そんな営業研修、やっても意味ありませんよ!

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2013-09-07 11:30:00

「これまで、サーバーやPCのプロダクト販売しかやってこなかった。いや、プロダクト販売といっても、大手メーカーの営業が売った製品を調達し実際に作業してくれる外部の業者さんを手配することで、実際に自分たちで売り込んでるわけでもなく、導入しているわけでもないんですよ。まあ、他にビジネスがあって、そっちが、それなりに良かったんでねぇ、こういう仕事で手堅く売上が上がれば、それで良かったんですよ。」

「ただ、ここに来て、屋台骨のビジネスが怪しくなりましてね。そこで、サーバーやPCの販売を増やしたいんでけど、そちらも厳しい状況で、システム全体やSIなどにも事業を広げたいと思っているんです。」 「そこで、他のビジネスにいた営業を、システムを売れる営業に育てたいんだけど、協力してもらえないでしょうか。」

こんなご相談を頂きました。私は、つぎのような質問をしました。

「システム・ビジネスは今ものすごく厳しい状況にあります。営業だけで、システムが売れるわけではありません。技術者もそろえなければならないでしょう。それに、新規に事業を立ち上げるようなものですから、顧客をどうするか、競争優位をどう描くか、それをどうやって売るかなど、事業そのものの設計がなければ、営業も売れませんよね。そのあたりは、どうなんでしょう。」

・・・

「それなら、大丈夫です。いろいろと検討も進めていますから。それよりも、問題は、営業なんです。営業をクビにすることもできませんからねぇ。かれらをなんとか再教育しなきゃいけない。せめて、システムを売る営業として、売り方の手順を教えたいんです。」

「それを活かして、すぐにシステムが売れるようになるとは思っていませんよ。売れないヤツは売れない、ダメなヤツは結局ダメなんです。才能というか適性というか、教育してもダメなヤツはダメなんです。ただ、システム営業として社内で言葉が通じるようにしたいだけなんですよ。」

少々、重たい気持ちになってしまいました。

  • 事業戦略と人材の育成が切り離されていること。
  • 営業力をヒトの能力としか捉えていないこと。
  • 営業の才能は生まれ持ったものであり、教育によって変えられないと考えていること。

Boy Wearing Men's Dress Shoes and Suit

 

残念ながら、私の信条とは、対極にありました。

先週のブログでも書きましたが、勝つためのシナリオなき新規事業戦略は、現場を疲弊させます。勝つための望みがあれば、ヒトは頑張ろうという意欲を持ちます。そして、そこに適切な教育が施されれば、自発的に学ぼうという気持ちが生まれ、知識を吸収します。そして、戦略が適切であれば、成果も上がり、ますます意欲を高めてゆくことができます。 事業戦略とは、ヒトも含めた勝つための好循環を創り出す物語です。そこが切り離されていては、成功のシナリオを描くことは難しいでしょう。

営業力は、確かに個人の能力に依存するものです。しかし、その個人の潜在力を最大限に引き出するためには、自分のやっていることについて意義を感じさせ、自発的に取り組もうという意欲を持たせることが必要です。

成功のシナリオを示し、目的を示し、手順を示し、それらに納得させ、「これならうまくいけそうだ、よぉーし、やってやろうじゃないか」という意気込みを引きだすことが前提です。そのためには、ビジネスとしての戦略的合理性であり、トップやリーダーの強い意志を示すことが必要です。 そのような想いを引き出しつつ、適切な知識を与えることができれば、個人としても、組織としても、営業力を高めることができるのだと思います。

地獄の特訓ではありませんが、研修を通じて、一時的に気持ちを鼓舞することはできます。しかし、そのことが業績の向上や新規事業の成功に結びつくかどうかは、成功のシナリオのひとつのプロセスとして組み込まれているかどうかにかかっています。

業績の低迷や新規事業の不振を、営業の不出来であると断罪する経営者や管理者を時々見掛けます。しかし、裏を返せば、それは自分自身の無策の結果でもあるのです。いうなれば、自分の責任を部下に押しつけているようなものではないでしょうか。

生まれながらの才能や適性を否定するものではありません。しかし、それだけに期待して、ビジネスは成り立ちません。むしろ、様々な才能や適性を束ねて、最大限の能力を引き出すことにこそ、営業力強化の本質があるのではないでしょうか。

それを束ねる力は、「正しい目的とやることの意義」、「戦略的合理性と成功のシナリオ」、「リーダーの成功への確信と強い意志」です。

  • 事業戦略と人材の育成は一体であること。
  • 営業力を組織の能力と捉えること。
  • 営業の才能は意欲を引き出し、潜在能力引き出すことで、大きく伸ばすことができること。

人それぞれの才能や適性などの個性を受け入れ、可能性を信じ、自発的な行動を促す。この前提があってこそ、人材育成は成り立ちます。この前提が築けない研修に成果など期待することは難しいでしょう。

■【ITソリューション塾・第14期】定員を増やしました!!!

【ITソリューション塾・第14期】が、10月2日より開催されます。既に当初予定した定員を超えるお申し込みを頂戴いたしましたが、会場を拡げることができました。ただ、こちらもすぐに定員になることが予想されますので、早々にご意向だけでもお知らせいただければ幸いです。

【ITソリューション塾・第14期】の内容

JUKU14

10月2日(水)から毎週水曜日18:30-20:30 全10回

今回もこれまで同様、テクノロジーやビジネスの最新トレンドを抑えつつも、
表層的なキーワードを追いかけるのではなく、トレンドが生みだされた歴史的背景や顧客価値など、
トレンドの本質を抑えることを力点に置くつもりです。

新たたテーマや改善点としては・・・

・仮想化をSDxの視点で捉え直しそのビジネス価値を整理する。
・SIビジネスに危機感が漂う中、現場価値の徹底追求と現物主義により、
顧客満足と高い利益を実現している「アジャイル型請負開発」の実践事例の紹介。
・ストレージとデータベースのテクノロジーの大きな変化が
ITのプラットフォームやアプリケーションの開発をどう変えるのか。
・ビッグデータの本質と新しい動きを踏まえたビジネスの可能性。
・セキュリティやガバナンスの原理原則とクラウド・ファーストに向けた取り組み。
・システム・インテグレーション崩壊とポストSI時代のビジネス戦略。

・・・など、これからの変化を先読みしつつ、その次の手を考えるヒントを提供したいと考えています。ご検討ください。

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