進むか?公立学校へのPC導入プロジェクト

若井 直樹(Naoki Wakai) 2008-04-09 19:21:23

 こちらはもうすっかり夏で、毎日30度から34度の暑い日が続いている。でも日本と違って湿気がないのでこちらの方が過ごしやすいのではないだろうか。今月は、すでに学校も卒業式などが終わり、新年度に向けて休暇となる。季節も良いためにバケーションに出かける家族も多い。

 先日、アヤラ財団が中心となって結成した、“Gilas”というNGOの定期総会に参加した。Gilasは、フィリピン国内の公立学校にインターネットを設置し、教員に対するインターネットおよびアプリケーションのトレーニングを提供する。そのようにして、コンピュータ教室を寄付することを目的としている。すでに、インターネットのプロバイダーでるPLDT、Globe、をはじめ、民放のGMA、ハイテク企業のIntel、マイクロソフトなど多くの団体・企業が参加している。日本政府もODAを提供、また東芝も100台のラップトップを寄付している。

 NGOの予算と地方行政の予算で、公立の小学校および高校(フィリピンは小学校6年間と高校4年間という制度になっている)に1校あたり10台のPCを目安に設置する目標だ。全国の公立学校は約6400校ある。2008年度は、100millionペソの基金を目標として活動する方針だ。公立学校に通う多くの生徒の家庭は、PCを保有していない。Gilasの活動を通じてITに慣れ親しむ生徒が増えることを期待したい。その中から、未来のIT業界を背負う人材が現れることも。この国は、あの“I love you”ウィルスをうみだした国だ。特にハードウェアに近い下層レイヤーのプログラミングを得意とするエンジニアが多い。優秀なエンジニアは、海外にスカウトされ移住するために、あまり知られないが、世界レベルのエンジニアも多く排出しているのだ。いずそういったエンジニアを紹介できる日が来ると思う。

 この総会の中で、「PCの電力消費が予想以上に予算を圧迫している」、「アドミニストレータを配置する予算がなくシステム管理が大変だ」、などの意見が政府機関からもでている。振り返ってみれば、日本の学校を訪問した際にも同じ意見を幾度となく聞いた。「Vistaに切り替えるとなると全電源周りを工事し直さないと施設が古くてPCが設置できない」という話も出た。フィリピンにおける電気代は、日本のそれに比べるとかなり高い。これは、切実な問題だ。しかも、石油価格の高騰および米不足による消費者価格の高騰は、多くの公共呂金を押し上げる要素となる。フィリピンでも代替エネルギー問題は、切実なテーマとなっており、政府が主導するいくつかのプロジェクトも始動している。

 学校でのPCを活用した教育では、マルチメディアデータの活用は必須だ。そのためにそれ相当のスペックのIT環境が要求される。しかし、果たして従来のPC?Serverのインフラを前提として考えるだけでよいのだろうか?「グリーン」というキーワードは、プラットフォームのパラダイム変換を要求する可能性がある。Googleの可能性も含め、新たなパラダイムに取り組むためには、インフラの未整備な、言い換えればレガシーの少ないフィリピンは、かえって都合がよいのかもしれない。私は、このGilasの取り組みに日本政府および日本企業も参画されんことを期待する。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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