中小企業がクラウドに消極的な理由、それは大きな変化の前ぶれ

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2013-10-26 08:00:00

中小企業はクラウドには消極的

そんな調査結果をよく目にします。ではなぜ、中小企業がクラウドに消極的なのでしょうか。それは、「ITベンダー・SI事業者が消極的だから」です。

ITのことは、地元のITベンダーに全て任しきっている、そんな中小のユーザー企業も少なくありません。そのITベンダーがクラウドに消極的であれば、当然、ユーザー企業も積極的にはなれないでしょう。

「大手プロバイダーのクラウドを代理販売しても売上や利益はわずかしかありません。ならば、これまで通り、お客様に資産としてシステムを販売し、開発工数で稼いだ方が得策です。クラウドを積極的に提案する理由はありません。」

本音はそんなところにありそうです。

一方、ユーザー企業の情報システム部門や担当者の中には、「クラウドは、自分たちの存在意義を失わせてしまう」と考えてしまう人たちもいるようです。クラウドを提案したくないITベンダーとクラウドを推進したくない情報システム部門が、アンチ・クラウドで利害が一致し、クラウドが普及しないようにしている・・・そう考えるのは、考えすぎでしょうか。

しかし、いつまでもこの状態が続くとはとても思えません。

リースが資産として評価されるようになり、経費化の手段となり得なくなった今、資産を圧縮したいと思う経営者にとって、クラウドは魅力的な手段に見えるかもしれません。

確かに数年前ならクラウドは、基幹業務を預けるには不安なところも少なくはありませんでした。しかし、先進的なユーザー企業がシステム基盤をクラウドに移管する事例が現れる中、もはやクラウドはリースに代わる選択肢となり始めています。

また、グローバル化やビジネス・サイクルの加速により、ITへの要求がますます高まる一方で、TCOは増大、IT予算は増やせないというジレンマを抱える情報システム部門や担当者にとっても、クラウドは魅力的な選択肢に見えるはずです。

私は、誰かが仕掛ければ、一気にクラウドへの流れが加速するのではないかと思っています。そういう潜在的需要を強く持っているのが中小企業ではないかと思っています。

特に中小企業を多く抱える地方のITベンダーやSI事業者は、この事態を深刻に受け止めるべきでしょう。

残念ながら地元で仲良くシェアを分け合い、一定の仕事量を確保し続けることは難しくなるでしょう。大手の下請けとして、足りない工数を補完する仕事に期待しても、価格競争は益々厳しくなり、いずれは消耗戦です。大手さえSIビジネスが縮小する中、いずれは案件もなくなってしまうかもしれません。そういう状況の中、自ら率先して「誰か」にならない限り、生き残りは難しいかもしれません。

下の図は、そんな現実を整理したものです。自分で自分の将来を描けないビジネスのままで、いいわけはありません。

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こんな現実を打開し、自分で自分の未来を創り出すビジネスに変えてゆくには、次のような取り組みが必要ではないかと思っています。

まずは、自分たちの強みをしっかりと定めることです。それを商品やサービスとして、ビジネスのある場所で積極的にプロモーションすることです。地場に留まることなく東京や大阪、海外で、自分たちの強みを訴える努力をこれまでにも増して、積極的に行うべきでしょう。

地方の展示会やイベントに行って感じることですが、そこに、お客様であるはずのユーザー企業の関係者が実に少ないという現実です。事業者同士が、お付き合いで参加しているだけないのでしょうか。なぜ、もっと積極的にお客様を連れてこないのでしょうか。お客様が東京や大阪にいるのなら、これを機会にそこに連れて来て、展示会だけではなく、自分たちの強みを理解していただくために独自の勉強会やセミナーをやってみてはどうでしょうか。あるいは、大勢のユーザーが集まる都市部のイベントに自ら進んで出展し、自分たちの強みをもっと広くアピールしてはどうでしょうか。

自分たちの強みを広く世間に知らせる活動に投資をすることの優先順位をもっと上げるべきなのです。

あるいは、受託開発なら開発の生産性を高めることを徹底して追求するという方法もあります。リスクはありますが、仕事を全て請負で受託し、金額を決めた上で徹底した改善の努力で原価を下げ、開発スピードと利益率を上げる努力をしてみてはいかがでしょうか。

確かに、準委任であれば、かかった工数で支払いが得られますからリスクはありません。しかし、お客様が欲しいのは確実な成果であり、工数ではありません。そんな利害の不一致はお客様との間の信頼関係を失わせてゆくことになるでしょう。

こういう事態を改善しようと、アジャイル開発に取り組み成果を上げているSI事業者も出てきています。これについては、「アジャイル型請負開発」にて詳しく紹介しましたので、そちらをご覧ください。

オープン・ソース・ソフトウエア(OSS)に積極的に取り組むことで、商用ライセンス・プログラムとの差別化を推し進め、お客様のTCO削減に貢献するという方法もあります。OSSもクラウド同様、もはや世の中に広く受け入れられています。IBMやHPといった大手ベンダーも自社製品をOSSベースで提供する取り組みを加速しています。

OSSであれば、お金をかけずソフトを手に入れ、いろいろと試してみることが可能です。そこに自分たちの得意とするノウハウを埋め込むことも可能です。これをクラウドとセットにして、開発、保守、そして本番実行環境も提供し運用まで一貫して提供するワンストップ・サービスを提供することも可能です。

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残念ながら、絶対の正解はありません。ほかにもいい方法があるかもしれません。また、各社各様に得意不得意があるでしょう。だからこそ、いろいろと試してみる必要があるのです。

「最終的に成功した企業の93%が当初の戦略を断念していた。・・・中略・・・成功した企業は、最初から正しい戦略を持っていたから成功したのではない。むしろ成功できたのは、当初の戦略が失敗したあともまだ資金が残っていたために、方向転換して別の手法を試すことができたからだ。」

「イノベーションのジレンマ」の著者であるクレイトン・クリスチャンセンの言葉です。

御社は、本当に大丈夫ですか?まだ、新たなことにチャレンジできる余裕はありますか?ぎりぎりになってからでは、遅いのではありませんか?

流れは一気に変わるのではないかと感じています。そうなってしまってからでは方向転換できる余裕は、なくなっているでしょう。

・よろしければ、Facebookページにて、ご意見を聞かせてください。

▢ SalesMeister をもっと理解して欲しいので・・・

先週のブログで紹介させていただきましたSalesMeisterは、多くの皆さんにダウンロード頂いております。改めて、御礼申し上げます。

そもそも、このアプリのやろうとしていることは何かと言えば、「できる営業のやっていることをまねしてみよう」です。

ひとそれぞれにやり方もあり、個性もありますが、結局できる連中のやっていることの基本は、さほど大きな違いはありません。定石というか、基本の型とでもいうところが共通しているんですね。これを洗い出して整理したものが「営業活動プロセス」です。これをアプリとして実装したのが、SalesMeisterです。

SFAでもよく使われている「営業プロセス」とは、違います。この違いは、ブログ「営業プロセスと営業活動プロセス」に詳しく書きましたのでよろしければご覧ください。簡単に申し上げれば、「営業プロセス」は管理者の視点、「営業活動プロセス」は、営業担当者の視点です。両者は相反するものではありません。求める視点が違うだけのことです。

この両者をうまく組み合わせれば、営業管理者にとっても営業担当者にとっても、両者に役立つSFAができるだるうと思っています。今準備しいてる組織対応版では、今回作ったアプリをフロントに、既にお使いのSFAと連携させて使って頂くことも考えています。乞うご期待です!!!

詳しくは、Facebookページ“SalesMeister”をご覧ください。

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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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