失敗の鉄則、マーケティングなきサービス

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2014-02-01 11:30:00

「クラウドを使ってサービスを1年やっていますが、使っていただいたお客様は1社だけですよ。これでは、赤字の垂れ流しで、やっても意味がありませんよ。」

あるSI事業者の社長から、このような話を伺いました。詳しく話を聞いてみると、あるお客様の要望にあわせてシステムを構築し、これを横展開すれば他のお客様にも使っていただけるだろうとの期待からサービスを作ったのだそうです。そこで、次のようなことを聞いてみました。

  • そのお客様を含むターゲットとしている顧客層の需要を十分に満たす機能なのか。そもそも、ターゲットとする顧客層を明確に定義しているのか。
  • 競合となる製品やサービスと比較し、どのような競合優位があり、それがお客様の選択に大きな影響を与えるのか。
  • お客様の受け入れてくれる料金になっているのか。現行業務の何を代替し、そこにかかるコストをどれだけ減らせるのか。あるいは、新たな仕事の仕方によりできなかったことができる、新たな売上を獲得できる、といった料金に見合うメリットを合理的に示すことができるのか。

このような「マーケティング」の視点を持たないままに、これまでの受託請負と同じように、特定のお客様からの要望をそのままに、それをサービスと称しているだけで、うまくいくはずはありません。

「そのお客様個別のシステムを受託開発し、お客様の費用負担を軽減させる手段として、サービスという形を取っているだけ」と見るのは、考えすぎでしょうか。

サービスは、ハードウェアやパッケージ・ソフトウェアと同様に、多くのお客様を相手にした「プロダクト」です。受託請負開発のようにお客様からの個別のご要望に応えるものではありません。例え、切っ掛けが、個別のお客様からのご要望であったとしても、それが他のお客様でも必要とされているのか、また、同様の競合製品やサービスに対して、明確な競合優位を示せるかなどを具体化しなければなりません。あわせて、その遡及点を訴えるためのシナリオを描き、プロモーションの方法についても検討し、これを計画的にすすめてゆく必要があります。

サービス”プロダクト”ビジネスとは、このようなマーケティング活動無くしてうまくゆきません。クラウド基盤にアプリケーションを載せて、どうぞネット越しにお使いくださいといっても、うまくゆかないのです。

システム・インテグレーションのように個別のお客様に対応するのではなく、多くのお客様を相手にする製品を作る取り組みです。このような取り組みがないままに、売れないことを営業の努力不足、あるいは、サービスの機能不足に押し込めてしまっているとすれば、大きな勘違いです。

MP900387360

IDC Japanは、1月30日、2014年の国内IT市場規模の最新予測を発表しました。2014年の市場規模は14兆1584億円、前年比成長率は0.0%、2012~2017年の年間平均成長率は0.8%としています。

ITは、金額だけ見れば、もはや成長しない市場です。この成長なき市場に於いて、市場は生き残りをかけて熾烈な競争を仕掛けてくるでしょう。そして、その結果は、明白です。人月単価の積算を前提するこれまでの収益構造に固執する旧態依然とした企業は、仕事はあってもますます利益を出せなくなります。その一方で、新たな収益モデルにチャレンジし、お客様に獲って魅力的なサービスを提供する企業は、これまでの彼等の領域を浸食し、入れ替わってゆくでしょう。この統計は、このようなプレーヤーの転換を暗示しているようです。

今は、アベノミクスで今はキャッシュフローが生まれていますが、景気の浮き沈みは自然の摂理です。次に谷間を向かえたときに、果たして耐えられるのでしょうか。

クレイトン・クリスチャンセンは、自著「イノベーションのジレンマ」の中で、新規事業参入のための最初の企画は、そのほとんどが失敗すると述べています。それでも新規事業に成功した企業が存在するのは、試行錯誤を繰り返し、失敗を重ね成功するまで資金が続いたからだと述べています。

景気の高揚も収まり、次の谷間を迎えたとき、人月積算型のビジネスは、これまでにも増して厳しい状況に追い込まれるでしょう。そうなると、結果を焦り余裕のないままに新しいビジネスを立ち上げようとします。しかし、そうなっては、この原則が活かせないではありませんか。

アマゾン創業者ジェフ・ベゾスは、「企業の活動のすべては、お客様の幸せのためにある!」といっています。お客様の幸せは、システムを所有することから、使用するサービスへと移り始めています。サービス・ビジネスへのチャレンジは、その流れに従うものとなるはずです。

お客様の個別のご要望に対応する受託請負だけではなく、マーケティングから生みだされるサービスへのシフトは、待ったなしで取り組むべきテーマです。仕事がある今の時期だからこそ、真摯に向き合うべき取り組みではないでしょうか。

【塾生募集・定員間近】ITソリューション塾・第15期

ITソリューション塾・第15期」を2月20日(木)より開催します!

「知っているつもり」から「説明できる」知識へ

今さら聞けないITの最新トレンドを、体系的に整理してわかりやすく解説します。お客様に頼りにされ相談される存在になるための常識力を、すぐに使える「カタチ」で手に入れてください。

サンプルのパワーポイントをダウンロードしてください

140106_Trend

まずは、「ITビジネスのキーワード・2014」をパワーポイント形式のファイルでダウンロード。今回の塾もこのようなパワポ形式の資料500ページほどを、ご提供の予定です。もちろん、このチャートに掲載させていだきましたキーワードは、塾の中で詳しく解説させていだきます。

ビジネスの実践で使える知識・新しい人のつながり

今回は、前回にも増してテクノロジーとビジネスの関係をしっかりと考えてゆこうと思っています。例えば・・・

  • 「アジャイル型請負開発」で営業利益率4~6割を実現したSIのケース
  • セキュリティをビジネスにつなげる勘所

については、この分野の第一人者を講師に招き体験に基づく実践的な話をして頂く予定です。こういう方々や参加各社の皆さんとの懇親もこの塾の大きな価値だと考えています。また、お客様の満足を管理する方法、相手が気持ちよく説得に応じてくれるテクニックなど、お客様応対のスキルについても解説いたします。

詳細な内容を掲載したパンフレットは、こちらからダウンロードできます。

会員制ドキュメント・ライブラリー サービス開始!

■ 月額500円の定額制
■ 最新ITトレンドのプレゼンテーションを
■ 著作権フリー・加工編集が自由なファイル形式で

libra_banner_275x150

何度でも、いくつでもダウンロード頂けるサービスをスタート致しました。スタートに当たり、お客様への提案や社内の勉強会ですぐにでも使って頂くことが可能な約1000ページのドキュメントを用意いたしました。

ますば、そのクオリティをご確認ください。「ITトレンドとクラウド・コンピューティング(パワーポイント形式・32ページ)」が無料でダウンロードできます。

 

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]