フィリピンにも電子投票の波が、、、、

若井 直樹(Naoki Wakai) 2008-11-26 16:04:56



1117日から19日にわたってマカティ市のドゥシット・ホテルにおいて、「Election Technology Conference and Vendor Exhibition 2008」が開催された。ここフィリピンでは、2010年に大統領選を控え大規模な選挙戦が展開される。次期選挙に向け、現在実施されている手書きの投票用紙から、光学式マーカー(OMR)やタッチパネルなどのコンピュータ機器を、政府に利用させようというねらいだ。

フィリピンで選挙を司る政府機関は「COMELECThe Commission of Election)と呼ぶ組織である。COMELECは、今年度の8月に実施されたARMMhe
Autonomous Region in Muslim Mindanao
)地域における選挙において投票の完全オートメーション化を命じた。ここでは、「Direct Recording ElectronicDRE)」という電子投票機と、光学式マークリーダー(OMR)を利用する方針を打ち出した。

オバマ氏が当選した米国大統領選挙において、投票のオートメーション化によるトラブルがいくつか報告されたことは記憶に新しい。2004年以降の米国での経験は、電子機器によるオートメーション化は容易ではないということと同時に、経験を積むに従って明らかにエラー率や不慣れなことによるミスや混乱は改善されると言うことである。

日本でも総務省がガイドラインを発表しているようであるが、今のところ実際に自治体が導入に踏み切る兆しはない。それは、「Election Technology Conference and Vendor Exhibition 2008」に出展した米国やヨーロッパの電子投票システム・ベンダーが、「日本は好きだけど、商談は大変で本当に疲れるよ」とぼやいていたことからも容易に推測される。日本人は「ペンギン」だから誰かが先に海に飛び込んで大丈夫だと分かるまで誰も飛び込まない。また政治が絡んでいる分よけいにやっかいだ。

フィリピンの最新の発表によると、全土に224748カ所の投票所が設置される。もちろん全箇所が投票のオートメーション化を受け入れられるかどうかは、大いに検討の余地がある。また、本当にCOMELECにその予算があるのかも疑問だ。しかし、ベンダーにとっては美味しい市場であることは間違いない。だからこそ、米国やヨーロッパ、そして韓国からこの「Election Technology Conference and Vendor Exhibition 2008」に展示参加しているわけだ。展示ブースを一軒一軒回ってみて気づいたことが2点ある。

1つは、海外企業のソリューションは非常にファンシーな技術を使っており、明らかにハイテクで過去の経験から導き出されたソリューションであるのに対して、現地企業のそれは、最小限のニーズを満たした非常に安価なソリューションであるという点だ。海外ベンダーのものは、1台数十万円もするような専用機が多い。私にはとうてい政府がそんな予算を持っているとは思えない。2つめは、現地企業は選挙で使用した後に、学校へ寄付することを前提にして紹介しているという点だ。

フィリピンにこのようなソリューションを政府や公的セクターに売り込む場合、「ふところ具合と利用者のリテラシー」を十分考慮する必要がある。「学校へ寄付」と強調するのは、COMELECの予算だけではなく教育省からも予算を出させることを示唆している。それは専用機であるよりも汎用機であった方がよい。また、利用者のリテラシーを考えてもハイテクな専用機であるよりも入力操作の簡単なデバイスを持った見慣れた道具であったほうが良いということは容易に想像できる。

本当に2010年がオートメーション化されるかわからないが、現地企業のソリューションと海外企業のそれとを見比べたとき、いろいろと考えさせられるものがあった。もちろん、オートメーション化することと選挙をクリーンで公平なものにすることとは、全く別次元の問題であることは言うに及ばない。ハイテクがグリーン化するだけでなく、民主化に役立ってほしいと密かに願っている。。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

1件のコメント
  • 誤字発見

    誤字発見
    方途に2010年がオートメーション化される川分からないが、
    ->
    方途に2010年がオートメーション化されるか分からないが、

    2008年11月26日

SpecialPR

  • デジタル変革か?ゲームセットか?

    デジタルを駆使する破壊的なプレーヤーの出現、既存のビジネスモデルで競争力を持つ
    プレイヤーはデジタル活用による変革が迫られている。これを読めばデジタル変革の全体像がわかる!

  • 【3/31まで早期割引受付中!】「IBM Watson Summit 2017」開催

    日本IBMが主催する最大の国内総合イベント。テクノロジー・リーダーの疑問を紐解く「企業IT、セキュリティー、モバイル、データ解析などの進化を探る」詳細はこちらから!