営業の楽しみ方

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2012-09-22 09:30:00

「お客様に怒られてしまって、いまその対応で本当に苦労しています・・・」


今年三年目になる営業が、暗い顔で、そんな話しをしてくれた。


「それはよかった。それだけ期待されているということなんだろうね」。彼は、えっ、という顔をし、私は、にやりと笑った。


振り返れば、私も何度かお客様に「出入り禁止」を言い渡されたことがある。そして、そのたびに「出入り禁止の斎藤です・・・」と菓子折を持って、頭を下げにいった。そうすると大概の場合は、ぐりぐりと嫌みを言われ、時には感情を爆発させ怒鳴られる。そして、まずは怒りの矛先を納めてくれる。第一ラウンド終了と言ったところだ。


配慮が足りなかったこと、準備不足のまますすめてしまったこと、相手の期待を読み誤ったこと・・・理由は様々だが、よかれと思ってやったことである。何をそこまで言わなくても、という思いもあるが、失敗は失敗である。まずは、その非を認めることが先決だ。それをしっかりと、そして素直に受け止めることからはじめなくてはならない。


しかし、見方を変えれば、これはチャンスだ。お客様の意図ははっきり分かった。何をすれば納得いただけるかが明確になった。もし、しっかりとその期待に応えることができれば、相手の信頼はこれまで以上に高まる。「よぉ~し、いっちょ、頑張ってみるか・・・」、第二ラウンドの開始である(笑)。


そうやって、「出入り禁止」という事態を何度も乗り切ってきたことことが思い出される。


まあ、今思えば、本当に期待されていたかどうかは分からないが、こちらの勝手な思い込みで、なんとかその期待に応えようと思ったことだけは確かだ。だから、ここは一番、なんとか挽回してやろうと必死に食らいついた。そして、お客様が、結果として、「ありがとう。助かったよ。」と言われたときのうれしさは今でも忘れられない。


よく考えてみれば、こちらが失敗しておいて、「ありがとう」もおかしな話しだが、人というのはそういうものである。そんなお客様とのや取りから、責任の重さや人の優しさなど、多くのことを学んできたように思う。


営業という仕事のおもしろさは、こういうアクシデントに遭遇できることかもしれない。決まった手順を繰り返すだけではなく、予期せぬ出来事が頻発する。その時々で対策を考え、事態に対処してゆく。これは相当高度なスキルが求められる。


「臨機応変」。世界最強の軍隊と言われるアメリカ海兵隊の標語にもなっている。戦闘には不確実性や予期しない事態がつきまとう。海兵隊は、敵前に最初に乗り込む部隊であるから、ますますこのようなことは多い。そのため目標だけが示され現場に権限委譲し、臨機応変に対応することが求められる。


営業は、「人」を相手にする仕事だ。突き詰めれば、「心」を相手にしているとも言える。その心をしっかりと掴み、こちらの想いを受け入れてもらう仕事でもある。しかし、心は時に移ろいやすい。組織の軋轢、上司の反応、競合からのカウンター・フロポーズ、新しい技術やサービスの出現、親しい人や信頼している人からの助言、時には家庭の事情も影響を及ぼすことがある。このような複雑な要素全てに対処することはできないにしろ、そういうものであることに理解を示し、最善を尽くすこと。それが、営業という仕事に求められている。


マニュアルには書かれていないひとつひとつの異なる戦場において、目標を達成するために、まさに「臨機応変」に対処しなくてはならない。これには幅広い知識と、なんといっても場数がものを言う。


では、営業にとっての目標とは何か。先週のブログでも触れたが、「お客様の価値を最優先に、自分たちの数値目標を達成すること」である。なんと難しい目標だろうか。


お客様は何を求めているのだろう。そんなとき、「何が必要ですか?」とお客様に質問しているようでは何とも情けない。


お客様の業務のこと、経営のこと、経済のこと、業界のことから、きっとこういうことになっているはずだと仮説を立てて「こういうことでお困りなのではありませんか?」と質問してみる。そして、お客様をドキっとさせる。これこそ、営業という仕事の醍醐味だ。ITの言葉はそのあとでいい。


そうやって切っ掛けを掴んでも、最終的な意志決定には、様々な人が係わり、思惑が錯綜する。これは、まるで幼稚園の園庭で走り回っている子供たちを整列させるに等しい困難がつきまとう。目の前にある砂山やオモチャを振り切って、こちらに注目させる何かが必要だ。それは、ものであり、言葉であり、パフォーマンスである。最高のエンターテナーでなければ、かれらを振り向かせることはできないだろう。営業はこれができなくてはならない。


例え受注しても、成功が保証されているわけではない。まるで、夫婦のようだ。失敗者だからこそ自信を持って語れるが(笑)、契約という関係に満足し、継続して相手が幸せになるための努力を怠っては、決してうまく行かない。トラブルのないデリバリーなどない。大切なことは、トラブルにどれだけ適切に迅速に対処するかである。その真摯な態度と行動力が、相手との関係をこれまで以上に親密にしてくれる。これはもう天地不変の法則のようなものである。


こう考えてみると、営業という仕事は、実に大変な仕事だ。いろいろと勉強すべきことは多いし、マメでなくてはつとまらない。言葉や人との接し方についても人一倍気を遣う。それでもって、数字は確実に達成しなければならないというプレッシャーも背負っている。


ところで、もし、これに対処できるようになったとしたらどうだろう。営業としてもそうだが、人として大きく成長できるのではないだろうか。厳しいからこそ成長のペースも速い。そして、実に幅広く成長を求められる。そういうチャンスが与えられている。しかも、給料までもらってである。


「楽しむ」とは、成長を実感できることであろう。できなかったことができるようになる。自分のやったことで相手が喜んでくれる。失敗したことでこれまで気付かなかったことを知ることができる。成長の喜びとはそういうものだ。


だから、営業という仕事は、本当に楽しい。


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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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