コムキャストとBitTorrentとスパム、スパム、またスパム

opensource 2007-10-22 17:33:41

 Comcastがネットの中立性を侵し、BitTorrentトラフィックを制限していた件をさまざまなメディアが報じたが、そのどれもが同社の言い分についてはコメントしていなかった。

 Comcastの言い分とは、すなわち帯域の不足である。

 WiFiサービス企業をはじめとした小規模なインターネットサービスプロバイダー(ISP)の大半は、当たり前のようにBitTorrentやその他のP2Pアプリケーションの使用に制限をかけている。これは、何年も前から行われていることだ。こうした企業にとって、帯域コストは非常に高くつくものであり、全利用者に十分な接続スピードを約束するには、大容量ファイル通信を抑制するしか方法がないと、彼ら自身が認めている。

 だが実は、BitTorrentなどよりも貪欲に帯域を消費しているものが別にある。スパムだ。わたしもComcastのユーザーだが、インターネット接続を介して毎日やって来るものの95%以上がスパムである。「Mailwasher」などを使ってスパムを廃する努力をしているものの、それはほとんど、保護壁のない建設現場に隣接する下水管を掃除しているのに等しい。つまり、四六時中そうした作業を続けなければならないのだ。

 スパムに対して無力であるのを棚に上げ、ISPは彼らが「帯域食らい」とレッテルを貼った人々――常時データをやり取りしているP2Pサービスユーザー――には、きわめて厳しい姿勢を取っている。Ellacoyaなどのベンダーから「トラフィック管理機器」を購入して、詳細なパケット検査を実施し、ユーザーの接続時行動の統制に精を出している企業は非常に多い。

 Comcastは、この種の技術を取り入れている、やや規模の大きな企業の1社に過ぎない。特定パケットの制限は、今や業界全体のトレンドなのだ。ISPはパケットのネットワーク内における振る舞いを観察し、それに基づいて、送受信を許可するものと制限するものを決定している。言い換えれば、ISPは、ネットワークの反対側にいる消費者にインターネットのあり方を決めさせ、彼らのニーズが満たされるようにする代わりに、みずからのビジネスモデルに合致するインターネットを作り出しているのである。

 同様の理由から、一般的な電子メールトラフィックと同じポートを使用するスパムは、オープンなインターネットを排除し、「Netflix Video on Demand」のような革新的なサービスを提供できない、キャリア統制型ネットワークを新たに構築する際の格好の口実にされている。Netflix Video on Demandなどは、視聴者に何を見せるか自分で決め、リベートを得るというケーブル事業者のビジネスモデルを脅かすものなのだ。

 愚鈍なネットワーク、すなわちインターネットは、死んでしまった。これからは、企業ネットワークの時代というわけである。新たな支配者は、今までの支配者と同じだ。彼らはBitTorrentを抹殺できるし、当然のごとく、オープンソースも抹殺できる。彼らに必要なのは、口実だけだ。

 こうした事情を踏まえると、米国がもはや技術界の覇者でなくなったのも納得がいくだろう。ボトルネックを制御する力を手に入れた者にとって、トラフィックを制限するのは難しくないし、彼らには、そうするための正当な理由(スパム)も不当な口実(独占)もある。これが避けられない流れなのだ。

(Dana Blankenhorn)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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