ありえないかたさ

八木大造(Daizo Yagi) 2008-01-23 17:46:17

 「おまえの頭が固いのは、体が硬いからだ!」上司からこう叱られたことがある。「そんなアホな」と思いつつ、ずっと気になっていた言葉だ。どーゆー訳か10年経って「あの人が意味の無いことを言う筈がない」と思えてきた。ちょうど融通の利かない自分の固い頭に悩んでいた時期だった。

 試しに立ったまま膝を伸ばして、両手が床に届くかやってみた。すると伸ばした指先が膝のちょっと下までしか届かない。どこもかしこも、ぜんぜん曲がらないし、ぜんぜん伸びない。ありえないかたさだ。同じ様に頭も固くなっているかと考えたら、いてもたっても居られなくなってきた。ストレッチが日課になった。初めはまるで自分の体じゃないみたいだった。ずいぶん長い間、ほったらかしだった。ツケを精算したいと思った。

 1年半が経ち、手のひらが床にピタッとつくようになった。だいぶ自分の体に親しみを感じられるようになった。同じように頭も柔らかくなったかどーか・・・うっ、それは、わからない・・・。

 経営会議中の役員会議室の前で、ボクは自分の出番を待っていた。緊張が極限に達したとき、バットにオモリをつけて素振りをしてから打席に入った少年時代を思い起こした。ヘンですね、ほんと。ボクはこれをヒントに全身に思いっきり力を入れてみた。カッチンカッチン。ありえないかたさにしちゃう。そして一気に力を抜いてからドアをノックした。しばらくして手のひらが乾いていることに気が付いた。ボクは一言一言気持ちを込めて説明を始めた。

 会長は真剣な面持ちで資料を見ながら、相談役は目を閉じながら、ボクの話にときどき頷いている。モヒカン頭にねぎらいの言葉を掛けた2人の頷きは無言の応援だった。あの役員もいた。じっと黙ってボクの話を聞いている。淡々と議事は進行し、プロジェクトの続行と、パワーウィングス社との提携の大方針が、ボクの目の前で議決された。

 あとになって知ったことの1つは、ボクを応援しても何の得にもならない人たちが、影でボクを擁護してくれていたこと。その方たちの手配や根回しがなければ議決はなかった。またそうゆう人たちは決してボクの前に恩着せがましく出てきたりもしない。あたかも「いつかおまえも、同じ事を下にしてやれ!」と言っているかのようだ。

 「頭が固いのは、体が硬いからだ!」・・・やっぱり、意味がわからない。でも、ボクはこの言葉が好きだ。「そんなアホな」と思いつつ、ボクはこの言葉が好きだ。理由はうまく説明できない。なのに今回はこの話をしてしまった・・・。(つづく)

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