「ふとっちょのプレイステーション」でお勉強?

若井 直樹(Naoki Wakai) 2008-08-29 13:45:57

 日本では本格的な夏は、終わろうとしている。しかし、残暑は厳しいようで実家のある京都では、36度に達する日もまずらしくないようだ。ここフィリピンでは、ストームや台風の季節で、前日も強い雷があり数時間にわたって停電が続いた。こちらで発生する台風は北上し、台湾や日本へと向かう。これからのシーズンは、この台風の数が増えてゆく。

 先日、マンダルヨン市にある公立小学校を訪問した。1学年が10クラス以上ある、日本であれば超マンモス校だが、ここフィリピンでは珍しくない。しかも1クラスは、約50人の生徒で構成されている。公立の小学校といえども、能力別クラス編成が採用されている。驚いたことに、担任の先生は、全生徒の名前をきちんと覚えているのだ。もちろん、校門では、きちんとセキュリティ・ガードが安全を見守っている。

 この学校を訪問した理由であるが、ユニークな教材を使っているという情報をあるフォーラムで聞きつけたからだ。ということで、その教材を使う授業に参加させていただく手配をした。それは、英語の授業だった。フィリピンでは、小学校から英語の授業を受けなくてはならない。授業では、子供たちが非常に活発に発言していた。日本の学生とは違って、フィリピンの学校では何とか先生に指名され発言しようとする姿がごく普通にみられる。授業は活発そのもので、元気で笑顔がとってもかわいい。

 話題をもどすと、ここを訪れた理由は、そのユニークな教材を拝見するためだ。「さてみなさんあれを箱から出しましょう」と先生が告げると、一斉に生徒は「ユニークな教材」を箱から出し始めた。それは、「ふとっちょのプレイステーション」とでも表現するのがよさそうな筐体で、スタイラスペンでパネルをタップして使う。子供たちは実に真剣にその教材を使っている。感想を訊いてみると、みな口々に「おもしろいよ、お兄さんもやってみる?」と、実に楽しげだ。この筐体の問題点をしいてあげてみると、それはタッチパネルのレスポンスが悪いということだ。何人かの生徒が、他の筐体と変更してもらっていたし、何名かの生徒がタンタン何度も同じポイントでスタイラスペンをたたきつけているのがみられた。

Device.jpg

 この筐体は、あくまでもロータリークラブの寄付によって100台のみがプロトタイプとして提供されたものなので、現時点でこまかな部分までクオリティを云々するのは時期尚早かもしれない。以前にも少し書いたが、フィリピンの学校へPCやインターネットが浸透し始めたばかりで、多くの場合は企業や財団からの寄付である。ただし、この国では電気料金の高さがいつもやり玉に挙がり、電力消費の激しい、エアコンやViSTA搭載PCは敬遠される傾向にある。いかに寄付でもらっても、それらを維持するために多額のランニング予算を組まねばならないことへの抵抗感がある。

 それにしてもこの教材はおもしろい。何よりも生徒が意欲的に共催と向かい合っている姿は印象深かった。このような実験は大いに歓迎すべきだし、企業や財団からの寄付あるいは先進国政府のODA予算はこういったことに積極的に活用されるべきだと思う。教材としての「ふとっちょのプレイしてーション」は、もっと提供数を増加させれば、コンテンツの開発を生み出すことだろう。こうして雇用も創出される。そして何よりも生徒たちの学習意欲を増し、未来の技術を担う人材が育成される。

Students.jpg

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

SpecialPR

  • ビジネスの継続的な成長を促す新たなITのビジョン

    多くの企業においてITに求められる役割が、「守り」のコスト削減から「攻め」のビジネス貢献へとシフトしつつある。その中でIBMが提唱する新たなビジョンEnterprise Hybrid ITとは?

  • デジタル変革か?ゲームセットか?

    デジタルを駆使する破壊的なプレーヤーの出現、既存のビジネスモデルで競争力を持つ
    プレイヤーはデジタル活用による変革が迫られている。これを読めばデジタル変革の全体像がわかる!