わたしが2007年に執筆したブログエントリの中で、最も激しい論争を巻き起こしたのは、「コムキャストとBitTorrentとスパム、スパム、またスパム」だった。
ComcastがBitTorrentの使用を禁止しながら、一方でより大きな帯域を消費するスパムの問題を無視しているのは、ネットの中立性を侵す行為だと、わたしは主張した。同記事へのアクセス数は、年間を通して5位になっている。
これに寄せられたコメントは非常に多く、大半がわたしの意見に否定的なものだった。批判コメントの骨子は、次の2点に要約できる。
- BitTorrentのようなP2Pプロトコルを介したファイル転送のほうが、帯域にかける負担ははるかに大きい
確かにそうだ。スパムは、主にルータのとっての問題であって、コアリンクにとっての問題ではない。
- 2つの別の問題をひとまとめにするのは間違いだ
当時も今も、間違いだとは思っていない。どちらに関しても、わたしが問題視しているのは、ある事象に対しては企業の利益を優先して厳しい態度で臨み、利益を侵さない事象は無視するという大手ISPの姿勢についてである。
ラストマイルISPが、自分に都合のよいようにインターネットをいじっている問題が表面化してからというもの、事態は悪化するばかりである。前回のエントリにも書いたが、企業が自社の利益のために運用する独占的なインターネットアクセスネットワーク、すなわちコーポレートネットワークが、2008年には大いに目立つようになるのではと危惧している。
だが、これとオープンソースはどう関係しているのだろう。
反復をおそれずに説明すると、オープンソースとは、あくまでインターネットの公平性のうえに成り立つものである。Comcastは、オープンソースプロトコルであるBitTorrentを迫害し、その結果、公平であるべきインターネットに偏りが生じた。こうした現状にどう立ち向かっていくかによって、オープンソースの運命は決まるのである。
(Dana Blankenhorn)
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