プレゼント

secondlife 2007-10-04 08:00:00

テレポート先の大きなファッションモールで、俺は彼女を見つけた。

男性物に女性物。子供服に下着類。パーティドレスに制服。家具などのインテリアまで売っている巨大ショッピングモール。

少しばかり人通りの多いその場所で、彼女はひときわ輝く光を放っていた。

背中までの金髪のストレート。しかし顔は東洋人のように少しだけ薄く、清楚な感じを思わせる。

身体のラインのはっきりと分かるドレスを身に纏い、そのギャップに俺は目を奪われた。

のちに彼女は、名前をケリーと名のることになる。

「今、面白いところ探しているんだけど、知らない?」

俺は何の前フリもなく彼女に話しかける。

リアルでは初対面でこんなことはあり得ないが、SLだと気軽に声をかけることができるのだ。

「まだあんまり日が浅いから。よくわからないわ」

ドレスを物色していた彼女は気のなさそうな返事だ。

「そっか。ありがとう。」

と、俺はちょっと落胆したが、これだけで終わってしまうのも寂しいので、話を続けた。

「ドレス見てるの?」

「ええ、好きだから」

「へぇ。いいね、その今着ているドレスも素敵だ」

「ありがとう。気に入った?」

「もちろん!君にぴったり……と、そうだ、これ……」

俺は彼女に喜んでもらおうと以前どこかで買ったアクセサリーを持ち物の中から探し始めた。

彼女が着ているのはそんなに派手ではないワンピースのドレス。なのにボディラインがはっきりと見え、なんとも素敵で、セクシーなドレスだ。

そのドレスを着た彼女に、最適のネックレスをプレゼントした。

「……ありがとう!」

バーチャルなのにアバターから声が聞こえたような気がした。

彼女はそれを受け取り、身につける。

控えめだが時折きらりと光る、強い存在感を主張したネックレス。

やっぱり、とても良く似合う。

そう思った瞬間、彼女は突然俺に抱きつく動作をした。

いきなりの行動に驚き、そして少し俺の感情が動く。

アバターなのに恥ずかしい………?

なんと、これは不思議な感覚だ。

「これ、どうしたの?」

嬉しそうに問う彼女に、

「もらい物だから、気にしなくていいよ」

なんて、嘘までついた俺

ひょっとしてこれがSL恋愛の始まりなのか……?

俺は画面上の彼女にドキドキし、次の言葉を捜していた。

「そうだ、教えてもらったいい場所があるの。来てみる?」

と、彼女はまるでお礼とばかりに提案しだす。

「面白そうだね。どこ?」

俺は慣れない英語をタイピングをするのももどかしく、必死に返事をした。

「ちょっと待ってね、あとで呼ぶから。」

「……呼ぶ??」

俺がその言葉に理解を示す前に、彼女はまるで霧のように突然姿を消した。

消えた……!?

リアルの一人旅には期待感が付きまとう。

少しの不安に、大きな好奇心。そして突然のサプライズなんかもあったりして。

旅の途中で出会う人々は全て一期一会。

人情に、友情に、小さな恋心。

日常から離れた非日常が、俺のアドレナリンを刺激し、活性化させる。

そしてこのSLの世界も同様なのだ。

俺はいちアバターとしてこのSLの世界あてどない旅に出ていた。

そこで出会うアバター達は、まさにリアルで出会う一期一会の人と同様だ。

もちろんも彼女ケリーも例外ではない。

というか、彼女のことを俺は既に気に掛けている。

「擬似恋愛か……?」

俺はリアルの世界とも取れない感情に、いささか感心していた。

(このブログの著者でもある大槻透世二さんがSecond Lifeでの「ものづくり」を紹介する「Second Life 新世界的ものづくりのススメ」。第28回は、『パーティクル2』。こちらもご覧ください)

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