危機は中小ソフトハウスにチャンスをもたらすか?

若井 直樹(Naoki Wakai) 2009-01-30 15:19:54



119日付の日経新聞 国際版で「海外就労者の雇用が悪化」という記事が掲載されていた。ここフィリピンでは総人口の約1割に相当する9百万人ほどが、海外で仕事をしている。そして、彼らがフィリピンに送金している金額はなんとGDP:国内総生産の1割に相当する。海外終了者からの昨年10月の送金額は3.3%増で、1-9月の平均送金額17.1%増を大きく下回ったという。今後国内消費動向にも大きな影響を与えそうだ。

一方、国内製造業では、コスト削減のためにチャイニーズ・ニューイヤーの1週間を休暇としたり、新規プロジェクトの凍結を発表するなど、レイオフも含めて様々な対策を講じ始めている。あちらこちらで、「突然解雇された」とか「給与が未払いなんです」という声を聞くようになった。じわじわと金融危機の結果が表れ始めている。

そんな中にあっても、この国の多くの人が仕事を求めて海外に出ようとする。それくらいこちらでの労働条件は良くないということだろう。マニラ圏でメードさんを確保するのは非常に難しくなっている。それは、多くのメード職希望者がよりよい給与を求めて海外に出るからだろう。需要が供給を上回っているために、売り手市場となっている。そのために、リッチな家庭ではエージェントを通して金額の高いメードを確保しているのが現実だ。

インドや中国に目を向けてみると、IT企業の人員削減や工場閉鎖が目立つ。ここフィリピンでもインテルがタギグ市のフォートボニファシオにある営業/マーケティング事務所を残し、カビテ市にある工場を閉鎖した。インドでは、大手のソフトウェア開発企業の人員削減が続々発表されている。また、中国でも動揺のソフトハウスでの解雇が相次いでいるという。少なくともフィリピンのソフトウェア企業とくにBPOをビジネスの中心にしている企業では、目立った解雇話はでていない。

インドでは、残念なことに大手IT企業の粉飾決算が発覚し問題になっている。発覚しただけ健全なのかもしれない。さて、この事態をどのように乗り切るのだろうか?韓国では、政府が新成長動力事業として「緑色技術産業(グリーンITやエネルギー再生)」「先端融合産業(放送と通信の融合など)」「高付加サービス産業」という ITを中心とした3大分野17事業を支援する政策を打ち出し、成長産業への重点投資で経済を活性化させ、IT輸出で国を支えるという戦略を掲げたようだ。IMF危機をIT産業への投資で乗り切った経験を、ここでも生かそうということのようだ。

政府による経済政策が重要であることは言うまでもないが、さて、各企業はどのようなセ策に打って出るのだろうか?少なくともIT企業にとってはチャンスかもしれない。すでに計画されたITプロジェクトを凍結することは、企業にとって困難だ、コストカットも止めて、よりコストの安い国、中小ソフトハウスに仕事が流れてくる可能性は高い。また、解雇された優秀なエンジニアを、中小のソフトハウスが確保できる可能性も十分ある。

問題は、ニッチな市場および技術にフォーカスし、その分野で急激ではないにせよ、着実に実績をあげてこられたかどうかだ。大手インテグレータから仕事が降ってくるのを待って仕事をするだけの、古いビジネスモデルは瓦解し始めている。大手インテグレータでプロジェクト・マネジメントの実績を積んだエンジニアは、いまこそニッチプレーヤに移籍し、その分野で技術の実績を積み上げたエンジニアを引いて打って出る機会ではないだろうか。

フィリピンには、JavaRubyで驚くほど高い技術力をもった技術者がたくさんいる。フィリピンやベトナムのように、まだ比較的低価格でしかも熟練したエンジニアを要する上記のような中小ソフトハウスに光が当たり始めるのではないだろうか。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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