今週は、チャイニーズニュウイヤーでチャイナタウンのあるビノンド地区などで盛大な催しが開催されている。一般の街中はというと、せいぜい大手デパートなどで中国の飾り物や書品が催事コーナーで売られている程度で、それほど騒いでいるというわけではない。
先週、Citrix(シトリックス)のリセーラーの1社であるShellSoft(Shellsoft Technoloy Corp.)社のシトリックス担当者と話をすることができた。キッとこの国でシトリックスのようなライセンス費用の高い製品を導入している企業など、外資系企業を除いてはないのではないかと思っていた。ところが、Shellsoft社によれば10社以上にライセンスを販売したという。しかも、それらはみなフィリピン企業である。大手銀行、デパート、食品製造業などが、導入企業だ。
フィリピンにシトリックス社のブランチ・オフィスはない。独占総代理店として、WSI社があり、4社のリセーラーを通じてライセンスを販売している。Shellsoft社は、その4社のリセーラーのうちの1社である。全員ストールベースのライセンス数がどれくらいあるのかは、WSI社問い合にわせないと定かではない。
フィリピン企業が、シトリックスを導入する動機はどこにあるのだろうか?そもそもシトリックスは、ナローバンドで快適なコミュニケーションを提供するために開発されたことを思い出していただきたい。フィリピンでは現行のDSLをブロードバンドと称している。確かに、最大3Mの回線をPLDTが提供している。しかし、日本の通信環境になれた私たちにとってはとてもブロードバンドとは言い難いかもしれない。数メガバイトのファイルをダウンロードすることさえなければ、なれてしまえばそんなにストレスを感じることはないといえる。銀行の事例では、VPN網を使って各ブランチ・オフィスのPCから基幹サーバに安全にアクセスさせるための道具立てとしてシトリックスを導入したようだ。もちろんプラス・アルファのセキュリティ機能もRFPに含まれていたようだ。
更にもう一つ、導入理由には、この国らしい事情があった。ほとんどの企業は、車同様にIT関連製品をとことんまで使い込むという特徴がある。つまり、未だにすでにマイクロソフトの公式サポートの終了が宣言されたOSをPCが壊れていないからという理由で利用している。tまり、Windows95、98、2000などのOS を搭載したPCが、企業内ではまだ現役で活躍している、それらのPCをそのまま使い続ける手段として、シトリックスは重宝されているようだ。
たしかに、新規にPCを買い換えるコストは抑えられている。しかし、その古いPCを使わされているユーザーやメンテナンスを担当しているヘルプデスクはどうだろうか。実態は、不満の連続だ。「遅い、すぐにダウンする、、、、、」と。いわゆる見えないコストや従業員のストレス、客の待ち時間、ビジネスの機会損失などは考慮に入れられていない。この国では、未だにIT 部門をMISと呼んでいる企業が多い。IT機器がビジネスに必要な道具であることは理解されていても、そのビジネス上価値を説明できたり価値を最大限に引き出せる人材がまだ育っていない。まだコストの対象でしかない。しかもTCOという考え方も根付いていない。
優秀なプログラマーは沢山いるが、優秀なシステム管理者はなかなかいないのが現状だ。また、CIOも育っていない。今後の大きな課題といえる。
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