ウォルマートの低迷、原因はITの日常化にあり

soa 2007-10-25 18:38:56

 Wal-Martは、長らく市場で艱難辛苦をなめてきた。同社の幹部によると、それは米国市場が飽和状態にあり、景気の先行きが不透明であるかららしい。

 だがその背景に目をやれば、いくつかの無視できない技術的な問題が見えてくる。「CIO」サイトに記事を寄せたThomas Wailgum氏は、小売り大手Wal-Martの成長を阻んでいる要素はほかにもあると指摘した。技術は技術でも、情報技術が問題だというのである。

 まさか、そんな。Wal-Martの導入している情報技術は、もはや伝説なのに。ITこそが同社の成功のカギだったはずだ。少なくとも表面的には、ここ何年もそう言われ続けてきた。先鋭的かつ効率的なITとインテリジェントなサプライチェーンを語るとき、Wal-Martの名はいつだって引き合いに出されるではないか。

 どうやらWal-Martは、「カーの迷宮」に迷い込んでしまったらしい。Nicholas Carr氏が説いたように、市場の全参加者が同じ技術にアクセスできるようになると、機会が均等化され、優位は失われるのである。

 Wailgum氏によれば、Wal-Martが陥っているIT的苦境とは、次のようなものだという。

今日のWal-Martは、2つの世界の狭間に落ち込んでいる。1つは、「毎日が大特価」という理念をあくまでも追求し、アーカンソー州ベントンビルの本社がITの助けを借りてそのための決断を下す、同社の創業者であるサム・ウォルトン的世界(もっとも、ウォルトン氏はコンピュータに懐疑的だったが)。もう1つは、同社の規模の大きさが以前ほど強力な武器にはならなくなった、新しい国際市場の世界だ。TargetやTescoといった競合社は、技術の高度化においてWal-Martに引けを取らないばかりか、高利潤商品を擁して新たな小売り分野を開拓し、今では同社をしのいでいる。

 ほかにも、各地域の地元店舗に決断を下すのを許さない中央集権的なIT構造や、自社開発ITシステムへの過度な依存などが、Wal-Martの障害となっているという。

 つまり、Wal-Martはレガシーシステムという重荷を背負った企業になってしまったということだ。そのうちの一部は、今でも競争上の優位を同社に与えているかもしれないが、市販のシステムに置き換えられる、あるいは置き換えるべきレベルにまで「日常化」した部分も多い。ならば同社に言おう、ようこそSOAの世界へと。SOAは、新しい思考と新しい技術への移行を楽にしてくれる、肥沃な土壌である。

 それなのに、残念ながらWailgum氏の記事には、SOAについての言及がいっさいない。とはいえ、行間にはそこら中にSOAがあふれている。例えば、アナリストらはWal-Martに対し、膨大なデータ収集機能などの既存資産を活用し、それらをビジネスコミュニティに解放するよう薦めているという。「Wal-Martは、そのデータ収集能力の高さでよく知られている。今こそITを駆使して、小売店やバイヤーにこれを利用させ、正しい判断を下せるようにすべきだと、アナリストは主張している」(Wailgum氏)

 Wal-Martは、独自に開発したシステムから、OracleやHPのプライシングおよびビジネスインテリジェンスソフトウェアを含む市販製品への移行を進めているようだ。先日はSAPが、Wal-Martの既存の財政ソフトウェアを「SAP ERP Financials」と交換する契約を獲得したと発表した。SAPが日頃から強調しているとおり、これらはすべてSOA製品である。

 さらにアナリストやコンサルタントは、Wal-MartのWeb 2.0分野に対する積極的な進出を奨励し、同社がそうした方向を目指すために採った初動策を高く評価している。Wal-Martは、ソーシャルネットワーキングを利用して顧客との関わりを深めたり、顧客が書いているブログの支援を通して、「同社ブランドの価値をアピールし、新製品を宣伝」したりしているという。

(Joe McKendrick)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

SpecialPR

  • 【3/31まで早期割引受付中!】「IBM Watson Summit 2017」開催

    日本IBMが主催する最大の国内総合イベント。テクノロジー・リーダーの疑問を紐解く「企業IT、セキュリティー、モバイル、データ解析などの進化を探る」詳細はこちらから!

  • デジタル変革か?ゲームセットか?

    デジタルを駆使する破壊的なプレーヤーの出現、既存のビジネスモデルで競争力を持つ
    プレイヤーはデジタル活用による変革が迫られている。これを読めばデジタル変革の全体像がわかる!