2008年はサービス化が新たなステージへ(1)

徳田浩司(Koji Tokuda) 2008-01-08 10:01:50

あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。

掲題、 『2008年はサービス化が新たなステージへ』という2008年の新春展望を執筆したのでご覧いただきたい。昨年の、 『2007年は「サービス」時代の幕開け』 と合わせて読んでいただければ、世界はどういう方向に進んでいるのかご理解いただけるのではないかと思う。

大きな流れとしては、タイトルどおり全てにおいて「サービス化が進んでいる」 ということである。

いろいろな現象を取り上げて説明しているが、補足すると以下である。

・ソフトもハードも、インフラが集約され、ものづくりはそのインフラを提供する一部の企業に絞られてしまう

-アップルのiPhoneがいい例で、携帯ステレオだけでなく、カメラ、PDA、携帯電話、など、種々の機能を包含してしまい、寡占化が進んでいくと思われる。

・インフラは次第に世界共通になる。ユーザー数は非常に大きくなり、安く提供される。しかも、ユーティリティモデルが優勢となってくる。

-iPhoneは、今はまだ400ドル(約4万円)ぐらいするが、今後は、携帯電話と同じように、イニシャルの価格は0に近づいていき、最後は月額使用料だけになってしまうのではないかと予想する。そうなると、ユーティリティモデルを描けないSONYのWalkmanを含めて、他社はもはや追いつけなくなる。

・2番手、3番手ぐらいまでは何とか生き残ることは可能だが、それ以下はだんだんと生き残る余地はなくなってくる

-iPhoneが拡大しているが、それに従い、携帯ステレオ、カメラ、PDA、携帯電話における、下位メーカは、よほどの特徴を出さない限りは、生き残りはかなり難しいのではないか。あるいは、相当な低価格戦略をとるしか、生きる道はないかもしれない。

・そのため、インフラを提供できるところ以外は、インフラ作りは放棄し、サービス提供に徹して生き残りを図るしかない

-IBMがコンピュータづくりを放棄し、インテグレーションに特化したのと同じである。SONYはWalkmanを放棄し、音楽や映像のコンテンツ提供に徹するしか術がないかもしれない。

・これからは、提供するサービスの品質が差別化要因になってくる。

-これは言わずもがなで、木目細かな顧客サービスの力を持つ日本の企業には、事業拡大のチャンスが生まれてくるとも言える。

・逆に、トレンドを見失ったところは、衰退するしかない。従来型のハードメーカー、ソフトウエア企業の大半が競争力を失ってしまうので、これからは淘汰・統合の時代になる。

?サービス化が進むと、先行開発のできる企業が限られてくるので、資金ニーズが小さくなる。VCもすでにIT投資を見限っていて、よほど筋のいい案件でないと投資をしなくなった。これからは、むやみやたらと大きな資金が必要となってくるような投資案件には、あまり見向きもしなくなると思われる。より小さな資金で事業拡大することを考えるべきである。

SONYを事例として取り上げたが、別段SONY自体を攻撃する気は全くないことをお断りしたい。しかし、日本の代表選手と言える世界のSONYですらそういう危機に瀕している、ということは事実なので、あえて取り上げさせていただいた。

これからのIT業界は、90年代後半から2000年代前半にかけての、金融再編と同じようなことが起こるのではないかと思っている。合併とリストラの繰り返しである。すでにその兆候は現れていて、昨年、TISとインテックの合併があったが、今後も、たとえば、NTTデータと野村総研の合併みたいなものが、どんどんおこってくるのではないかと思う。合従連衡が進めば、しばらくの間は、生き残り組は強くなる。ただし、海外展開ができなければ、国内市場の拡大は望めないため、企業が今後成長することは不可能ではないかと感じている。

金融業界を見てみると、10数年前に、10数行あった都市銀行も、いまや大手3行に集約された。いずれも現在の姿だけを見ると、非常に大きく強いのではあるが、統合の過程で、海外拠点を大幅に縮小し、人材も失ってしまった。これからの世界競争の時代には、成長性が乏しくなってしまっており、IT業界も、同様のことがおこるのではないかと、大変懸念しているところである。

決して明るい未来ではないが、逆に上記環境の変化を積極的にとらえるところは、非常に強くなる可能性を秘めている。そろそろ来年度の事業計画を策定する時期であると思うが、ということで、一度真剣に考えてみてはいかがだろか。

(徳田浩司 koji.tokuda at www.fusion-reactor.biz

追 記

9月1日追加情報

9月1日、旧中央青山の流れを組む、あらた監査法人と、みすず監査法人は業務を開始した。これは、旧中央青山監査法人の業務停止が8月31日で終了したことを受ける。

提携先である米国プライスウォーターハウスクーパースが「あらた監査法人」を設立し、900人強でスタート。一方旧中央青山監査法人は、「みすず」に名称変更し、た業務をを再開した。

みすずは、2500人。約3500人強いた旧中央青山監査法人のうち、約1000人が減少したそうである。一方、「あらた」は約900人でスタート。契約上場企業数はみすずがが3割減の580社、あらたが約400社だそうである。

旧中央青山の受け皿ができてひとまず安心である。ところでJ-SOX法であるが、対応の遅れは否めず、幸か不幸かガイドラインの発表も遅れており、中央青山の業務停止の影響は表面化はしていないが、どんどん対応が後ろ倒しになり、あとでそのツケが回ってくる可能性がある。

(徳田浩司 koji.tokuda at www.fusion-reactor.biz

Mr.Sam Nakane, formerly the CEO of SAP Japan review my entry and sent an email

Plese see it as following.

"Middle-up & down? No, Top-down is better! Email From Mr. Sam Nakane"

http://blog.japan.zdnet.com/tokuda/a/2007/01/middleup_down_n.html

And you may have some kind of risk regarding your business with Japanese companies because of J-SOX.

Please see my new entry as below,

"Business Checklist Working With a Japanese Company - May be requested for J-SOX compliance, Suddenly"

http://blog.japan.zdnet.com/tokuda/a/2007/01/a_business_chec.html

話が英語教育に脱線したついでに、関連して興味深い記事を発見したのでご紹介したい。

英語教育、韓国は教科書暗記…フィンランドでは英会話 (東亜日報2006年9月14日)

フィンランド語は、世界の語族の中で、韓国語、日本語、モンゴル語などとともに「ウラルアルタイ語族」に分類され、「インド・ヨーロッパ語族」である英語と語順、文法などで多くの違いがある。

フィンランド教育研究所のポイアラ教育顧問は、「フィンランド語は、前置詞、冠詞などがなく、英語と非常に異なる言語だ。英語を学ぶことは本当に難しいことだが、フィンランド人はみな、英語の大切さを十分知っており、学校で英語をよく教えるので英語が上手だ」と堂々と説明した。

ヘルシンキでは、タクシーの運転手も、英語で日常的な会話ができる。小学生から中年の紳士まで、道で会ったフィンランド人に英語で道を尋ねた時、通じない場合はほとんどなかった。みな学校で学んだ英語の実力だ。

フィンランドでは小学校3年生(8歳)から英語教育がスタートする。母国語の骨格が完成しており他言語に影響されにくくなった年齢で、更に、外国語を習得するにはぎりぎりセーフという絶妙なタイミングだ。ちなみに韓国は小学校5年生(10歳)ということで、ちょっと遅い。それに比べて日本は現在中学校からで12歳。手遅れである。

そういえば、私も思い当たる節ある。あるシリコンバレーのIT企業のエンジニアがたくみな英語の使い手ですっかり米国のネイティブスピーカーだと思い込んでいた。しかし、出身を聞いて見ると、実はフィンランド人だった。英語などインドヨーロッパ語族はSVO(主語+動詞+目的語)構造であるが、日本語、韓国語、フィンランド語は、SOV(主語+目的語+動詞)構造で、構文がまるっきり異なり、これらを母国語とする国民は、英語を習得するのがもっとも不得意だ。彼は相当な努力をしたのだろうが、フィンランドの教育制度のおかげでもあろう。

国際経済競争力のランキングで、フィンランドは2006年は2位で、2001年から2004年までトップだった。一方、日本は7位で後塵を拝している。フィンランド企業としては携帯電話のNokiaが有名だが、英語教育の成果として、IT立国として成功しているフィンランドを、日本社会も見習うべきだ。

仮想化技術とは少し異なるが、ちょうどZDNetに、サンマイクロから、データセンターの消費電力削減ソリューションの解説があったので、ご紹介したい。

データセンターと地球環境の課題を解決する新機軸

Sun Fire & CoolThreadsサーバ

http://paper.japan.zdnet.com/abstract.htm?wpn=1520&tag=zp.co..

このホワイトペーパーでは、具体的な事例で、コスト算定がなされていて、イメージがわきやすいと思う。これによると、サーバ自身の消費電力に比べて、冷却に必要な空調コストは、なんと4,5倍もかかるそうである。さまざまな技術やピークの平準化などの工夫を凝らしてサーバーをまとめ、CPU数を減らすことができると、大幅にコスト削減効果があるわけだ。やはり、熱の問題は大きくコストを左右し、真剣に議論されるわけである。

会場の様子は、以下のレポートをご覧いただきたい。

「オンラインバンキングは多要素認証と多階層コントロールの時代に突入:RSAカンファレンスレポート」

「ついに見た、Windows Vistaの新しいセキュリティ機能CardSpace-RSAカンファレンスレポート」

また、認証技術を他社に先んじて取り入れ、銀行取引において高い市場シェアを獲得した事例がある。旧パスマーク社が提供するサイトキーを用いたバンカメの取組みについて以前書いた。セキュリティへの取組みの考え方において、セキュリティ=余分なコストと捉えるのではなく、積極的に、売上拡大につなげる手段と捉えた好事例である。参考になるかと思われ、ご一読いただきたいと思う。

「戦略的セキュリティ・システム」投資の衝撃」

「組み合わせ」の事例だが、RSAブースでいくつか新しい試みを発見した。

まだプロトタイプで発売していないという話であったが、生体認証の一つである、指紋認証と組み合わせ、PINコード入力を不要とするものや、ワイヤレス対応し入出管理などにも応用できるタイプのトークンなどが参考展示されていた。

多要素認証のステージになると、二要素認証時代にはライバルであった企業と手を取り合い、セキュリティの「組み合わせ」ソリューションを提供していくことになるのである。

セキュリティは頑丈なものを作っても、時間がたてば、それを打ち破る方法が編み出される。これで完璧ということはなく、何重にもセキュリティの「組み合わせ」が増えてしまう。そう方向性とは違った動きとしえ、マイクロソフトは新しい取組みを行っており、具体的なオンラインバンキングの事例を示し、提案していた。それについては、

「ついに見た、Windows Vistaの新しいセキュリティ機能CardSpace-RSAカンファレンスレポート」をご参照いただきたい。

また、セキュリティにおける認証技術を他社に先んじて取り入れ、競争優位に立つことで高い市場シェアを獲得した事例がある。旧パスマーク社が提供するサイトキーを用いたバンカメ)(Bank of America)の取組みについて以前書いた。セキュリティへの取組みの考え方において、セキュリティ=余分なコストと捉えるのではなく、積極的に、売上拡大につなげる手段と捉えた好事例である。セキュリティ関連部署の方や企画部門の方に参考になるかと思われ、ご興味あれば、これもご一読いただきたいと思う。

「戦略的セキュリティ・システム」投資の衝撃」

次回に続く。http://blog.japan.zdnet.com/tokuda/a/2008/01/20082.html

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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