Intelは、オープンソースの普及に熱心に取り組む企業だ。
同社は米国以外でも積極的に活動している。
Indian Expressの報道によると、Intel Capitalでシニアインベストメントマネージャーを務めるPradeep Tagareが、Intelはインドのバンガロールに「オープンソース養成所」を設立し、現地の3〜5社のLinux新興企業に資金を提供すると話したという。Tagareは、2006年2月に開催された「LinuxAsia」カンファレンスでも、請負契約とそこからもたらされる価値を基本として、オープンソースはインドにおいても成功を収めるだろうと語った。
これらのニュースを読んだとき、2つの点が気にかかった。インドでは政府がオープンソースを支援しているが、その前提となっているのはオープンソースは無料であるという考えであり、実際にわたしが知っているプログラマのほとんどはWindowsを使っている。また、そもそもインドのオープンソース新興企業とは、どのような企業のことを指しているかよくわからない。
そこでわたしは再度考えた。
インドでもその他の国々でも、Linuxは今だに因果関係が判然としない問題に直面している。すなわち、ハードウェアに対する需要がなければ、いくら安価なソフトウェアであろうと需要は生まれない。Intelはハードウェア企業である。そして、Linuxであろうと何であろうと、安価なPCの大半は成功を収めていない。
これには相応の理由がある。「貧困層向けのPC」といったようなものを販売する場合、設計上の制約はきわめて厳しくなる。継続的なコストダウンを主眼に置けば、今のコンピューティングで主流となっている作業には対応できないマシンを作るほかなくなる。
もっとも、わたしが単にひねくれているだけかもしれないとも思う。Tagareの言う資金援助が、非常に有用で有益な取り組みに投入される可能性もあるのだ。例えば、インドには全部で216もの言語があり、そのうち22言語が公用語となっている。これらの各言語に対応するアプリケーションやトレーニング素材を提供でき、実際のニーズを満たすことができれば、それこそすばらしい成果と言えるだろう。バンガロールにも同様の言語問題が存在しており、タミル語を話す人々とカンナダ語を話す人々が政治力と経済力をめぐってせめぎ合っている(経済力があるのはタミル語族で、カンナダ語族は政治力を有している)。
インドに必要なのは、安価なソフトウェアやハードウェアではない。必要なのは、ほんとうに機能する何か、すなわち、独自の言語ではなく共通する言語で互いにコミュニケーションできるコンピュータなのである。これがまさに、「キラーアプリケーション」となるはずなのだ。
(Dana Blankenhorn)
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