IT業界から最も憎まれている男(2/2)

opensource 2006-06-21 18:33:10

 プロプライエタリモデルを信奉する人々にとっては、Stallman氏は悪魔よりたちが悪い。Stallman氏は利潤の敵であり、仕事を奪う者であるというわけだ。彼らはStallman氏を、同じく時代の寵児となったSteve Jobs氏やBill Gates氏と引き比べ、経済および国家に貢献していない、貢献どころか破壊していると批判する。

 フリーソフトウェアが一部の人々から職を奪うのは確かだ。マーケティングが代表例である。さらには企業の収入も減少させる。わたしの知っている大半のオープンソース企業には、プログラマとサポートスタッフ、経営者とウェブ担当者しかいない。マーケティングはしばしば後回しにされる。この2年間で2回、JBossを取材中に食事をご馳走してもらったことがある。だが、同社からTシャツを進呈するという電子メールが送られてきたことはないし、ノベルティも無料航空券ももらったことはない。ビールだっておごってもらっていない(2回とも昼食だったからかもしれない。頼んだのはお茶だったから)。

 これもすべてStallman氏のせいかと問われれば、否定は出来ない。JBossは設立当初からGPL系ライセンスを支持している。だがそのほかにも、オープンソースを採用したことで初めて手頃なソリューションを提供できるようになったというニッチ分野の例を、数限りなく見てきた。Stallman氏が原型を作ったビジネスムーブメントは、ハードウェアにおけるムーアの法則と同様に、ソフトウェアの価格をぎりぎりまで低くすることに成功したのである。また、何千人もの新たなプログラマと何百万人もの新たユーザーを、インターネットの世界へ誘ったという功績も上げた。

 そしてこれこそが、Stallman氏が常に目指してきた唯一の目標だった。同氏は信念を持って行動を起こしているので、誹謗中傷にも甘んじることができるのだ。

 Stallman氏を嫌いたい者は嫌えばよいと思うが、わたしは同氏に対する尊敬の念を禁じ得ない。今後もこの気持ちは変わらないだろう。利潤を追求する人々には、Stallman氏のような預言者は嘲笑の対象でしかないのかもしれない。だがしかし、彼が預言した世界がソフトウェアにとっての天国であることは間違いないのだ。

(Dana Blankenhorn)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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