「営業センス」とは何か

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2013-07-06 08:00:00

「営業センス・・・ないんですよねぇ」


  • これまでエンジニアとして頑張ってきて、この度、営業を仰せつかり、さてどうしようかとブルーになっている方
  • 営業という仕事を長年やってきたが、いまひとつ自分の性に合っていないのではないかと考えている方
  • 営業センスを持てと言われるが、何をどう持てばいいのか悩んでいる方


そんな方は、いらっしゃいませんか。


営業センスとは、何でしょうか?そもそも今更育てて、育てられるものなのでしょうか?今日は、そんなことを考えて見ました。


センスとは、つながりを直感できる能力」だと考えています。


例えば、同僚が、暗い顔をしていたとしましょう。彼は、先日社長から新規事業の企画を任され、来週報告するように指示されたと話していました。彼にとってはこれまでやったことのない業務領域です。いろいろと資料に当たっていたこと、これまで出たことのなかったセミナーにも頻繁に出かけ、情報収集をしていました・・・ということは、これぞという納得いく企画が思いつかないので、暗い顔をしているのではないかと考えられます。


「暗い顔 = 企画がまとまらない」


あなたは、きっとそのつながりに気付くことができるはずです。


こういうことは、理を尽くして考えなくても、日常彼を見ていれば、自然に気付くことではないでしょうか。貴方は友人として彼に関心を持っています。彼の状況を想像できます。つながりに気付くのは、必然の結果です。いうなれば、「彼を理解するセンスがある」ということになるでしょう。


営業の仕事に置き換えて、考えて見ましょう。


担当するお客様の売上に占める輸出の比率は50%を超えています。一年前は80/ドル前後で推移していた為替レートは今では100/ドル前後、二割も円安に振れています。これまでは、韓国や中国の製品に押され利益も出ない状況が続いていましたが、一気に息を吹き返してきました。もともと高い技術力を持っている会社です。価格が下がれば需要は大きく拡大します。しかも、円高対策で積み重ねた改善がコストパフォーマンスを一層高める結果となりました。円安と圧倒的なコストパフォーマンスで他社の追従を許しません。そうなると、生産はフル稼働です。


厳しい経営状況の中、将来に備えて検討を暖めてきた次期システムも、この状況に対応するためにも実施の凍結が解かれる可能性があります。きっと、IT部門長も社長にそのことを具申するはずです。現場も事業の拡大に対応するためには不可欠と考えているはずですから、直ちにコンセンサスは取れるはずです。


誰がプロジェクト・メンバーかは分かっています。そろそろ先手を打って、プロジェクトについての情報収集をしっかりとしておいた方が良さそうです。あるいは、先行して、こちらのアイデアをインプットしておいた方がいいかもしれません。競合他社の動きも無視できません。ならば、我が社のトップ・コンサルタントをこのプロジェクトの実施オーナーである専務と実行責任者であるIT部門長に、早々に引き合わせておいた方が良さそうです。


「円安 = プロジェクト実施 = トップ・アプローチ」


このつながりを直感できる力が「営業センス」なのです。


「営業センス」は、生まれ持った能力と考える必要はありません。お客様について関心を持ち、お客様に係わり、お客様に関係する情報を集めていれば、自然と身につく能力です。そして、想像力を発揮して、つながりの物語を紡ぎ出すのです。


ただ、ひとつ注意しなくてはならないことがあります。それは、「お客様の課題を解決するために」、「お客様の企業価値を高めるために」、「お客様のニーズを満たすために」・・・といった、お客様のためにどうすればいいかという視点を持ち続けることでしょう。それがなければ、お客様への関心など持てません。関心がなければ、情報は集まらず、結果として「営業センス」は働きません。


必ずしも特定のお客様である必要はありません。業界、製品分野、技術分野といった区分で同様の視点を持ちづけることでも、「営業センス」は発揮されます。


徹底した情報収集、お客様との会話、継続的な勉強、それは生まれながらに備わった能力などではなく、自分の意志と努力の結果だといえるでしょう。


ところで、プレゼンテーションやドキュメンテーション、コミュニケーションなどの能力も「営業センス」なのでしょうか。わたしは、それらを「営業スキル」として、分けて考えています。「営業スキル」もまた必要な能力であることは間違えありません。ただ、ひとまとめにして考える必要はありません。


「営業センス」は、お客様への関心の深さと比例するものかもしれません。関心があれば、もっと知ろうと思うはずです。それが結果として、あなたの「営業センス」を磨くことになるのだと思います。



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1件のコメント
  • ネックニーム

    まさにその通り。技術者であってもお客様のお望みの製品、サービスを提供するんだと云うしっかりした目的意識があれば、「この機能はこんな風にアプローチ出来るな。もう一歩先を考えたら、本来こうあるべきだ。,,,」などと開発段階で自然にアイデアが浮かんで来なければならない。
    そうではない端的な例が、家電に見られる、使う側からすると”そんな機能いらん!”っていうお節介な機能ではないでしょうか。使いもしないボタンが沢山並んだHDレコーダのリモコンがお客様の為だと本当に考えているんでしょうか?本当に売る立場、買ってもらう立場からすると開発側らら断固として”そんな機能は要らない!”と主張すべき。「いやいや、営業サイドから求められている機能なんですよ。」という技術者がいたらもう技術者失格ですね。

    2013年07月07日