「なぜだろう?」、「どのようにすればいいのだろう?」とさまざまな物事に好奇心を持つことが、勉強の起点です。


そういう意識を持ち続け、勉強するのは、容易のことではないかもしれません。ただ、それが、営業としてプロになるための道であり、そうなりたいと思うならば、やるしかないのです。


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こんなことを書くと、「理想論としては分かるが、現実はそんな簡単じゃありませんよ」と反論する方もいらっしゃると思います。


そのとおり、これは「理想論」です。しかし、「理想論」を示さずして、なにを目指せばいいのでしょうか。営業は、この理想を目指すべきだと私は思っています。


人当たりがいい、話がうまい、資料がキレイ・・・たしかに、営業にとって大切な能力であることは確かです。しかし、そのことが、営業らしさの本質ではありません。


お客様の価値を最優先に考え、自分の営業目標達成に執着する。一見矛盾するようなこのふたつの課題を同時に解決するには知恵と工夫が必要です。そのために勉強は欠かせません。


まだまだ未熟な営業であっても、そういう理想にむけて努力している営業を見ると、私は「営業らしいなぁ」と思えてくるのです。


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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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