迅速な応対を見せたWikipedia

opensource 2005-12-08 13:38:23

 Wikipediaは先日の問題に迅速に対応したが、このことは深刻な疑問を投げかけている。

 問題に直面したとき、オープンソースプロジェクトはプロプライエタリソフトウェア企業よりすばやく動けるものなのだろうか、という疑問だ。

 上記のリンク先を閲覧しなかった読者のために説明しておくと、Wikipediaはわたしたちが指摘した問題やその他の問題に、新たな対策を打ち出して対応したのである。この新対策により、匿名ユーザーはもはや記事を作成できなくなった。

 Wikipediaの創設者Jimmy Walesは、自分に関する記事は執筆できないという規定を設けることも検討している。これは、(ポッドキャストの大物)Adam CurryがWikipediaのポッドキャスト記事から、Technoratiが同技術分野で上げた成果に言及した部分を削除した出来事が原因となっている。Curryはこれを単純なミスだったとしているが、ブログ界での株は大いに下がっており、正式な処置は必要ないだろうとWalesは考えている。

 ここで大切なのは、Walesが問題の対処に積極的であるということだ。Walesは批判の矢面に立ち、対応を進めてきた。Sonyのデジタル著作権管理(DRM)スキャンダルに対する姿勢とは大きくかけ離れている。

 こうした比較はフェアではないだろうか。Wikipediaは、その規模とインターネットにおける重要性に鑑みれば、大々的なビジネスとは言えない。というより、そもそもビジネスですらない。だがSonyは、多層的なマネジメント機構を擁した一大事業を展開している。こうしたものと比較できるオープンソースプロジェクトなど、存在しない。

 顧客からの非難を初めて受ける、小規模な新興企業などを比較対象とするほうが、この場合は適しているのかもしれない。だがそれでも、Walesはよくやったと言える。

 しかし、こうしたオープンソースプロジェクトが企業へ成長したとき、何が起こるのだろう。CovalentやJBossが今回のような問題に直面したとして、Wikipediaと同様に迅速な対応ができるだろうか。オープンソースCRMプロジェクトMamboをめぐり、一悶着起こった件を思い出す読者もいるかもしれない。オープンソースの“重力”とは、そうした体制を築けないほどに弱いのだろうか。

 わからない。わからないと断言するのが政治的に正しくないことは、わかっている。企業のトップや政治家がわからないなどと口にすることは、まずないだろう。だが、わからないものはわからないのだ。全体的にオープンソースを運営する人々のほうが、企業関係者よりわからないことを率直に認める傾向があるとは、わたしにはとうてい思えない。

 これがオープンソースモデルの1つの側面なのだ。

(Dana Blankenhorn)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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