セカンドライフ店舗

secondlife 2007-12-20 08:00:00

「あんな広いSLの中で、世界中の人々に自分の店の存在を知ってもらうには、何が必要だと思う?」

ケリーはいたずらに俺に問うように、謎かけをしてきた。

「宣伝?……SLの中でCMを流すとか?」

「テレビじゃないんだから…でも近いわね」

とぼけた俺の答えに、ケリーは小さく笑いながら、しかし俺を自然と答えに導いていく。

「広告よ」

「広告?」

そうか、そんな方法があったのか。俺は広告なんていう手があることに改めて気付く。

「そう、お店を作ったあとは、検索システムに引っかかる様にしなくてはダメ。匠も使っているでしょ?検索システム」

確かに。毎回使っている。

事実、この海辺に来るにも検索システムは必要不可欠だ。

だけど、

「どうやって引っかかるようにするの?」

そこが知りたい。

「たとえばホームページを作って宣伝する時に、広告を打つとそのキーワードによって欲しい情報のホームページがヒットする。SLの中もそれと一緒。検索して引っかかるようにすると人の目に留まりやすい」

「うん」

「それにはまず、その土地の情報として店の名前が載るようにしなければなにらない。これは土地情報として検索に引っかかるためにきちんとお金を払うことになるの。つまり…広告ね」

「金か発生するのか……商売だね」

「あとはモールのフリースペースに自分の作品を置いて地道に知ってもらうか…これはポスターの様な効果ね」

「作品…企業としての参入なら関係ないなぁ……」

「逆に、作品を売る私には有効的だったわ」

「そうか…!じゃあ、僕がリアルの世界でSL内の自分の会社を宣伝する…と言うことでも集客の効果は得られるよね?」

「そうね、今はブログと言う媒体かあるから、リアルの世界で私の店を知った人が、実際SLでお客として訪れる人もいるわ」

「なるほど…そうしてケリーはショップを展開していったんだ」

実際に、ショップを展開しているケリーの言葉は、俺のぼやけていた構成案を徐々にクリアーにしてくれた。

具体的にヤルべき事が見え、それだけでSL参入に一歩近づいた気がしたのだ。

「いろいろなキーワードを考えて付けたら、序々に人が訪れるようになって、作品が売れ始めたわ。 色々な人がやって来て色々な友達ができて、そこで色々なものを作ってる人と交流するようになったの」

ケリーはそこで言葉を止めた。

正確には、彼女のタイピングが止まったのだ。

「…ケリー…?」

今まで、流暢だった彼女のタイピングは、しばし進むことはなかった。

二度目に俺が彼女を呼んだ時、彼女は気付いたようにゆっくりと話始めた。

「……そして前の彼氏と出会ったの」

「彼氏…」

だから…

「彼も…私とは違うけど、クリエイターだったわ。 でも……」

そして彼女の顔が曇った。

更に、しばしの沈黙が流れ、俺は促すように言葉をかける。

「でも……?」

やがてケリーは、意を決したように話しだす。

「でも……ある日から彼と連絡がとれなくなって……自然消滅したの」

「…………」

「でも、 私は納得がいかない。分からないの。突然と彼がいなくなった訳が。SLの中から消えた訳が!」

「それはたぶん…単純にリアルの世界で忙しくなったとか、SLに興味がなくなったとか……」

「いいえ、違うわ」

ケリーは断言する。

「確かに、セカンドライフは1000万を超える登録者数が出ている。しかし2ヶ月以上もログインしていない人たちは実に約85%。アクティブユーザーと言われる人々は15%超しかいない。彼もそうなった、といってしまえばことは単純だけれど……私には彼が消えた別の理由がある気がしてならないの」

俺は少しの嫉妬を覚え、そしてケリーの彼に対する強い想いを少しだけ可哀想に思った。

しかし、

その俺の想いは次のケリーの言葉で、突然と転ぶ。

「彼は……突然と消えるその前日、私に不可解なIMを残したの」

「IM……?」

「えぇ……“<b>”と」

「………“<b>”……?」

俺はその文字を不可思議に見つめる。

ケリーの確信は、謎へと広がったのだ。

(このブログの著者でもある大槻透世二さんがSecond Lifeでの「ものづくり」を紹介する「Second Life 新世界的ものづくりのススメ」。第34回は、『エンジン3』。こちらもご覧ください)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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