「それ、うちのことですよねぇ」と言われる驚きと喜び

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2013-11-02 12:30:00

「先週のブログで書かれていたこと、うちのことですよねぇ」

と聞かれることがよくあります。驚きつつも、

「ああ、あなたの会社もそうなんですね」

「そういえば、あなたの会社でもそんな話聞きましたねぇ」

「やっぱりねぇ」

と想いながら、「自分の考えは間違ってはいなかった」と小さな握り拳を心の中で作ることがあります。

もちろん、特定のお客様の事実、とくにあまりよろしくない話をそのままブログに書くことはビジネス・マナーに反することです。それは厳に慎まなければなりません。しかし、「うちのことですよねぇ」という質問は、ある意味その通りなのです。

仕事柄、いろいろな方から多くの話を伺います。また、ネットからも毎日様々な情報を仕入れています。あまりにもいろいろな情報に接するので、ネタ元がどこだったか忘れていることもあります。

しかし、そういう多くの情報に接していると、その情報が描き出している出来事そのものではなく、その出来事を生みだしている根っこというか、原因が何かが見えてくることがあります。「そういうことか!」とでもいう、ひらめきが生まれるんです。真の原因、あるいは、物事の本質とでも言うべきものかもしれません。

今度は、その原因や本質は、どんな出来事を引き起こすのだろうかと、逆に考えてゆきます。すると、なるほど、確かにありそうだなぁ、と思えることが可能性として見えてきます。そして、できるだけリアルな表現をまぶしながら文章にすると、多くの皆さんに共通する生々しい「うちのこと」が描けるのです。

「多くの出来事や情報 -> 共通する根本の原因や物事の本質 -> 起こりうる出来事・仮説」

この手法は、決してブログだけで使っているわけではありません。お客様との会話、コンサルティング、研修の現場で使っています。「仮説検証型のアプローチ」といわれるものです。

例えば、「御社のように金融機関をお客様として多く抱えられているところでは、これまでのところは金融機関の統合や再構築で仕事もあり稼働率は維持され、売上を確保されてきたのではないでしょうか。しかし、仕事量は減りつつあり、これまで単金の安い外注に任せていた仕事を内製に切り替え、なんとか稼働率を確保しているだけではないのでしょうか。しかし、そうなるとこれまで通りの単金だと売れないので、国内の中小との単金競争で無理をされている。その結果、仕事は増えているが利益が出ない状況になっているのではありませんか?」という話をぶつけてみると、「いゃあ、おっしゃるとおりですよ。でも、なぜうちのことをそこまでご存知なんですか?」ということになります。

事実をあらかじめ知っていたわけではありません。しかし、様々な情報を総合すると、こういう仮説が成りたつのです。それをお客様にぶつけて確認する。この仮説検証の手順を繰り返してゆくことで、お客様にはどのような課題があるか、さらには、その根本の原因はどこにあるかが見えてくるのです。

根本の原因を見つけ、これを解決すべきであることをお客様に提示し合意すること。それこそが、ソリューション営業活動の起点となるのです。

「仮説検証型アプローチ」は、同時にお客様自身の課題や対処すべき事柄を整理、具体化し、優先順位を明らかにすることを助けることにもなります。そうなれば、お客様が「何を解決しなければならないか」をイメージすることができます。つまり、こちらからの「お願いします」ではなく、お客様からの「お願いします」を引き出すアプローチでもあるのです。

「それ、うちのことですよねぇ」と言わせることができれば、それは自分の仮説が正しかったことの検証にもなります。そして、同時にお客様の課題整理を助けることにもなります。

「それ、うちのことですよねぇ」という言葉を作ることができれば、それは物事の本質に迫った証でもあります。その能力を磨いてゆくことは、ひいてはソリューション営業力を磨いてゆくことにもなるのです。

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SalesMeisterに関連して・・・

先般ご紹介した「営業活動プロセス」についても、「仮説検証型アプローチ」の手法を使って整理しています。

営業活動の手順は、一見すれば人それぞれです。特に「できる営業」には個性的な人も多く、容易にまねのできるものではありません。しかし、「できる営業」がやっていることを丁寧に眺めてみると必ずやっている基本動作が見えてきます。ならば、これを体系的に整理し、わかりやすい一覧表、あるいはチェックリストにして、それを確認しながら営業活動を行えば「できる営業」のまねができるのです。

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もちろん、「できる営業」その人はなれなくても、自分の不足や修正すべき点についても気付きを与えてくれるはずです。それが、営業活動の勝率や効率の向上につながり、自分自身の成長を助けてくれるのです。

「多くの「できる営業」がやっていることから共通する基本動作を抽出  -> 体系的に整理し誰もか使えるようにチェックリストにする(仮説) -> それを使ってできる営業の行動を真似てみる(仮説を検証する)」

真似てみるうちに、「そういうことだったのか」と理由に気付くことがあります。こんどは、その理由を起点にもっといいやり方はないだろうかと考えます。こういうことの積み重ねが自分なりの営業スタイルを育ってゆくことになるのでしょう。 

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