SIビジネスはなくなります

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2013-01-27 13:00:00

「これからのSIビジネスは、どうなると思いますか?」。


先日、あるセミナーでこんな質問を投げかけました。


「厳しくなると思います。」、「ますます儲からなくなるでしょうね。」などのご意見をいただきました。


昨日、ある大手SIerさんで研修がありました。そこで、「どうすれば、自社のクラウド・ビジネスを拡大できるか」をテーマに議論をしました。


「うちはSIerなんだから、クラウド・ビジネスを拡大するではなく、SIビジネスを拡大することが目的。クラウドは、それなりの機能があって安けりゃいいんじゃないですか。それを目指すべきであって、クラウド・ビジネスをどうするかという議論は、そもそも本末が転倒していると思います。」


こんな発言がありました。


このような話を聞き、どちらの場合も「SIビジネスありき」の発想から抜け出していないことがわかります。


ユーザー企業の情報システム戦略策定に関わりながら、お客様自身が内製化を志向し、クラウド・ファーストを模索し始めていることを肌で感じています。多分、この感覚は、多くのSIerの皆さんも同様ではないでしょうか。


それにもかかわらず、何もしない人がいるとすれば、現実逃避か、余命幾ばくもない自らの死を受け入れた解脱者かのいずれか、ということなのでしょう。


今年は何とかなるでしょう。じゃあ3年後はどうでしょうか、5年後はどうでしょうか、10年後はどうでしょう・・・いつかとは明言できませんが、私は「SIビジネスはなくなる」と考えています。


SIerの方にお話を伺うと、だれもが、このままではいけない、なんとかしなければならないとおっしゃいます。じゃあ、どんな取り組みをされているのですかと聞けば、「いろいろと考えているところなんですよ」と、去年と同じ発言を繰り返されます。結局は、なにも考えていないのです。


こんなIT企業のマネージメントや経営者に出会う事があります。


「スマホなんて、なくても困らないよ。スマホに換えれば、通話料金は高くなるし、アプリだって使う事もあまりないしねぇ。セキュリティも問題あるらしいし・・・メリットないからなぁ」と言訳けし、いまだカラケーしかもっていません。それにもかかわらず、お客様に「我が社もモバイルを推進しています」と話をしています。根っこにある感性は、同じところにあるように思います。


これまでSIerは、お客様からの依頼に誠実にお応えすることをモットーとしてきました。お客様からのご依頼が潤沢にあり、それを確実にこなしていれば、リピートが期待できました。お客様が成長し、仕事もそれに伴い増えている間は、SIerも成長することができたのです。


しかし、リーマンショックを境として、このビジネス・サイクルは壊れてしまいました。お客様の成長の勢いは衰え、事業の主体は海外へとシフト、国内での需要の伸びは頭打ちです。


これまで、お客様が供給を確保するためにおこなってきた「棲み分け」という構図は崩れ、コスト削減のための「競合」はもはや当たり前です。そして、その競合相手は、国内企業とは限りません。


景気が回復しても、お客様のクラウドや内製化への志向は、「受託、請負、派遣」を生業とするSIerにとっては、新たな競合として立ちはだかります。


もちろんシステムの需要がなくなることはありません。しかし、その手段が、変わろうとしています。手段が変われば、必要とされるスキルは変わります。そして、収益確保の仕組みも変わります。この変化の流れをとどめる事はできないのです。その変化に対応できなければ、いずれは淘汰される運命です。


じゃあ、どう変わらなければならないのでしょうか。次のチャートをご覧ください。



従来のオンプレミス、国内対応、SIer依存を前提としたビジネス構造は、長続きはしないでしょう。時代は、ノンコアITO、グローバル対応、コア内製へと向かっています。


そうなると、これまでの情報システムの構築を前提としたSI = System Integrator では、成長を期待する事はできません。ITサービスを自ら提供し、あるいは、世の中の様々なITサービスを熟知し、お客様に最適な組み合わせを提供するSI = Service Integratorへの期待と需要が高まるのではないでしょうか。


しかし、このビジネスもコモディティ化が進行し、新たな競争へと発展してゆくでしょう。そうなれば、新たな差別化の方策を見いださなくてはなりません。


それは、「ITを活用して既存の組織、経営や業務のあり方といった構造に変化を生じさせる」役割を担う事ではないでしょうか。私は、これをSI = Solution Initiatorと名付けてみました。


Initiatorとは、起爆剤、創始者、変化を引き起こすものという意味があります。つまり、ITをお客様の経営や事業の変革の起爆剤として提供できる存在。そんな役割を担う事ではないでしょうか。


System IntegratorからService Integratorへの変化は、商材と収益構造の変化です。そして次のSolution Initiatorへの変化は、役割と提供価値の変化となります。


ITを使って経営課題を解決したい。このニーズは変わらずとも、その手段は変わり、役割が変われば、自ずと必要なスキルと収益構造が変わります。この変化に対応してゆくことが、生き残りのすべではないかと思うのです。


Solution Initiatorは、大きなビジネス規模を期待することはできないでしょう。だから、どうしても規模のビジネスを追求し、旧来のSIビジネスを捨てられないのです。しかし、労働力の提供を生業としている旧態依然としたSIerでは競合優位を見いだす事はできません。従って、Solution Initiatorとして、自らの存在価値を高めてゆくことが、必然の流れのように思います。


規模の拡大を志向するためには、自らサービスを構築するか、他社のサービス基盤を仕入れ付加価値を高め、自らのサービスとして提供することで、Solution Initiatorからの需要を取り込むことが必要です。そして、自らの特徴を先鋭化して、「この領域では一番」を目指し、他社を排除して、お客様を囲い込むとことや、顧客数を桁違いに拡大する事ではないかと考えています。


たとえば、iTunes ストアは、そこに登録さえできれば、お客様は一気に世界です。たとえ単価は安くても顧客数を桁違いに増やす事ができるはずです。この流れは、コンシュマー領域からビジネス領域へと拡大してゆくでしょう。


このような考えは、非常識でしょうか。


イノベーションは、非常識が常識に変わることです。そこには、必ず「創造的破壊」が伴います。その痛みを恐れ、何もしないでいれば、痛みを感じる事ないかもしれませんが、いずれ水も空気も食料も断たれ、静かに息絶えてゆく事になるのでしょう。


SIビジネスはなくなります」


この非常識な発言は、きっと常識になっているでしょう。ITのトレンドの流れを知るほどにその確信を深めています。


後進にツケを残さないでください。日本をこの停滞のままで放置しないでください。


何かを始めようとすれば、何もしない奴らが、必ず邪魔をする。


NHKの大河ドラマ「八重の桜」でこんな台詞が出てきます。


経営者やマネージメントの皆さん。せめて、そんな事だけはしないようにしてください。


そして、若い人たちは、それに続く言葉を実践してほしいものです。


(そんなやつらを) 蹴散らして、前へ進め」と・・・



残席わずか■ 第12期 ITソリューション塾 ■2月6日スタート■


塾で話そうと思っている内容の一部です。よろしければご参考まで・・・




定員が少し広がりましたので、まだまだ追加でのお申し込み可能です。


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自社製品の知識はありますが、世の中の常識となると、うまく説明できません。

  • クラウドと仮想化の違いが説明できません
  • ERPは知ってるけれど、BPR,BPM,SOAとの関係は説明できません
  • HTML5とスマホやクラウドの関係は説明できません

こんなコトでは、「何をすべきか」を考えることができません。


2013年2月6日から4月17日までの全10回、毎週水曜日の夜に開催します。


詳しくは、こちらをご覧ください。


なお、残席が少なくなってきました、もし未決定でもご意向がある方は、至急お知らせください

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

2件のコメント
  • ネックニーム

    iichikohさん、個々にコメントしても筆者は見てませんから無駄ですよ。
    Facebookでコメントしても常連さん以外は無視されますから放置という事で。

    2013年02月02日

  • iichikoh

    え、ガラケーじゃなくて、カラケーな人と話をしてたらそもそもですよね⁉

    2013年01月28日

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