最低の質問

斎藤昌義(さいとう まさのり) 2014-04-20 10:00:00

 「どんな本を読めば良いのか、教えてもらえませんか?」

新入社員研修で、本を読むことの大切さ話しました。私の話しは、つぎのようなものです。

「インターネットだけでは、大切なことを深く学ぶことはできません。それは本で学ぶしかありません。通勤時間でも、トイレでも少しでも時間を見つけて、本を読む努力を怠らないことが大切です。

「あなたたちの社会常識は、決定的に未熟です。電車でゲームをすることや、漫画を読むことをダメだとは言いません。しかし、今はその時期じゃないはずです。」

「少しでも、必要とされる常識を学び、増やしてゆかなきゃいけない。いつまでもタダ飯を許してくれるほど会社は甘くありません。」

「会社が何もかも与えてくれるなんて期待しないで下さい。自分で工夫して、時間を作って学ぶしかありません。それができるできないが、仕事でできるできないを決めるんです。」

冒頭の受講生からの質問は、こんな話のあとでした。私は、次のように答えました。

「あなたが何を読めばいいかなんて、そんなことは私には分かりません。あなたが何を必要としているか、私は何も知らないからです。どの本を読むべきかは、自分で考え、見つけるしかありません。難しすぎる、役に立たない本を買ってしまうこともあるでしょう。そういう失敗を繰り返すことで、自分にふさわしい本に巡り会うことができるのです。そんなことは、自分でやってみるしかありません。」

「それに、あなたの質問は大変失礼な質問ですよ。自分は何も考えず、相手に考えさせ、タダで答えを引き出そうとしている。そういう自分に都合の良い質問に答えたくないと思う人も多いとおもいます。」

「『企業会計や決算について、勉強したいのですが、良い本はないでしょうか』なら、答えようがあります。『Javaのプログラミングで、XXXについてもっと勉強したいんですけど、どんな本を読めばいいでしょうか』という質問であれば、私は専門家ではありませんから、誰々に聞いてみたらどうだろうか、と答えることができます。」

「自分はこう思うや自分がどうしたいかをはっきりと示し、それについてどう思うかという質問であれば、人は答えようとしてくれるはずです。質問とは、そうやってするものですよ。」

新入社員に限らず、それなりの経験を積んだ人でも、同じような質問を平気でしていることがあります。

「私たちにお役に立てそうなことで、お手伝いできることはありませんか。ぜひ教えてもらえないでしょうか?」

こんな話を投げかけられたお客様は、「何を教えろと言うんだ・・・」と、きっと困ってしまうでしょう。「特にありません」と答えてしまうのではないでしょうか。

私が質問を受ける立場であれば、ならもう少し親切に、次のように申し上げて、お引き取り頂くでしょう。

「うちに何が必要か、何をすべきかは、うちのことを調べれば、すこしは想像できるでしょ。『こういうことはありませんか』と質問をしてください。そうすれば、こちらにも気付きが生まれるでしょうし、なるほどと思うこともあるでしょう。世の中はこんなことになっているが、御社はどうでしょうかという質問もありがたいですね。しかし、何かないかと言われ、あなたの答えをこっちで考えろとは、あなたの努力不足をこちらにカバーしろと言っているようなもので、少々失礼じゃないですか。」

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『自分の正解』をまず持つことです。完全である必要はありません。こういうことではないか、こういう範囲ではないかと曖昧でも良いのです。自分はこう思う、こうしたいが、どうでしょうと、相手にYes/Noを求める。それがない質問は、相手を疲れさせるだけです。

『自分の正解』を示した上で、これにYes/Noを求める質問であれば、

  • その通りだが、ここが足りません。
  • そうじゃなくて、こっちですよ。
  • ちょっと違います。違っているところはこういうところです。

そうやって、相手が正解を作ってくれます。

こういう話をすると「だから質問なんかできない」と考える人が出てくるかもしれませんが、それは本末転倒です。

質問は、自分を磨く最良のツールです。質問するには脳みそをフル回転させて、考えなくてはなりません。当然、日頃のインプットも必要です。相手の感情への配慮、わかりやすい表現など、いろいろと気を遣います。そういう集大成が、どこまで通用するかを試す機会が質問です。

うまくいくこともあれば失敗することもあります。失敗することから学ぶことのほうが多いでしょう。そんな機会が増えれば増えるほど、学びの機会が増えるのです。

質問力は想像力です。想像力は、知識や経験の蓄積です。きっとこうではないかと言える想像力を磨いてこそ、適切な質問ができるようになり、成長の機会が与えられるのです。

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以下を新たに追加しました。

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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

1件のコメント
  • ままのまま

    受講生がどのような口調で質問をしたのかは、その場に居合わせていなければ分かりませんが、悪意を持ったものではなく、今日日の若者の典型なのではないでしょうか?
    新入社員研修を企画されたということは、ここ数年で社会人となった子達が小学生、中学生の時にどのような教育を受けていたか、斉藤さんは事前にリサーチされていましたよね?とすれば今回の様な質問が出てくることも予見できていたはず。でも、斉藤さんは、敢えて、「大変失礼な質問ですよ」と断罪している。ここにどのような思いを込めているのかは非常に興味があるところです。一歩間違うとこの受講生は明日から出社拒否、引きこもりになる可能性を孕んでいます。そんなバカなと云う常識は世代が違うので通用しないこともリサーチ済みのことと推察します。
    最低だったかもしれませんが、受講生の包み隠さない素直な質問だったのではないですか?
    社会人になりたての、まだ変に飾ることを覚えていない、本音だったのではないですか?
    発言こそしなかったでしょうが、一緒に受講していた新入生皆んなが心の中に思っていた疑問なのではないですか?
    こんな講師に新入社員研修を任せるここの会社はもしかしてブラック企業って奴だったのかもしれない?て不安を抱かせてしまったのではないですか?

    2014年04月21日

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