いったい、だれのための提案なんですか?

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2013-01-20 11:30:00

いったい、だれのための提案なんですか?


少々、声を荒げてしまいました。


「現場事務所にはシステムに詳しい人がいないんです。だから、現場での運用管理負担を少なくできる方法を提案して欲しいとお願いしたはずです。それなのにお持ちいただいた提案はエンド・ポイント・セキュリティの話じゃないですか。どういうことなんですか?」


すると相手は・・・


「確かに、そうなんですが、現場にはいろいろな会社の人が出入りされますので、まずはセキュリティを優先すべきと考えて提案させていだきました。御社ほどの会社では、まず対処しなければならないことだと思っています。」


わたしは、ますます腹立たしくなってきました。


「申し訳ありませんが、それは余計なお世話ですよ。そんな提案をこちらは望んでなんかいません。確かにセキュリティは重要です。しかし、まず解決したいことは現場のシステム運用負担の軽減です。それほどセキュリティが重要とおっしゃるならば、この両者を両立する提案をして頂くべきではありませんか。VDIやシンクライアントの組み合わせなら、それが可能じゃないんですか?そう申し上げたはずですよ。」


すると、ついに相手が本音を語り出した。


「確かにその話は伺いました。ただ、私どもにはVDIの実績がありません。だから、実績のあるこのセキュリティ製品の提案をさせて頂きました。まずはセキュリティが重要かと考えまして・・・」


こちらが何を重要と考えているかを斟酌せず、自分たちができること、売りたいものを優先し、そちらの方が大切だと持論を展開する。残念ながら、そのようにしか理解できませんでした。


別の会社の話ですが、情報システム部門の責任者の方から、こんな話を伺いました。


「ファイルサーバー用のストレージについて、3社に提案をお願いしたんです。必要な仕様や予算の目安も示しました。結局、一番金額が高いところにしたんですけどね・・・」


その方が言うには、2社はこちらが提示した予算を少し下回る金額で、仕様を満たす提案をしてきたそうです。ところが、残る1社は違ったそうです。まず金額は、提示した予算より3割ほど高めでした。しかし、こちらが提示した仕様から、どんな運用をしようとしているのか、ならばどんな機能や性能が必要かを考えて、構成に盛り込んできたそうです。


その提案を受けた方は、「なるほど、確かにこうでなきゃ困るな」と思ったそうです。そして、少し予算を上積みして、その提案を採用したとのことでした。


このふたつのケースから、「お客様のご要望に応える」とはどういうことかの教訓を得ることができます。


まず前者は、こちらが何に困っているかを訴えていたにもかかわらず、それを真剣に受け止め、どうすれば解決できるかを考えようとはしませんでした。自分たちができること、売りたいものを優先し、正論を展開して、「我々の方がものを知っているのだから、言うことを聞いておきなさい」というようにも聞こえました。


「がっかりしましたよ」。同席されていた情報システム部門長のつぶやきが耳に残りました。


後者は、全くの対極にあります。こちらが望んでいることだけではなく、こちらも気がつかなかった使い方まで考えて、あるべき姿を示してくれました。専門家としての経験と知識を活かし、期待以上のものを提供してくれました。言うまでも無く、その提案を受け取った方は、多いに感心し、何かあったらまた相談しようと思ったそうです。


お客様が求めていることは、製品やサービスの購入ではありません。自分たちの課題を解決することです。ならば、まずは、「何をすべきか」を考えるべきでしよう。自分たちに「何ができるか」は、後の話です。


  1. お客様は、何をめざされているのでしょうか。
  2. 結果として、どのような価値を手に入れようとしているのでしょうか。
  3. そのときには、どんな使い方をしているのでしょうか。



このような、お客様の望んでいる「あるべき姿 = To Be」を想像し、そのうえで、どういう「手段 = To Do」が最適かを考えます。


最後に、自分たちができることは何か、あるいは範囲を考えます。


あるべき姿とそれを実現する最適な手段の組み合わせ。これが「何をすべきか」に相当します。


自分たちが、「何をすべきか」を完全に満たすことができなくても、それを補完する方法を示すことができるかもしれません。あるいは、完全には満たせないが、安い金額でおおよそのところを満たせるかもしれません。自分たちにはできないことを率直に認めて、次のチャンスを期待すべきかもしれません。


お客様のあるべき姿を想像し、「何をすべきか」を考え、それをお客様に伝えます。その結果、「何ができるか」で百点満点を出せなくても、お客様はきっと信頼してくださるはずです。そして、その提案を真剣に考えてくださるでしょう。たとえ、今回は採用を逃しても、「また相談したい」という思いを残すことはできるはずです。


いったい、だれのための提案なんですか?


自分への問いかけとして、忘れないようにしたいものです。


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自社製品の知識はありますが、世の中の常識となると、うまく説明できません。

  • クラウドと仮想化の違いが説明できません
  • ERPは知ってるけれど、BPR,BPM,SOAとの関係は説明できません
  • HTML5とスマホやクラウドの関係は説明できません

こんなコトでは、「何をすべきか」を考えることができません。


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